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おもむろにディーノはポケットからCD-ROM取り出した。中には解読後の文章が入っており 当初ディーノ達がコンピュータが直り次第行う予定の仕事だった。解読する手間が省け ディーノは彼女に申し訳なく思う反面深く感謝する。


「しかしチェルベッロのやつら、あんな詳しく記録してたとはな…思いもしなかったぜ」

「ああ、ボスの言う通りだ。それを読めば流石にカタギの人間も分かっちまうってもんだな」

「う…胸が痛むぜ…」


何か言いたそうにロマーリオがディーノを見やる。表情は穏やかだがこれは相当怒っているに違いない、と判断したディーノは 罰が悪そうに頬を掻いた。


「わりい、今回は不注意だった」

「それは俺に言う台詞じゃないと思うが…ま、何にせよあっちの中身も知られちまったんだ」

「ああ、それが一番厄介なところだよな…他に何か情報は掴めたか?」


ロマーリオはディーノの問いに小さく肩を竦めるだけ。小さく溜め息を吐き「手かがりなし、だ」と伝えた。周りの部下にも目で問うが同じような反応しか返って来ない。彼らが掴んでいる情報は口コミと深桜が解読したリストしかなく 全く進展を見せない捜査に ディーノはうなだれるしかなかった。

そもそも深桜やディーノの口から紡がれる"リスト"とは何なのか――それはとある要人達の名前が記載されているものだった。ディーノがそのリストを手に入れたのはリング戦直後。ヴァリアーの幹部マーモンが処分を軽くしてもらいたい一心でボンゴレに漏らした情報だった。


『仕方無いからこのリストをタダであげるよ』


マーモンはただ一言告げ それ以来一切口を閉ざした。一体何に関するリストかさえも教えなかったが あのマーモンがわざわざ言うのだから重大事項、しかも暗殺に関わることに間違いない。ゆえにディーノは9代目から勅命を受け 闇の中を手探りで進みながら捜査をしていた。

キャバッローネ一同で唸っていると 深桜が奥から戻ってくる。


「なんで皆で唸ってるんですか?」

「いや、まぁ…ちょっとな。それより深桜、お前キャバッローネに入ら」


「入りません」

「そ、即答……だけどお前の才能は貴重なんだ。な、入らねーか?」

「ディーノさんは優しいマフィアだって分りましたけど、それでもマフィアなんて真っ平です」

「なー深桜、そう言わずに!」

「いーやーでーすー」


かたくなに拒否し続ける深桜。にも関わらずディーノが頼み続けていると 不意に彼女の視界に何かが入った。ディーノの肩がもぞもぞ動き――ひょこ、とエンツィオが顔を出す。

目が合うとパカッと口を開く深桜とエンツィオ。次の瞬間 彼女はエンツィオもといディーノの肩へ飛び付いた。


「わわわ!ディーノさん何ですかこれ!可愛いですね!」

「は!?…あ、エンツィオのことか?俺の相棒だぜ」

「この子エンツィオって言うんだ…!」




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