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まずった、などとロマーリオさんと何か相談していたディーノさんが 突然グッと顔を近付け 内緒話をするように小声で囁く。


「(深桜、もう一つの内容は誰にも言うなよ)」

「え?」

「(あれはキャバッローネでもほんの一部の人間しかしらないことだし、何よりまだ証拠が掴めてなくてよ。だが、下手すりゃお前が狙われるって可能性もある)」

「ね、ねね狙われ…むぐ!」


仰天して思わず大声をあげた私の口を 慌ててディーノさんが手で塞ぐ。しー!なんて人差し指を口許にあてていてなんとも可愛い。私は自分が危険な世界に足を踏み入れてしまったことに気づき 目眩がしてきた。小声で返事をする私。


「(でも、私リストしか見てないし…なのに狙われるって何で…?)」

「(それだって一部の人間しか知らねぇんだ。十分狙われる根拠にはなるだろ)」

「(えー!そんな理不尽なぁ…大体ディーノさんがあんな情報一般人に渡すからこんなことに…)」

「(な"!?だ、だけど勝手に読むお前もお前だろー!?)」

「(わ、私のせいだって言うんですか!?)」

「ボス、深桜嬢…小声だけど丸聞こえだぜ」

「「う"…ッ」」


ロマーリオさんが私達に呆れたような視線を投げ掛けており その更に後ろでは部下の方々が温かい笑みを私達へ送っている。なんでそんな微笑ましく微笑んでいるんだ。私は気まずくなり俯いた。


「(うぅ…なんでこんなことに…)」


遠条君の言う通り暗号に関わるとロクなことがなさそうだ。こんな若さでまだ死にたくないよ、と拳を握り締め 目に浮かぶ涙を堪えた。それでもやはり耐え切れず 一筋頬を伝う涙があった。


「あーあ…ボスがだらしねーから深桜嬢泣いちまった」

「う"!?な、泣くなって深桜!その…キツいこと言って悪かった!」

「べ、別に…私泣いてません!」


私よりかなり背の高いディーノさん。屈んで私に目線を合わせると 私の意思とは無関係に流れる涙を 袖で乱暴に拭き取った。肩に置かれた彼の手は温かく そこから堪えていたものが溶かされていく。私は涙が止まらなくなってしまった。


「うう…ひっく…」

「深桜、脅すようなこと言って悪かった…だから泣きやめよ、な?」


今朝、私は突如弟やその友達がマフィアだと知った。しかもその知人もマフィアで 皆私の知らないところで沢山危険な目に遭っていた。おいてけぼりを食らった悲しさと 非日常的なことに対する混乱、そして自分もそこに巻き込まれてしまった恐怖。その全てが一気に私を襲い 幼子のように私は泣いた。




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