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「ったく…何で俺が…」

「おいおい、だらしないぜボス」

「言うなってロマーリオ」

「「ははは!」」



君と紡ぐ秘密のコード。暗号を入れれば ほら、二人だけの秘密基地――



Code Spiral
 code.01 ハッカー


移り気な秋空。激戦を強いられたリング戦に終止符が打たれ 各々の守護者は平穏な日々へ戻っていく。雨の守護者、山本武もまたその内の一人だった。


「姉ちゃん、救急箱って何処だったっけ?」

「確か居間の救急箱にあったと思うよ」

「深桜、武の絆創膏貼り替えてやんな」

「はーい」


深桜は手早く制服のリボンを結び 救急箱を漁った。そうして一つ年下の弟である山本を呼び寄せれば 手慣れた手付きで絆創膏を新しいのに取り替える。


「はい、どうぞ」

「サンキュー姉ちゃん!」


山本は鏡を覗き込んだ。ヴァリアー側の雨の守護者 スクアーロとの戦いで怪我をした目。眼帯は取れたものの未だに絆創膏が貼られていた。まだ取れないかー、なんて呟く。


「怪我痛むの?」

「ん?いや、それほどじゃねーよ。ロマーリオのおっさんが男の治療してくれたし」

「前々から気になってたけど…"男の治療"って何?」


山本がこうグルグルって全身に包帯を巻くんだぜ!と感覚で説明すれば 全く分からないと一蹴される。実は山本、姉である深桜には リング戦はおろか黒曜や蒼燕流に関することは全く話していなかった。深桜も深く追求はしないものの 幾らか不審に思っている様子。


「武、最近怪我多いよね。1ヶ月前も大怪我したし」

「あー言われてみればそうかも…マフィアごっこに付き合ってると、どうしても過激になるからかもなー」

「マフィアごっこ…」


深桜はこの"マフィアごっこ"が怪しいと睨んでいた。そしてそれには必ず小さな赤ん坊と 弟の親友であるツナ君が絡んでいる。あの二人は絶対普通じゃない、と一般人ながらも鋭い直感を見せる彼女。天然の山本とは大分性格が違うようだ。


「じゃ、部活行ってくんなー!」

「あ、武!私も行くー!」


年が一つしか離れていないせいか はたまた穏和な性格ゆえか この姉弟は仲が良い。見た目だけだと山本のほうが年上に見え そのせいでカップルに間違われることもしばしばだった。彼が中学に入学したての頃は 事情を知らぬ女子生徒に嫉妬されたこともある。




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