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 にっこりと言ってやると、脱力したように溜め息を吐く彼。真面目に答えたのに(私にしたら3割真面目って真面目すぎるほどなんだから)。彼の反応に些か腹が立ったが、怪我人だから大目にみてあげる。…って、さっきから『彼』って呼んでるけど そういえば名前聞いてなかったな。


「そういえば、名前なんてーの?」

「…てめぇに名乗る名はねー」

「名乗らないなら『少女に踏まれて失血死少年』て呼」

「まだ死んでねぇよ阿呆!つーか逆に長ぇだろ!!」

「そう呼ばれたくないなら名乗れ」

「……隼人。獄寺隼人だ。」


 無理矢理名乗らなければならない雰囲気を作り出すと、案の定彼は嫌そうな顔をする。そして渋々、というか恥ずかしそうに名乗った。ちょっと可愛いなんて思ってしまったのは秘密。けれど私は 彼の口から飛び出た名前が信じられず、聞き返してしまった。


「え?ごめん、今なんて?」

「だから、獄寺隼人だっつってんだろ!」

「ご、獄寺ぁ!?」


 まじだ。真面目にコイツ『獄寺』だ。
そういえば口調も顔も原作の獄寺そっくりだよ、なんで私気付かなかったんだよ。


「ワォ、ミラクル…」


 驚愕のあまり某風紀委員長の口癖がつい口から出てしまった。だってびっくりだよ。『スモーキン・ボム』とか『悪童』という通り名はよく聞いていたけど、原作以前に彼と会うなんて思ってもいなかった。でも、じゃあ私は将来のボンゴレ幹部を助けたことになるのか。


「で、てめぇは?俺が名乗ったんだからてめぇも名乗れ」

「え?あ、そうだね。私は玉城風羽。結構有名だから聞いたことあると思うんだけど…」

「風羽!?『月花の風羽』か!?」


 私の名前を聞いて向こうも驚いている。自分でさっき彼に言ったけど、実は私 マフィアの世界じゃ結構な有名人だったりするんだよね。私の二つ名となっている『月花』――主に帝から寵愛を受けているものの例え。つまり私がボンゴレ9代目の寵愛を受けていることをなぞらえて付けられた二つ名なのだ。イタリアの癖に日本人の私より詳しいやつがいるんだね。


「うん、そうとも呼ばれてるね」

「こんな女が…!?」




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あきゅろす。
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