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「うが!!」
「ぎゃん!!」
私は 突然起き上がってきた銀髪に額をぶつけ、痛さの余り咄嗟にうずくまった。
「……ッ…いったぁ〜ッ…」
痛む額を鏡で確認すれば、少々赤くなっている。これ内出血とかしたらどうしよう。額のど真ん中に打撲痕があるなんて、乙女にあるまじき顔だ。そうなってしまったら、某エロ医者にでも治してもらおうか――等と私は悶々と考える。しかし 私と額をごっちんこした彼も無事では済まされなかっただろう、と思い銀髪の怪我人へ目を向けた。すると案の定ベッドの上で痛そうに額を押さえており、私に噛み付かんばかりの剣幕で声を荒げる。
「ってめぇ…!いきなり何しやがんだ!!」
「何って…そっちが急に起き上がるから悪いんでしょ!?」
「んだとてめ……う"っ…!!」
しかしやはり怪我人。自分の声が傷に響いたのか、彼は苦しそうに包帯の巻かれた腕を押さえた。
「あーあ、そんな叫ぶからだよ」
「誰のせいだ!誰の!!」
「…って、言ってるそばから叫んでるし」
「うるせぇ!!」
全く学習しない彼をスルーして、私は救急箱を手に近寄る。そろそろ包帯を替えた方が良い。(ちなみにの彼の治療をしたのは私だ)
「はいはい、大人しくしててねー」
「い"でで!!」
尚も叫んでて煩いから、少し傷跡を押して静かにさせる。荒療治だけど、暴れられるよりは良いでしょ。そうして私は手早く包帯を取り去り、薬を塗ってまっさらな包帯に替えてあげた。
「いっちょあがり!」
「………」
「…ん?」
治療終了の合図を送ってやったが、返事は無言のみ。消毒薬でいじめすぎたか?
「……生きてるー?」
痛すぎて失神してるのかな、なんて考えて顔を覗き込めば
「生きてるに決まってんだろーが!」
と、でこピンされた。そこさっき額ぶつけたところなんだけど。後で覚えてやがれ。
「いた!ちょっとお前恩人に何すん」
「…なんで」
「……?」
「なんで、俺なんか助けた」
何言ってんだコイツ。私がびっくりして彼を見つめていると、居心地が悪くなったのか 彼はフイと顔を逸す。なんだか捨てられた子猫みたいだ。
「なんでって…あそこで死なれたら気分悪いし」
「それが訳わかんねーんだよ…俺なんて放っておけよ!!」
「別に放っておいて欲しいなら良いけど……『少年、少女に踏まれ失血死!!』なんて新聞の大見出しに載ったら可哀相だと思って」
「……てめぇ馬鹿にしてんのか?」
「やっだなー。3割くらい真面目よ」
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