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 風羽がイタリアに来てから早2週間。「リボーンとともに日本へ向かうまで イタリアに滞在する」とつい約束してしまった手前、彼女は未だに日本へ戻れずにいた。


「暇過ぎる…花凛に会いたいよ〜…」


 だがイタリアにいるからといって、他に任務を与えられる訳でもなく。まるで長期休暇をとったような退屈な日々に、彼女は飽き飽きしていた。退屈凌ぎに花凛へ電話しようかな、などと思っても日本とは時差があるため 妹はぐーすか寝ているに違いない。


「この…早くリボーンこぉぉい!!」


 自分の部屋の窓から大音量で叫ぶ少女。ちなみに今彼女がいるこの屋敷、ボンゴレ本部とは別の屋敷で 本部から10分歩いたところに建っている。何年か前、風羽が側近に命じられた時 9代目からこの姉妹に与えられたのだ。ゆえに現在住んでいる人間は 風羽と数人のお手伝いさんしかいないのだが…恐らく彼女の叫び声は屋敷内だけでなく、周りの家にも届いていたに違いない。

 暇だ暇だ、と うわ言のように呟き、からりと晴れ渡った青空を見上げる。すると、遠くに人々で賑わう市場が見えた。市場からはパンやピザを焼く煙がたなびいており、彼女はゴクリと喉を鳴らした。


――思い立ったが吉日。


 お昼ご飯は部屋に運ばれてくるが たまには外食も良いか、と彼女は一人ごちた。そして正にことわざ通り――彼女は財布を引っ掴むと 市場へ向かうべく勢いよく窓から飛び降りたのだった。




****



――ガラガラ!ガシャン!


「…くそっ。どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがって…!」


 薄暗い路地裏に騒音が響く。俺は壁に寄り掛かり、ズルズルと地面に崩れ落ちた。弾が腕を掠めたらしく動かす度に鈍い痛みが走る。たいした傷ではないようだが出血が多く、白いワイシャツがどんどん紅く染まっていく。


「……いてぇ…」


 ポツリと 呟いた。普段なら弱音なんて絶対言わねぇが、幸いここには俺だけなんだし 構わねぇだろ。俺は血の味がする唇を舐め、血に染まっていない方の手で銀色の髪を掻あげた。


――年上なんて嫌いだ。


姉貴も、エロ医者も、みんなみんな。俺のことなんてハナから見下して、全くこっちを見ようとしやがらねぇ。

 不覚にもジワリとにじんできちまった涙を ゴシゴシと袖で拭き、身体を地面に横たえる。日が当たらずひんやりと冷えたコンクリートが、ほてった身体にはとても気持ち良い。


「ハッ…日の当たらない路地裏は、俺にピッタリだ…」


 誰からも全く相手にされず『悪童』と呼ばれる始末に、笑いが出る。俺は自嘲して、一寝入りしようとゆっくり目を閉じた――つもりだったのに。


「近道近道ー!とう!!」

「うがッ!!」

「……ん?なんか踏んだ?」




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あきゅろす。
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