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「横わり申し訳ないのですが……何故私を呼んだのですか?」


 後継者の話なら、家光様だけで良いはずだ。「側近」だからって理由なら 他の守護者も呼ぶはずだし…最近の9代目の行動は、実に謎である。


「側近だからではないよ。君を呼んだのは、君が非常に特別だからだ」


 訝しげに彼を見つめていると、私の心を読んだように彼は説明し出した。そんなに私顔に出やすい性質か?(超直感で直感したって言うならそれはそれで良いけど)まぁどちらにしろ、9代目の説明は説明になっていなかった。


「特別とは?」

「君は、未来を知っている」


――…あぁ、なるほど。


 彼の言葉を聞いて、私は全て合点がいく。ここにいる彼らは、私達姉妹が異世界の記憶を持っている事実を知っているのを、すっかり忘れていた。


「…未来のツナについて教えろ、と おっしゃるのですか?」


 それはどうなんだろう。ここの未来が全て漫画の通りに行くとは限らない。第一、未来なんて知らないほうが幸せなはずだ。そんな意味を込めて問うと、9代目はおかしそうにクスリと笑った。


「いや、未来を話す必要はない。ただ君は、彼が相応しいか否か、思ったことをどちらか正直に述べてくれれば良いんだ」

「それだけで良いんですか?」

「ただし、正直にね。君の意見は非常に重要だから」


 なんて簡単な。ていうか、何でそんなに私の意見が重要なんだろうか。未来を知ってるから?たったそれだけで?どんなに説明を受けても なかなか腑に落ちなかったが、私は仕方無く彼に従がった。


「分かりました。では私の意見を述べます。ツナは…沢田綱吉は、10代目候補に――」



****



 話し合いが終わった後、家光はすぐに部屋を出て行った。そのため、現在部屋には風羽と9代目のみ。彼は風羽へ視線を向けると、空色の瞳に彼女を映した。


「風羽、色々と迷惑をかけてすまなかったね」

「謝らないでください。私は、貴方のお役に立てるなら構いませんよ」

「ふふ、それは嬉しいね」


 風羽は彼に優しく言うと、クスクスと笑う。二人は今までとガラリと雰囲気を変えて、くだけた態度で談笑を始めた。普段は大人びている風羽だが、こうして無邪気に笑っていると年相応に見える。


「あ、そういえば9代目」

「なんだい?」


 突然彼女は「あ!」と声をあげ、懐から封筒を取り出す。先日9代目から送られてきたものである。彼女は封筒の中へ手を入れると、手紙ではなく 何の変てつもない銀色のチェーンを取り出した。





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あきゅろす。
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