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「(風羽は大反対するだろうなぁ…)」


 私が風紀委員の補佐になったなんて聞いたら、風紀委員を実力行使で潰しかねない。彼女ならそれが出来るし、性格上非常に有り得ることだ。けれど、


「(風紀の仕事はしないんだし…良いよね?)」


なんて考える私。一度そう思ってしまうと、何も根拠がないのに なんとかなるような気がしてくるから不思議だ。私は心を決めると、真直ぐに彼を見る。そして


「…お引き受けします」


と言った。


「そう、良かったよ。じゃあ早速ここにあるの全部やってきて」

「え、全部…ですか?」

「そうだよ。何回も言わせないでくれる?」

「いやでも…それすっごく量が多いんですけど…」

「やるって言ったんだから文句言わないでよ」


 少しの応酬の後、再び彼のトンファーが振るわれ壁に新しい穴が出来た。この部屋壁に穴空き過ぎだけど、良いんだろうか。引き受けなきゃ良かった、なんて落ち込んでいると、彼はもう興味がなくなったようにこう言って私を部屋から追い出す。もちろん書類はしっかり持たされて。


「明日までだから。じゃあ下校時間過ぎてるし、早く帰って」



*****



 部活が終わった後、忘れものをしたことに気付いて俺は教室へ向かった。そしたら見回りかなんかだろうか、ヒバリが俺達の教室の前に立っていて。理由言って入れてもらおうかな、なんて考えてたら いきなりあいつは誰かの手を引いて歩きだしたんだ。

そして、その誰かって言うのは――


「疲れた…」

「よ、秋桜お疲れ!」

「って、や、山本君…!?」


 なんでここに!?ってオロオロしながら俺に近寄ってくる。ヒバリに連れて行かれたけど、無事だったみたいでホッとした。俺は手元にあった秋桜の荷物を渡してやれば、笑顔になって「ありがとう」って言われた。


「ヒバリに連れてかれたみたいだったけど、どうかした?」

「あ、見てたんだ。うーん…仕事任されたっていうか…」

「へぇー!仕事任されるなんてやっぱり秋桜は凄いのな!」

「す、凄くないよ。ただあの人がゴーイング マイ ウェイなだけで…って、それ山本君もそうか」

「ごーいんぐまいうぇい?」


 気にしないで〜って言って笑う彼女は、何処かお疲れの様子で。でも外傷はないし大丈夫そうだな、なんて呑気に考える俺。すると、


「スーパーのセール終わっちゃった…」


と、秋桜の呟きが聞こえたから、心の隅で「ラッキー!」って思いながら一つの提案をする。


「じゃあさ、俺ん家来ねぇ?オヤジに言えばおごってくれると思うぜ」

「山本君の家?確かお寿司屋さんだっけ。……でも悪いし…」

「良いから良いから!そうと決まれば早く帰ろうぜ!」


 ためらう彼女を強引に誘えば 優しくて気弱な彼女は断れるはずもなく。彼女の性格を利用するのは悪いな、とは思ったけど これで秋桜の疲れがとれるなら良いや、なんて思って俺は教室を出た。







(もしかして、気使ってくれたのかな?)
第1章10番candidate了.
11番に続く。


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あきゅろす。
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