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――呪われてる。


 花凛がそう思うには訳があった。というのも、入学式以来 彼女は綱吉と仲良くなりたい一心で果敢に彼に話し掛けようとしていたが、先程の花や京子、先生の呼び出し、と言った様にいつも惜しいところで邪魔されてしまい未だに一言も話せていなかったのだ。


「(山本君とは仲良くなれたのに…やっぱりリボーンが来てからじゃなきゃ駄目なのかな?)」


 先に行くね、と二人の友達に声を掛けてから更衣室を出、おぼつかない足取りで教室へと繋がる廊下を進む。途方にくれながら歩き続けていると不意にある言葉が脳内に浮かび上がった。


『君がしたいと思うことは、きっと正しい。だから、一度決めたことはやり遂げなさい』


 ハッとして立ち止まる花凛。この言葉は9代目の――花凛が並盛へ発つ直前、9代目が彼女へ告げた言葉だった。


「(…そうだよ…悩んだって仕方無いじゃない)」


 9代目ありがとう!と 暗く沈んでいた気持ちをスッパリ切り替え、次こそは話し掛けようと決意を改め拳を頭上に突出した。


「よーし…頑張るぞー!」

「何を?」

「…!?ぎゃああぁ!!?」

「うわ!?」


 予想だにせず突然頭上から降ってきた問いに、花凛は乙女らしからぬ叫び声を上げてしまう。


「や、やや山本君…!」


 びっくりしたー、と未だに鳴り止まぬ胸を撫で下ろし背の高い彼を見上げれば


「わりぃ、驚かせちまったか?」


と、彼はニカッと笑いながらたいして反省していない様子で 自分の頭をガシガシと掻く。


「あ、ううん。大丈夫…!山本君は…教室に戻るところ?」

「おう。秋桜もだろ?一緒に行こーぜ!」

「うん!」


 花凛が二つ返事でOKを出すと、二人で他愛もない雑談をしながら廊下を歩いていく。


「…そういやさー、さっき『頑張る』って言ってたけど、あれ何?」


――覚えていたのか!


 今まで全く関係の無い会話をしていたので すっかり忘れているのだろう、と花凛は思っていた。しかし、彼は単に話を切り出すタイミングを計っていたに過ぎなかったようで。




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