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 ツナといえば 今頃は最強の家庭教師に スパルタ教育を施されているのだろう。家光が 9代目から10代目候補の相談を受けてから およそ1ヶ月の歳月が過ぎていた。


「お待たせしました皆さん!」

「まぁ、綺麗ね。これどうしたの?」

「花凛殿と風羽殿から今日届いたんです。美味しいらしいので、親方様も是非!」


 桜の形をした和菓子を家光へ差し出す。優しい色合いが送り主にピッタリだ、と笑いが零れる。初めて和菓子を目にしたバジルやオレガノは 菊や牡丹の花へ精巧に似せて作られた菓子を もの珍しそうに観察していた。


「バジル、まだ彼女達と文通を?」

「はい、手紙で日本の文化を沢山教えてくれます!」

「そうかー!もっと大和文化を知るんだぞ!」

「はい!親方様!」

「(ああ…またバジルに間違った知識が植えられていく…)」


 破顔する愛弟子へ愛しさを感じ 家光はポンポンと頭を撫でた。

 あの姉妹と門外顧問チームは何気に親交が深い。かつて花凛が (本部よりは)危険が少ない 門外顧問チームへ依託されていたことが原因にあるのだが それ故 風羽はここへ足繁く通っていた。必然、度々顔を合わせる彼らは仲良くなる。そうして風羽とバジルは よく一緒に修業をしていたものだった。



『ツナは…沢田綱吉は、ボンゴレ10代目に――』


 優しい記憶に浸る家光の脳内へ 突然1ヶ月前の記憶が蘇ってきた。ハッとして 菓子を食べる手を止める。風羽の放った言葉が ぐるぐると渦巻く。


『――沢田綱吉は…10代目に最も相応しい人間です』


 あの時 静寂のみが支配する洋室で 彼女は絶対的な自信を込めて言葉を返した――それは未来を知るがゆえに出来る芸当。


『…それが…君の答えか』

『はい。9代目…彼の他に 10代目を引き継げる人間はいません』


 ボンゴレの血が流れるツナが 後継者たる資格を持つことは誰にでも分かる。しかしそこまで断言するとは予想だにしていなかった家光は 言葉を失った。それは9代目も然り。時々彼女はボンゴレの血を持ってしても直感出来ぬことをしでかす。それは異世界の人間ゆえか…彼は答えの見えない問いを繰り返した。



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あきゅろす。
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