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「それ出しといて」

「はい?」


 妹へ何て切り出そう、と風羽頭を捻っていた最中 雲雀はあくびを一つする。そしてそのまま身を翻せば 雲雀はトンファーをしまい込んだ。


「理科教師咬み殺そうと思って来たけど、なんか興味なくなっちゃった。僕は帰って寝ることにするよ」

「え?ひ、雲雀さん?」

「秋桜、放課後 書類片付けにきなよ」

「あ…は、はい…」


 口をポカーンと開け 床に座り込む花凛を その場に残したまま去りゆく雲雀。先程まであんな怒ってたのに、と花凛は呆然とし 後に残された姉妹は 傍若無人な背中をただ見送るしかなかった。

 そんな中 風羽よりも先に我に返った花凛が口を開く。


「あのー…風羽、ごめんね」

「あー謝らなくて良いって。これくらいなら掟破ったって大丈夫よ」

「そうじゃなくて…その、風羽は我慢してるのにごめん」

「……ああ、それなんだけどさ…」


 彼女は額に手を当て 苦笑いを浮かべた。言い出しっぺのくせに!と怒られないか不安に思いつつ 心の内を伝える。


「私もちょっと手出しちゃってるんだよねぇ。だからさ、まぁ『骸を倒しちゃったー』なんてしない限り大丈夫よ」

「え、風羽も?」

「ほんのちょっとだけど、ね。でも…あんまり手出して良いって訳でもないし注意しなきゃいけないわね」


 いたずらっぽく微笑み 花凛の頭を撫でる。日の光を受けて美しく煌めく姉を 花凛は意外そうに見あげた。


「そっか。でも…やっぱり、本当に大事な時は手出せない…?」

「……そうね。だから私達は彼らの――」

「――『仲間にはなれない』?」

「「!?」」


 突然この場にないはずの人間の声が廊下に響く。気配を読み取れなかったことへ盛大に舌打ちをし 風羽がそちらに身体を向ければ 憮然した獄寺と ヨレヨレの服を来たツナが立っていた。硝煙臭が漂い まさに戦いの後、と言った風貌だ。


「獄寺君とツナ君…いつからそこに!?」

「たった今だ。いちゃ悪ぃかよ」

「そう言う訳じゃないんだけど……ツナ君、私達の話聞いてた?」

「えーと…『本当に大事なときは手を出せない』ってところから、かな?」

「そ、そっか…(危なかったぁぁ!)」


 最初の話を聞かれていなかったことへ 花凛は胸を撫で下ろす。今後一切 人の居そうな場所で秘密の話はしまい、と固く心に決めれば 風羽とアイコンタクトを取った。

 そんな彼女達へ不思議そうな視線を向けるツナと 風羽を不機嫌そうに睨み付ける獄寺。朝のことを根に持っている顔付きだが 風羽は知らん振りだ。


「お疲れ様、獄寺。退学処分免れるみたいね」

「ケッ…当たり前だろ!俺がいるのに10代目を退学にさせてたまるか!」

「一体誰のせいだと…」


 豪語する獄寺の後ろでツナがささやかに突っ込みを入れる。が、全く獄寺には聞こえておらず 彼は諦めにも似た溜め息を吐いた。



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