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 一方の玉城は 尚も立ち尽くしたまま。自分を守るように 自らの腕で己を包む。まるで何かに怯えているが如く見え 僕は少し意地悪をしたくなった。


「玉城…君って、いつも秋桜のために走り回ってるね」

「大事な妹だもの。当たり前でしょーが」

「ふうん?本当にそうかな…」

「…何が、言いたいの?」

「僕には まるで彼女の何かが露見してしまわないように守っているように見えるよ。…そう…例えば、誰にも知られたくない秘密とか」

「……何を、見た?」


 やっぱり食い付いて来た玉城。確信を込めた疑問を僕へ投げ掛ける。表情の仮面は途端に剥れ人形のような無表情。僕は笑いが漏れ 思わず口角があがる。


「何も見てないよ」

「……そう。なら良いわ」


 玉城はポーカーフェースを装いつつ身を翻す。彼女が逃げるが如く部屋から立ち去れば 僕は真っ白な部屋に一人残される。


 楽しくなってきた。あの姉は確実に白い炎の正体を知っている。玉城と秋桜に目を付けたのは間違いではなかったのだ。二人の違和感、謎の炎、何かを隠す姉。僕は悪役のように口許を歪め 舌なめずりをした。


 絶対に突き止めてあげる――それは興味半分のお遊び。底無し沼へ足を踏み入れたことも知らず 前へ進む僕。

 僕達が真実を突き止めた日――その日 既に世界は狂想曲の終焉を迎えていた。








(誰も知らない、私だけの秘密)
第1章27番lightning and flame-2了.



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