[携帯モード] [URL送信]
ページ:6



 俺は自分の経歴については 姉貴のことしか話していない。リボーンさんは独自の情報で何でも知ってるのだろうが わざわざそんなことを秋桜へ話すだろうか。マフィアはあまり自分のプライベートについては語らない。俺をスカウトした9代目にさえ話してないのに、と思考に耽っていると 灰を落とすのを忘れていて「あぢ!」と声を上げ灰を払った。


「そーいや、あいつ何か変なんだよなぁ…」


 代表的なのは 退学騒ぎの時 彼女が風羽と交わしていた会話。断片的にしか聞き取れなかったが 話し掛けてみたら明らかに挙動不信な振る舞いをした。確か"仲間になれない"だとか言っていた気がするが 根拠の部分は理解出来ず歯痒い思いが渦巻く。そうして悶々と考えるも全く関連付けは成功せず ついに俺は立ち上がった。


「あ"ー!チクショー、めちゃくちゃ気になんだよ!!」


 煙草の火を消すと 財布をポケットへしまい玄関を出る。その勢いで靴へ足を突っ込めば彼女の後を追うべく扉を開いた。見掛けによらず学者気質な俺は 一度気になったことは何としても解明しなければ気が済まないのだ。こうなれば10代目の家に行っただろう秋桜へ直接談判するしかない、と俺は歩き始めた。が、予期せぬ何かに躓き 怒濤の如き勢いで歩き始めていた俺はつんのめってしまった。


「うが!」

「痛っ!」


 俺の奇声に誰かの悲鳴が重なる。この声はまさか、と足元の物体を見やると案の定秋桜が玄関横で体育座りをしており 俺に蹴られた箇所を痛そうに擦っていた。普通の女子なら思いっ切り拒絶された時点で帰るだろうが どうやらまだ居たらしい。平凡の塊と言っても一応はマフィアに属してるだけあって 多少のことではへこたれない秋桜を少しだけ見直した。


「てめーまだ居たのかよ」

「え…いや、ちょっとここで覚悟を決めてから会いに行こうと思ってて…」

「覚悟いるくらいなら会いに行かなきゃ良いだろーが」

「そ、それは駄目…!何日掛かっても絶対に会いに行くもん!」


 何日も掛かったらシャマルは10代目の家から居なくなってるはずだ、そう思わず指摘しそうになったが彼女の必死な様子を見て口を噤んだ。俺は立ち上がって埃を払う秋桜を背に少し先を行くが 思い直して立ち止まる。そうして振り返って彼女を待てば 彼女は不思議そうな表情を浮かべた。


「獄寺君…何処か行くの?」

「何処って…10代目の家に行くんだろーがよ。寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ」

「え…一緒に行ってくれるの!?」


 ありがとう!本当にありがとう!と至極嬉しそうに何度もお礼を言い 急ぎ足で隣りに並ぶ秋桜。彼女は珍しいほど上機嫌で 聞いたこともない鼻歌を歌いながらスキップ気味に歩いている。エロ医者に会うのが何故そんなに嬉しいのか分からなかったが 気怠く足を動かす俺は 良いチャンスだ、シャマルと俺のことを聞いてやろう、と渋々口を開いた。


「単刀直入に訊くけどよ…何でてめー、俺とシャマルが知り合いだって知ってたんだ?」

「へ?……あーそれは…えと、シャマル先生から聞いた?かな?」

「…何で疑問系なんだよ」

「いやぁ、私も記憶が曖昧で…うん、もしかしたらビアンキさんから聞いたのかも」

「てめーなぁ…一体どっちだよ」

「あ、た、多分シャマル先生!うん、そうだよ!」


 俺に説明すると言うよりは 秋桜が自分自身へ説明しているに近い状況。シャマルと秋桜が知り合いだと言う事実に些か驚いていると ふと、秋桜が知り合いなら風羽だって知り合いのはずだと気が付き冷や汗が流れるのを感じた。なんたってシャマルはイタリア随一と称して何ら支障がない程女好きだし、おまけに風羽は風羽で相当美人ときてる。ならば既にシャマルの毒牙の餌食になってしまっているのでは、そんな思いが脳裏を掠めた。



[*前へ][次へ#]

6/7ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!