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同日の放課後、リボーンに収集を掛けられた風羽はボクシング部の部室へ足を運んでいた。どうやらまだ花凛は来ていない様子で獄寺が不満を漏らす。山本と花凛に必要以上に突っ掛かる彼を見て風羽は困ったように眉を寄せた。
「うぉぉ!死ぬ気で入部を断る!!」
「その意気です10代目!芝生頭なんてボッコボコにしてやってください!」
「うわ、ツナも先輩もすっげー応酬…」
死ぬ気弾を打たれたツナは了平の殺人ラッシュを軽々と交わし 止めの一撃をお見舞いする。すると了平はリングから吹っ飛んでしまい 京子が駆け寄って行った。了平がボクシングで負けた姿を見たことのない風羽が楽しそうに口笛を吹くと 起き上がった了平は相変わらずの熱血でツナを勧誘、観客席で見物していた野次馬達はやんややんやとお祭り騒ぎを起こし 口々にツナを褒めたたえた。
「沢田、お前は逸材だ!極限に良いストレートだったぞ!是非とも我が部に入れ!!」
「それさっき断ったんですけど…!!」
「もう…お兄ちゃんったら!ツナ君が困ってるよ」
こんな時ですらツナは 了平を諫める京子を見て鼻の下を伸ばしている。風羽はそんな次期ボスを軽く叩き お疲れ、といった風に肩を組んだ。
「よくやったツナ!了平が負けるなんて良いもの見れたわ」
「え?風羽ってお兄さんと知り合いなの?」
「知り合いも知り合い、ご近所さんな上に同じクラス、しかも何の因果かずっと同じ班なのよね」
明らかにそれは了平の扱いに困ったクラスメート達の企みに間違いないのだが 風羽は気付いていない。こいつ鍛えれば良い戦力になるわよ?と満面の笑みで語る風羽。ツナがファミリーを増やすのを嫌がっているのを見越した上の笑顔で 彼は自分のこめかみに血管が浮き出るのを感じた。しかし山本や獄寺、更に最愛の京子に褒めちぎられてはこんなところで怒りを撒き散らす訳にもいかず 仕方無く自分を抑え込んだ。そうして全てが終わった後に花凛が小走りで部屋に駆け込んでくる。
「あー…!間に合わなかった…!ごめん、京子…」
「あ、花凛ちゃん!遅かったけどどうしたの?お兄ちゃんとツナ君の試合終わっちゃったよ」
「それがちょっと用事が…」
「風紀委員のお仕事?」
「まぁ…そうとも言うかな…雲雀さんにお説教食らってて遅くなっちゃったの」
花凛は残念そうにツナと了平を見比べたが 風羽から結果を聞くと顔を綻ばせて「おめでとうツナ君!」と両手を合わせた。ツナにしてみれば何がおめでとうなのかよく分からないが 褒められ慣れていない彼は些細なことでも照れてしまう。頬を赤らめてお礼を言い 彼は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「秋桜、沢田のストレートを見逃すとは惜しいことをしたな!」
「はい、とっても残念……でも、ツナ君のファミリーが増えたから良いんです」
「む?ファミリーとは何だ?」
「はいはい、二人ともその話はまた後よ」
疑問を投げ掛ける了平と花凛の間に風羽が乱入し 話を混ぜっ返す。しかし熱い男、了平は気に掛かったことにはしつこいのだ。彼がガオーと吠えて威嚇するものだから姉妹、獄寺に山本、そしてツナはお互いに顔を見合わせて何と説明して良いものかとアイコンタクトを取っていた。
――こいつ口で説明して分かるか?
了平には失礼ながらも的確な問いを投げ掛ける一同。投げられた疑問のボールを捕らえて返せる人間はおらず皆真剣に悩んでいたが この中で一番了平を扱い慣れている風羽がついに一つの結論を出した。
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