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 開いた口が塞がらないと言うのはこのことだ。花凛は呆然と目の前にある雲雀の瞳を見つめていた。


――だって…だってだって!


「(あの鬼風紀委員長の雲雀さんが助けてくれた…!?)」

 こんなのおとぎ話でない限りとてもではないが信じられない。そう思ってしまう程に雲雀は彼女の中で"恐怖の象徴"として刻みつけられていたのだった。最もあれだけ追いかけられればどんな人間でも恐怖を覚えるだろう。彼女の姉を除いて。


 いつまでも彼を凝視し 口をパクパクさせている花凛に再び苛つき始めたのか、彼は不機嫌そうに眉をしかめた。


「君、さっきから頭大丈夫?」


 至極失礼な台詞を言い放てば 突然花凛を抱き留めていた手をパッと離した。なんと彼は花凛を地面にほっぽり出してしまったのだ。当然、雲雀に全体重を預けていた花凛は支えを失ってしまう。わわ!と小さな叫びを上げながらバランスを崩し地面に思いっ切り尻餅をついた。


「ぎゃん!いったた…な、何も急に離さなくても良いじゃないですか!」


 痛そうにお尻を擦り 地面に座ったままブーブーと抗議をするが、地面に放り投げた当の本人は何のその。涼しい顔で再びトンファーを構えればサラッと


「君が倒れた時支えてあげたんだから、良いでしょ」


と言い放ったのだった。


「(その後地面に落としたら 助けた意味ないから!)」


 いつもの癖で、花凛は思わず突っ込みそうになる。が、ここで突っ込めば明日の朝を二度と拝めない気するので我慢我慢。というか このゴーイング・マイウェイな彼にそんなことを言ったとて「ああ、そう」程度で流されてしまうに違いない。


 そんな無駄なことをして命を捨てるなど真っ平ごめんだった。それならば、と文句を言う代わりに先程のお礼を言おうと口を開きかけた刹那


――パァンッ!



大きな破裂音が校門に鳴り響いたのだった。







(追伸――9代目、今日は厄日です)

3.firstcontact 了
4へ続く。



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