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 銃弾が髪の毛を掠ってハラリと数本地面に散る。彼女に寄れば撃ち殺されることは間違いないようだ。前には風羽の銃、後ろには獄寺のダイナマイト。どちらの道を選ぼうとも 危うきこと虎の尾を踏むがごとし。

 どうしようか、なんて俺が迷っている間にも彼は沢山のダイナマイトを取り出し 「果てろ!」を連呼しながら投げ付けてくる。そんな数のダイナマイト、一体身体の何処に隠してるんだよ。


「獄寺隼人は体の至る所にダイナマイトを隠し持った人間爆撃機だって話だぞ」

「そ。お陰でついたあだ名がスモーキン・ボム隼人って訳。…命は大切にしなさいよねー…」

「冗談じゃないよ―!!」



 最後の方で風羽が何か言ってた気がするけど 爆撃の音に遮られてよく聞こえなかった。でも聞こえなくても困らない。むしろ困るのは後ろから追ってくる人間爆撃機であって。無我夢中で逃げ回れば運悪く行き止まりに当たってしまった。最早オレの命は風前の灯。誰かに吹き消されれば一瞬で散ってしまうだろう。

 けれどそんな危険な時にこそ「あれしときゃ良かったー」なんて後悔は出てくるもので 頃合を見計らってリボーンが撃ち込んだ死ぬ気弾によってオレは死ぬ気で消火活動を始めた。

 何故"死ぬ気で彼を倒す"じゃないのか、と聞かれてもそれは困るな。だって後で考えてみても分からなかったから。でも 敢えて理由を言うなら オレは無意識の内に誰かを傷付けてまで勝つのを嫌がってたんだと思う。

 5分経つとオレの消火の甲斐あって ひとまず全て火は消えていた。なんとか助かった〜、なんて呑気な声を上げてゴシゴシ汗を拭いていると いきなりマフィアの彼が床に手をつく。


「御見それしました!!あなたこそボスに相応しい!!!」

「!!?」

「10代目!あなたに付いて行きます!なんなりと申し付けてください!!」

「ふふふ…ッ…あはは!」


 何でも負けたやつが勝ったやつの下につくのがファミリーの掟だとか…そんな掟いらないし。第一オレは火を消しただけなんだから勝ったって言わないと思うんだ。でも彼にしたら「身を挺して助けてくれた」と言う解釈になっていて オレがどんなに断っても聞いてくれそうにない。というか怖くて言い返せない。しかも風羽はそんな俺達をみてお腹を抱えている。あんまり関係ないけど、彼女って笑い上戸だよね。


「ふふ、良いじゃない!ファミリーにしてあげたら?」

「獄寺が部下になったのはお前の力だぞ。よくやったな、ツナ」

「でもこれで獄寺はツナの初めてのファミリーね」

「初めて?…風羽、お前10代目のファミリーじゃねーのか?」

「私は"護衛"兼"お友達"。つまり、まだツナのファミリーじゃないのよねー。だからあんたが一号よ」


 ああ、そういえばこの間そんなこと言ってたっけ。でも別にファミリーである必要ないよ。オレはマフィアのボスになんか絶対ならないんだから 意味がない。でも――


「ツナのファミリー羨ましいなぁ…ね、ツナ?私達も入れて欲しいなー」

「な、何言ってんだよ!オレファミリーなんて要らないってば!」

「おい風羽、10代目に馴々しく話かけんじゃねぇ」


 ニコニコと笑う風羽を見ると時々思うんだ。本当にオレのファミリーになりたいのかなって。オレだってファミリーが欲しい訳じゃなし彼女がファミリーになりたがらないのは全然構わない。でもファミリーになる気はないのにどうして彼女はそんなことを言うんだろう。なんだか風羽や花凛ちゃんには周りには言えない秘密があるような気がして 友達って言われても除け者にされている感じがした。




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