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「うわー…花凛と山本手繋いでんじゃん!」
「え?あ、本当だ。花凛ちゃんと山本君仲良いもんね」
手?慌てて手元を確認すると確かに繋いでいて。学校に着いてから息を整えるのに夢中だったから 全然気付かなかったようだ。彼女達の指摘に顔を見合わせれば 私達は勢いよくお互い手を離した。山本君はなんだか顔を紅くて 少し気まずい空気が流れる。
「ふ、二人ともおはよう!あの…別にこれは何か意図があった訳じゃなくって…!たまたま…そう、たまたまなんだよ?!」
「へー?"たまたま"手繋いでたんだー?」
「(何その怪しむような目ぇぇぇ!!)」
京子に目で助けを求めるも超天然な彼女が解るはずがない。にっこりととびきり可愛い笑顔を返されて私は再び戦地に送り出される。
「ちょっと逃亡してて…深い意味はないんです!」
「深い意味はない、ねぇ?でも私には 山本とあんたがカップルみたく嬉しそうに手繋いでたように見えたけど?」
「は、はは花!そんなこと言ったら山本君に迷惑が…!!」
最近は誤解ばっかりされている気がする。『今月のタイミング悪いで賞』なんてものがあったら間違いなく貰えそうだ。まぁそんなのないけどね。だが私が必死に否定している間ずっと黙っていた山本君が突然口を開いた。
「いやー…俺はあんまり迷惑じゃないけどなーなんて…あは、あはは!」
「「「……」」」
何言ってるの山本君!天然にも程があるよ!ここは全力で否定しなきゃ君の人生に関わるのに!!そんなことを叫びながら私は必死に彼へ訴えるが 彼はあはは!と笑うばかりで。花なんてニヤニヤと肘で小突いてくるし 絶対誤解されてしまった。こんな話が広まれば山本君ファンに殺されること間違いなしである。
「花!お願いだからその話広めないでね!?」
「大丈夫よ、あんたとは友達だもの。タダで黙っておいてあげる」
なんて何か言いたそうな目で約束してくれた。てか友達じゃなかったらお金取るんだ。彼女の誤解は解けてないけれど 取り敢えず安心だって思って教室に向かう私達。花と京子(特に花!)は変に気を使って2メートルくらい後ろを歩いている。これぞ小さな親切大きなお世話、だ。
「…ごめんね、私のせいで誤解が…」
「なーに、気にすんなって!ま、手繋いでたのは本当なんだしさ!」
山本君、頼むからそういうこと教室で言わないでね。どうも私はこれから先が思いやられ はぁぁぁ、と深く溜め息を吐く。
するとそんな私を見て 山本君はいつもの笑みでにっこりと笑うのだった。
「でもさ…俺付き合うとかよく分かんねーけど、秋桜なら嫌じゃないって思うんだよなー」
(山本君…天然にもほどがあるってば―!)
第1章20番Hello,my BOSS!-2了.
21番に続く。
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