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彼女のいつものくせだろうか、心の中だけに留めておけば良いものを、思っていたことがつい口をついて出てしまう。
「……"もったいない"って、何が?」
謝罪やら言い訳やらを想像していた雲雀は 予想外の発言に拍子抜けし、トンファー構えた腕をゆっくり降ろす。
「い、いえ…何でも…」
「何でも無いなら"もったいない"なんて言わないと思うんだけど」
「本当に大したことじゃ無いので、さっきの発言忘れてください…!」
「大したことないなら言えるでしょ。…言わないと咬み殺すよ」
「(り、理不尽…!?)」
正しく俺様の典型である。花凛が理不尽な会話にショックを受けていると、腕を組み仁王立ちになっていた雲雀の目がスッと細められた。
「埒が開かない…君、やっぱり咬み殺す」
放っておけば永遠に続く押し問答に苛ついたのか。風紀委員長様こと雲雀は無表情で獲物を構え、再び標準を少女に定めんとす。
「えぇ!?ちょっとちょっと…!」
――それ絶対痛いから…!
痛いなんてもんじゃない。それどころか、今の自分では一撃でノックアウトされる自信さえある。全く自慢にならないけども。しかし花凛の制止の言葉も空しく雲雀はトンファーを振り降ろした。
「(こ、ここんなところで 殺られてたまるかー!!)」
花凛は普段からは想像出来ない程の俊敏さでトンファーをギリギリのところで避け、渾身の力で後ろに飛び退いた。そうして そのまま避けた勢いを利用して身を翻せば、花凛は全速力でその場から逃げ出したのだった。
(ああ、ツナ君に会えるのは何時なの?)
1.first contact 了
2.へ続く
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