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「やっほー花凛!お仕事頑張ってる?」

「え?あ…うん、まぁ……って、何でここに?制服着てないし…」


 雲雀さんに見つかったら怒られちゃうよ、なんて言いつつもたいして気にしていない様子で花凛は返事を返した。その傍らで獄寺は突然乱入してきた花凛を睨むように観察する。


「おい風羽、なんだコイツは?」

「ふはは!聞いて驚け!今日のメインイベント、私の妹花凛よ!可愛いでしょう!!」

「風羽、どこがメインイベントなんだかサッパリ分からないよ」

「俺もお前に同感だな」


 二人、というか花凛に冷たくあしらわれ少々落ち込む風羽だったがなんのその。すぐに立ち直れば再び楽しそうに口を開いた。


「花凛、これ獄寺だよ」

「これって何だ!!」

「え、この人が獄寺…君?」


 獄寺がぶつくさ風羽に文句を言っていると花凛が彼に目を向けた。だから釣られて獄寺も彼女の方を向いて見ると 何故か彼女はキラキラした視線を獄寺に送っていた。

 何なんだ、と彼が思わず一歩下がれば彼女もまた一歩近付いて来る。そんな静かなる攻防を無言で続けていたが遂に獄寺の背中が廊下の壁に当たり 彼は逃げ場を失ってしまった。すると花凛がチャンスだ!とばかりに一気に距離を縮め


「ほ、本物の獄寺君だ!あの、私花凛って言います!イタリアで風羽がお世話になったそうで…!同じ学年だろうし宜しくね!」

「言っとくけど、世話したのは私よ」

「っていうかその前に本物ってなんなんだよ!?」

「あぁ、風羽に話してたのよ。『少女に踏まれて失血死少年』の話を」

「てめぇまだその話引きずってやがんのか!?」

「……さぁーて…我が妹の紹介も終わったし校長室行きましょうかー」

「無視すんじゃねぇ!!」


 面白い程に風羽に翻弄されている。くるりと背を向けると彼を置いて先に歩き出す彼女の後ろ姿を 獄寺は悔しそうに睨み付けていた。すると ふと花凛が何か面白い玩具を見つけたように彼を見ているのに気付く。その表情にはどことなく彼をからかうような空気が混じっており 嫌な汗がつ、と彼の額を伝った。


「…何か言いたいことあんなら言えよ」

「んー?いやぁ……獄寺君も大変な人に惚れちゃったなぁと思って」

「ほ、惚れ…ゴホッゴホッ!?な、何言ってやがる!!?」

「ふふ、獄寺君って分かりやすいね」

「…う、うううるせぇ…!」


 クスクスと笑う花凛の口から放たれた予想外の台詞に 思わず蒸せて咳き込む。が、彼女に言い当てられたことは薄々自分でも気付いていた為に反論できず 彼はただ顔に血が上ってくるばかりで。花凛はそんな彼を見ると にっこりと微笑み拳をグッと握って慰めの言葉を掛けた。


「風羽モテモテだけど大丈夫!いつかは実るよ。いつかは!」

「慰めになってねぇよ!!」

「あはは、頑張ってね!」


 花凛はバシッと獄寺の背中を叩き励ます。獄寺にしたら余計なお世話だが 彼女からは悪意を感じ取ることは出来ない為 あまり邪険には出来なかった。

 しかし彼らが漫才のような会話をしている間にも風羽はスタスタと進んでおり 今にも階段へ着きそうで。




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