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 ヒーヒーとお腹を押さえながら地面を拳で叩き笑い転げる風羽に対し 獄寺の機嫌は急降下していく。が、笑うことに夢中な彼女は全く気づかない。風羽なら自分のことを分かってくれるかも、と思い打ち明けたのに 馬鹿にされた挙げ句大笑いされ 徐々に失望感が彼の心を支配していく。


「…ケッ…言ってろ!!」


 ギンッと彼女を一睨みし 踵を返してその場を去ろうとする獄寺。だが彼の一言でようやく機嫌を損ねたことに気付いた風羽は 慌てて彼の腕を掴み引き止める。


「ま、待った待った!ごめんって!笑ったのは謝るから!」

「るっせーな!!どうせてめぇも俺を馬鹿にすんだろ!?」

「だーかーらー馬鹿にしたんじゃないって!」

「さわんな阿呆女!!」


――しまった。


 前回この禁句を言って彼女が逆ギレしてきたのを獄寺は不意に思い出す。そして慌てて口を押さえるも覆水盆に返らず。既に言ってしまったものはどうしようもなく 彼は耳元で聞こえてくるであろう金属音を想像すれば 案の定


「獄寺…お前本当学習しないね」


 彼女は銃を獄寺のこめかみに押し当ててきた。が、何やら思案するとすぐに拳銃を下ろし 彼を覗き込んでにっこり笑うではないか。綺麗な笑みを至近距離で見せられ ついつい頬が紅くなる獄寺だが、付き合いこそ少ないものの 彼女がこの笑みを浮かべる時は大抵良いことはない、と直感して思わず後ずさった。


「な、なんだよ…!?」

「ね、獄寺は学校どこにあるか知ってんの?」

「はぁ?……あ…」

「うっわ…知らないのに行こうとしてたんだ…」

「う、うっせーな!俺の勝手だろーが!!」


 獄寺は真っ赤になって言い訳をする。そんな彼を見てフワリと風羽は笑うと 好意からか はたまた別の思惑からか ある提案を持ち掛けた。


「じゃぁ、学校まで案内してあげよっか?」

「……は?」

「だって分かんないんでしょ?きっとお前のナリじゃ皆逃げちゃって道聞こうにも聞けないよ」

「余計なお世話だ!!」


 相変わらず獄寺の痛いところをピンポイントで付いて来る彼女に獄寺は怒りをぶちまけるが、しかし道が分からなければ学校に辿り着けないのも事実で。彼はしばらく拗ねたように顔を背けていたが 観念して渋々と彼女の提案を受け入れるのであった。


「……じゃあ、頼む…」

「よっしゃ!まかせなさい!」

「だが、てめぇ何か企んでんじゃねーだろうな?」

「本当獄寺って疑り深いね。好意よ、こ・う・い!」


 それ以外に何があんの、なんて実に怪しい笑みを浮かべながら獄寺を引っ張って歩き出せば 彼は呆れたと言う風に溜め息を吐いた。




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