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「――よお」

「…あ」


 麗らかな日差しに包まれた日曜日の朝、風羽は銀髪の少年と突然の再会を果たした。


「…えーと……どなた?」

「な"…ッ…てめぇ忘れたのか!?」

「あはは、嘘嘘。ちゃんと覚えてるって、獄寺」

「ッたく…たりめーだ!」


 彼が叩く憎まれ口は1ヶ月前から全然変わっていない、そう思って風羽は微笑んだ。

 ツナの友達もといファミリーになってから数日、今日は学校も生徒会も休みの日曜日だった。だが風紀委員会に入っている花凛は休みの日でも仕事があり 早朝から学校に行かなければならない。ゆえにいつもなら昼まで寝過ごす風羽は花凛に起こされ 未だ眠気が取れない彼女は眠気覚ましがてら朝の並盛町を散策していた。そんな折とあるマンションの前で見覚えのある少年と出会った――という経緯で現在に至る。



「少年、怪我治ったんだね」

「…まぁ、な」

「やっぱり私の治療の腕が良かったんだねー!」

「なんでそうなんだ、てめぇはよ!!」

「んー…それとも、晩ご飯が美味しかったからとか?」

「…ッ……か、かもな…」

「ワォ、やけに素直…腕より頭大丈夫じゃないんじゃない?」

「んだと!?人が折角褒めてやったのに!」


 ケラケラと澄んだ声で笑出す風羽に怒り心頭で喚き散らす獄寺だが、どうやら本気で怒ってはいない様子。風羽は笑いすぎて出てしまった涙を拭いてニコニコと彼に近寄った。


「で?日本なんかで何してんの?」


 この地に彼女が生まれ落ちた時からとうに答えなど分かりきっていた質問を投げ掛ける。いわゆる社交辞令と言うやつだ。そしてこの時 さり気なく腕の怪我の具合を目診するのを忘れない。


「(ちゃんと完治してるみたいね…)」


 本や以前会ったことなどから推測すれば どうも彼は自分の怪我に無頓着な気があるようだ。それどころか自分が誰かの代わりに傷付くのが名誉だと思っている風潮すらあり、誰かがちゃんと見守って彼にブレーキを掛けてやらなければすぐに命を落とすだろう。だから風羽はまるで自分が彼の姉か何かになったような気持ちで見守ってしまうのだった。

 しかし、未だ家族や人間の暖かさを知らない彼にとってその視線は非常にくすぐったく そして照れ臭くなるようなもので。優しい表情で彼女に見られていると 彼は段々自分の顔に熱が上ってくるのを感じ 慌てて背を向けた。それから彼女の質問に答えれば


「あ、明日から一時的に並中に編入すっから、その手続きに学校に行くんだよ!文句あっか!?」

「明日から?」

「あぁ!そしてボンゴレ10代目を倒し、このオレが10代目になってやんだよ!!」


――なるほど。そんな約束リボーンが交わしてたような交わしてなかったような。


 うろ覚えの記憶ばかり入っている 脳内の引き出しを引っ掻き回せば彼女はそんな記憶に行き当たった。だが未来を知っている風羽にすれば彼の発言は夢物語に他ならず 込み上げてくる笑いを押さえるのに必死になる。


「…ッ…ははッ…あっはははは!!あー駄目!お腹痛いー!」

「な、なんだてめぇ!?」

「だって10代目倒すとか…無理に決まってんじゃんー!」




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あきゅろす。
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