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ここで 部員達の話の中心となっている当の本人は 読者のご察しの通り 廊下を疾走して雲雀の元へ向かっていた――――のだが。しかし、彼女は幾らも行かぬうちに小さな影に行く手を塞がれてしまう。
「風羽、何処に行くんだ?」
「どいてよリボーン。私用事あるの」
「それはダメだぞ。これからツナの対決があるんだ。お前は護衛任務を受けてる人間として 結果をしっかり見届けろ」
「…はいはい…分かったわよー…(チッ…)」
流石に任務の話を前に出されては反論など出来るはずもない。心の中で軽く舌打ちを一つして 彼女は面倒くさそうにリボーンの後を着いていく。すると前方に人だかりが出来ているではないか。もう始まっているのか、と 輪に無理矢理押し入り 風羽が一番前に出たところで 丁度綱吉が持田の髪の毛をゴッソリ抜いた。
「100本!!!取ったぁー!うおぉぉぉ!!」
「…ツナ…なんつー可哀相なことを…」
衝撃の1シーン。風羽は漫画で読んでいた時もこのシーンは酷いと思っていたが 実際に生で見ると酷いを通り越して笑いが出てしまう。だが周りの生徒達ときたら唖然としていて 彼女のように笑っている者など全くおらず、風羽は慌てて口許を手で覆った。そうしているうちに綱吉は持田の髪を全て抜いてしまったらしい。勢いよく綱吉側の旗が上がった。
「ツナ勝ったわよ、リボー……ン?あれ?」
先程までは確かに足元にいたのに 彼の姿は影も形もなく。彼女は 興味無くなって帰ったのだろう、と適当に推測した。それから武道場の真ん中に出来ている輪の中心人物に目をやると 彼は京子と友達になっているところで風羽は満足そうに笑みをこぼすと廊下に出た。
しばらくして興奮の波が去り、生徒達が武道場を去ると風羽は武道場に顔を覗かせる。綱吉は一人で服に袖を通しており
「や、10代目」
「…あ!生徒会長!あ、あの…俺…」
「よくやったわね。まぁスタートとしては上出来なんじゃない?」
「あ、ありがとうございます…あの一つ質問しても良いですか?」
「私が答えられる範囲なら全然構わないけど?」
「…オレ、昨日からずっと考えてたんですけど…会長はマフィアなんですよね?それなら会長の妹でオレと同じクラスの秋桜さんもマフィ」
「あああ!!花凛!!そうだった忘れてた!!」
「へ?」
「思い出させてくれてありがとう!ごめん、その話は放課後ちゃんとするわ!だから今はちょっと失礼ー!!」
「え、いやちょっと会長ー!?」
リボーンに止められてからすっかり忘れてしまっていたが、綱吉の発言で風羽はようやく生徒会室を出てきた理由を思い出した。彼の話は途中だったものの 風羽に取ってはそれ以上に大切なことだったため一言謝ると風のように武道場から去って行った。
「(質問しそびれたー!!)」
質問を遮られたことに多少ショックを受ける綱吉。しかしまだ興奮冷めやらぬクラスメートの一部や京子が戻ってきて
「ツナ君、教室戻ろ!」
なんて言って手を引くものだから 彼は質問のことなどすぐに忘れてしまったのであった。
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