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「会長ぉぉぉ!やっと帰ってきたんですね!」
「ちょっと会長、どんだけ仕事溜まってると思ってんですか早くやってくださいよ」
「会長がいれば、風紀委員会にデカい顔されないで済むなー」
上から我らが並盛生徒会の書記、副会長、平部員だ。時刻は現在午前7時過ぎ。丁度花凛が山本と楽しく登校していた頃、およそ1ヶ月ぶりに学校へ顔を出した風羽は 生徒会室で部員達の盛大なお迎えを受けていたのだった。
「取り敢えず仕事!会長仕事ぉぉぉ!!」
「あーはいはい…全く、面倒くさいなぁ〜」
嫌々ながらもファイルを手に取り、今までの経緯を部員達から話してもらう。偉そうで乱暴だけれども 人望のある風羽は皆から慕われていた。
「…で、風紀の奴等が」
「私なんて1週間前あいつらに…」
ファイルを片手に中身をペラペラと見ている風羽へ 皆口々に風紀委員の悪口を言う。風羽がいない時は彼らが怖くて言えず 大分ストレスが溜まっているのだろう。しかし最強と言われる流石の風羽もかの聖徳太子のように 一度に何人もの話を聞き取れる訳ではなく
「いっぺんに話したら分かんないっつの!」
と、一番近くにいた書記にチョップをかました。
「「「(乱暴なところ変わってないー!)」」」
彼らを傷付けることはしないが やはり乱暴である。彼女は雲雀に比べれば多少はマシな独裁だが、戦闘においては生徒会で絶対的な地位を確立しているのだ。皆はしぃんと黙り込む。
「私に仕事して欲しかったら話し掛けないで」
「「「はい…!!」」」
彼女の一言でそれぞれ持ち場につき 担当している仕事に着手する部員一同。だが会長が帰ってきたことの嬉しさゆえか 一時間も経つと皆の集中力は途切れ 周りの者はわいわいと雑談を始めた。
「そういえば聞いた?風紀委員の補佐さー…」
「あー会長の妹さんが風紀に入ったってやつだろ?」
「でもその噂、今更って感じですよ。有名でしょう」
「……ちょっとタンマ。今、あんたらなんて?」
いつの間にか副会長の後ろに立っている風羽。彼らが雑談をしていた間一人仕事をしていたのだが、聞き捨てならぬ会話が耳に入り直ぐさま参戦してきたのだ。彼女はズズイっと彼らに顔を近付ける。
「ねぇその話、詳しく話して?」
「え、でも会長知ってるんじゃないんですか?」
「知らないわよ。だから聞いてんの」
「なんでも、風紀委員長のヒバリさん直々に会長の妹さんを風紀委員に入れたって噂が流れてるんですよ」
「そうそう!私花凛ちゃんと同じクラスなんですけど、準風紀委員で授業免除になったとかなんとか!」
「僕も二人が親しそうに話してるところは何回か見掛けましたね」
「俺が聞いた話じゃ二人はデキてるとか…」
「「「会長、そこら辺どうなんですか?」」」
「こっちが聞きたいわよ!」
あらぬ噂も混じってはいるが雲雀ならやり兼ねないことばかり…その中でも一番彼女の関心を引いたのが「デキてる」の噂であった。私の風羽が他の男に汚されるなんて!などと叫びそうになるが しかし如何せんそんな話は一言も妹から聞いていないので真実は闇の中。
「(デキてるって…そんなまさか!!)」
彼女は愛銃が太股に付いてることをさり気なく確認すると一刻も早く真実を暴く為に生徒会室を飛び出していった。
「会長って台風みたいだよなー」
「まぁそれが会長の魅力なんでしょう」
「しかもあの性格で姉バカって可愛いですよね〜。あんな素敵なお姉さんがいて花凛ちゃん羨ましいなぁ」
彼女があっという間に部屋を去っていく後ろ姿を眺め 好き放題言う部員達。彼女が編入してきてさほど長い時間は経っていないが 彼女の人望の厚さが伺える会話であった。
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