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「あ、あああの!その…オレのこの格好には訳があって…!!」


 私が声を掛けると 目の前のツナ君は言い訳をし始めた。オロオロしていてなんだか小動物みたい。私は全ての事情を理解していたけど、今はまだ時期じゃない気がして知らない振りをした。(って言っても風羽はもうバラしちゃったんだろうけど)


「それよりもツナ君、風邪引いちゃうよ?」

「えッ…?あ、うん…!」


 体育の授業のために持ってきたものの 結局使われることが無かったジャージを差し出す。死ぬ気弾に被弾すると服は破れてしまうのだから 何も着る物がない彼に恵んでやろうと言う訳だ。身長同じくらいだしサイズは大丈夫、なはず。

 すると彼は戸惑い気味にジャージと私の顔を交互に見た。受け取って良いものかどうか迷ってるみたいだ。


「それ、使って良いよ」


 彼を安心させるようににっこり笑って声をかければ、彼は照れ臭そうに受け取る。うーん…可愛い…。彼が慌ててジャージに袖を通したのを確認すると リボーン達がここに来る前に私は逃げるようにその場を去った。

 多分あそこにいれば風羽にも会えただろうけど どうせ家に帰ってくるだろうし 雲雀さんに伝えた通り私は夕飯を作って風羽を待つことにする。



 てくてくと通学路を歩く。最近はいつも山本君のお宅で夕飯をご馳走になっていたからこの時間に家に帰るのは久し振りだ。自宅の前まで来ると隣りの京子宅が目に入って そういえば京子怖がってたけど大丈夫かな、なんて考える。だけど京子には了平お兄さんが付いているだろうし私の出番は無さそうだから 彼女の家に寄るのは止めた。

 家に帰ると早速夕飯の準備を始める私。今日は奮発して風羽の大好物――アサリのパスタを作るんだ。別にボンゴレと掛けた訳じゃないからね。


 そうして夕飯が出来かけた頃、ガチャガチャと玄関の鍵が開かれる音がした。次いで廊下を歩いてリビングに向かってくる足音。パスタにかけるソースの味見をしていた私は手を止めて扉に駆け寄った。


「おかえりなさい、風羽!」

「あはは、ただいま!」


 扉を開けばそこにいたのはやっぱり風羽で。日に焼けた?なんて他愛もない会話をしながら食卓についた。渾身の出来であるパスタを頬張りながら風羽は今までのことを語り出す。


「あーそういえば今日リボーンと一緒にツナに会ってきたよ」

「ツナ君の反応、どうだった?」

「まぁ…相変わらずダメダメだったけど、取り敢えず死ぬ気弾で告白はさせてきた」

「あ、そこ見てたよ。だからジャージ貸してきて…」


 平然と私が答えるとちょっとびっくりした様に風羽が見て来る。けれどすぐに納得したように頷き


「それでジャージ着てたのかぁ…なるほど、納得だわ」


よほどあの時のツナ君が面白かったのだろう、クスクスと何やら楽しそうに彼女は笑った。


「明日は持田…だっけ?確か対決あったわよね」

「うん、うろ覚えだけど そうだったはず。見に行くの?」


 私は仕事溜まってるから見にはいけないけど――なんてつい口を滑らせそうになった。危ない危ない、と心の中で焦る。だってそれを言ってしまったら理由を根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。そしたら嘘は付けないし「準風紀委員になりました」なんて私が言い出した日には…あぁ、考えたくない。どうせ明日学校に行けばバレることだけれど久し振りの再会だし今はなるべく穏便に事を運びたかった。
そんな私に姉は全然気づいていない様子で話はそのまま続いていく。


「そうだなぁ…リボーンと一緒に高見の見物でもしてようかねー」




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