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「…あれ?あれあれ?」
彼の姿を探してキョロキョロと辺りを見回すが影も形もない。あれは幽霊だったのかなぁなんて呑気な思考に走った。
「なーに『あれあれ』言って惚けてんの?まるで『あれあれ星人』よ」
「え?」
いつの間に居たのか、風羽が呆れたように腕組みをして側に立っていた。スラリとした綺麗な足が制服から伸びている。
「(てゆか『あれあれ星人』って何だ…)」
一昔前のギャグのような発言をする風羽に苦笑いをし もう雲雀さんは良いの?と問い掛けてる。すると彼女は不機嫌そうに彼が去って行ったであろう方角を睨み付けた。
「あんなやつ花凛が気にすることないわ。…さ、早く教室に行くよ。無断欠席だと担任慌てふためくから」
「…え?あ、ああ、うん…そうだね。行かなきゃね」
――でも、私が心配したのは別に雲雀さんじゃないんだけどな。
何処か様子がおかしい風羽への返事に 一言心の中で付け加え、二人仲良く校舎に向かったのだった。
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クルクルクル。
クルクルクル。
雲雀は屋上の柵に寄り掛かり、退屈げにトンファーを回す。屋上は良い。広い大空の下心地よい風に当たりながら考えことが出来るから。爽やかな春風に当たりながらそんなことをぼんやり考える。
「(何故あんなことを言ったのか…)」
彼は無意識に口をついて出た言葉について思考していた。
『あの子、目離さないほうが良いかもね』
あの時特別何かを思った訳ではないのだが、なんとなくそう感じた。平凡なのに何処か不思議な少女。一体何が不思議かは皆目見当が付かないが興味を惹くには十分だった。あの少女と少女の姉は、独特な雰囲気を持っている。学校や町に溶け込んではいるが、何処か浮いているような――そう、喩えて言えば「違和感」。
そこまで考えて、雲雀はある結論に辿り着く。
どうもあの姉妹はおかしい。
「彼女達、気になるね」
無表情で一言呟き、トンファーをしまう。そうして己の居城に帰還すべく 鷹揚な足取りで屋上を出たのであった。
(さっきのあの人、知ってる感じがするの)
0章 6番first contact-6了
【0章完結】
1章1番に続く。
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