すべてのことは慣れてしまえる

今までのどんなことでも慣れてしまえた。

親の仕事で一人になることも、
親の仕事の関係で転校することも、
そこで友達を作らないことも。

作ってしまうと別れが辛いから。
だから、いつもうわべだけ。
表面上で「俺」というものを作っていただけだった。



それなのに、



なんで、今回はそう、いかなかったんだろう…。


だって今の状況は、いつ転校してしまうという危うさはない。
だって元から期限が決まっているから。


だから、だから、だからこそ、深い友達なんて作るつもり、なかったのに。


でも、あの事件がなければ、本当の友達なんて出来ずに都会に帰っていたんだろう。



今、こうして友達が出来、
自分で言うと照れくさいけど、「相棒」って呼べる親友も出来た今、

仮に昔のようにやはり表面上で友達面して下さい、なんて言われたって無理だ。


だってここは居心地が良すぎる。


今までのどの場所よりも。



離れたくないな。



出来るなら皆と一緒にいたかった。



皆と卒業式、出たかった。



でも、そんな我侭は通りません。



だって俺は3月21日にこの街を去ることが決定されているから。
もう、これは決定事項だから。



あぁこれほど俺は無力だと思ったことはない!


俺に、すごい力があったら、
こんな1年間限りの生活じゃなくて、ずっとこの街にいられるようにするのに!



あと少し。



あと少しだけ。



この心地よくて、温かいこの街で過ごそう。




皆と、一緒に。




END



タイトル→「d.side」様より。


あきゅろす。
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