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神は私に肉体をお与えになった。
神は私に知性をお与えになった。
神は私に翼をお与えになった。


お前は、「心」を教えてくれた。












それはある昼下がりだった。
オレはまだ牧師になるべく教会で見習いをしていて、お昼ご飯の材料を近くの市場まで見に行く途中に、暗い路地に人影が見えた。
遠くからだけど、ハッキリわかった。



「―――こらっ!
ケンカ、はヤメナサイ!!」



そう叫ぶと、人影は「ヤベ、教会のトコの…」とか言いながら逃げていった。
残されたのは、路地の壁にもたれかかって座っていた男の人。
動けない状態をみると、さっきの人達に一方的に殴られていたみたいだ。



「大丈夫、ですか?」



「大丈夫じゃねー」



とりあえず薄暗い路地から明るい大通りの隅に男の人を引っ張り出した。
男の人は、オレより10歳くらい年上にみえた。
髪も瞳も真っ黒なのに、服だけが純白だった。
(殴られていたせいでちょっと汚れていたけど)



「アイツら、いきなり路地に引きずり込んできて…金無いって言ったら殴ってきて…こっちは人間は殴れねぇし…」



なんかブツブツ言っていたけどそれを聞き流して、男の人の肩に腕を差し込んで支えながら歩き始めた。



「ちょ…!?お前、なに…」



「オレ、牧師の見習いなんです。
教会に行って、手当てします。」



「はぁ?」



男の人は暴れたけれど、傷は痛むようですぐ大人しくなった。
オレのほうがひとまわり小さいから、体重をかけられて大変だった。
教会につくと、ひとまず椅子に腰掛けてもらって、手当てをした。
腕に包帯を巻いている時、それまでずっとだんまりだった男の人が、気まずそうにして「あのさ」とオレに声をかけた。



「一週間くらいココに置いてくんねーか?
羽が怪我して…じゃねーや、金も無いし、人間って腹減るし。」



「?、いいです、ケド、そのかわり、礼拝などは出てくださいね。」



なんかこの人、不思議なこと言うなぁ…とか思って、ふと包帯を巻いている腕から男の人に目線をチラリと移した。




―――、一瞬、だけど男の背中にボンヤリと白いものが見えた。
神々しい、翼のようなものに見えたけど、ほんの刹那だったからハッキリとはわからなかった。



(きっと、この人には神様の加護が強いんだ。
もしかしたら、イエス様の生まれ変わりかもしれない。)



「じゃあ、帰りましょうか。」



「え?どこへ?」



「オレの家、ですよ。」





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