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鬼畜阿部

・阿部→三橋→篠岡→阿部の三角関係。
・「阿部ヒドい。」その一言に尽きる
***




「阿部君!」



「…なんだよ。」



三橋は怒りに震えてる。
阿部はそれに気付かない振りをして、振り向きざまにイライラしたように眉をしかめた。
誰にも向けたことの無い怒りの表情を三橋は阿部に見せている。
そう、阿部に…阿部だけを真っ直ぐ見て。
それが阿部にとっては快感であった。



「しのーか、さん、と…付き合うって、ホント?」



「…まぁ、ウソでは無いな。」



「な、んで…」



「“なんで”?」



ハハッ…!と阿部は嘲笑的に笑った。
バカにしたような笑いに、三橋は更に怒ったようだった。
阿部はそんな三橋を可笑しそうに、楽しそうに、口元をニヤリと歪ませた。



「…だ、だって…っ、
阿部く、オレのコト、好きって、」



そう、阿部は三橋に先日告白したのだ。
「好きだ」と。
友情では無く、異性に向く感情を三橋に持ってるのだと。
だが三橋は―――



「オレを振ったのは三橋だろ。
お前にとやかく言われる筋合い無いんだけど。」



吐き捨てるように阿部はそう言った。
三橋は阿部からの告白を断ったのだ。
「好きな人がいるから、付き合えない」と、そう言った。
だから、阿部の告白を断った三橋は、阿部が誰と付き合おうと口出しできる権利は無い。



「でも!
…オ、レ…が、」



「もとから知ってただろ?」



「っ、」



三橋はもう泣きそうだった。
感情が高まりすぎて、目はもう潤んでいた。
だけど泣かない。
絶対泣かない。
三橋は、3年生の夏を終えて強くなった。



「お前も失恋したんだよ。
だって篠岡はオレのことが好きなんだし。」



阿部は三橋が好きだった。
だけど三橋は篠岡を好きで、篠岡は阿部のことが好きだった。
阿部が三橋に振られた当日に、篠岡は阿部に告白した。
最悪のタイミングだった。
そして、阿部のとった行動というのが、“篠岡と付き合う”というものだった。
好きでも無い篠岡と、なぜ?―――と三橋は考えていた
そう三橋が思っているのを読み取ったように、阿部は笑った。



「失恋して、キツいだろ?」



「…、?」



「自分がどんなに想ってもさ、見向きもしてくんねぇもんな。」



「あべ、くん…?」



「お前がそこまで言うなら、別れてやるよ。
『三橋に別れろって言われたから』っつてな。
篠岡がどんだけ泣くか知らねーけど。」



三橋はその瞬間青くなった。
篠岡が泣くところを想像したのだろう。
阿部にしがみついて、一生懸命、頭を振った。



「や、めて…っ、」



「んー…でもなぁ、」



ヒッと、三橋は喉をひきつらせた。
その様子に内心ほくそ笑んだ阿部は、舐めるように三橋を見た。
じっとりとした目線に、思わず後ずされば阿部は三橋の腰に腕を絡ませて耳元に口を寄せた。



「じゃあ三橋がヤらせてくれたら、篠岡とは別れねーよ。」



それは、全て計算し尽くされた阿部の囁きだった。





***
拍手用にここまで書いたんですけど、どうやってもR18になってしまうので中断。
でもせっかく書いたのに勿体無いから短編としてアップ\(^o^)/
阿部→三橋→篠岡→阿部 の切ない三角関係が書きたかっただけでこんなドロドロ&エロい展開になると思ってなかった…
そして「阿部はヒドいヤツだよ。」と栄口君からお叱りを受けるかもしれないくらい鬼畜阿部。





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あきゅろす。
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