A FOOLISH LIE 4
次の日は雨だった。
昨日見た三橋のことが気になって気になって、三橋のマンションに向かった。
三橋の住んでるマンションの最寄り駅はオレのアパートから5駅離れたところだった。
「あ、阿部く…?
どうしたの、いきなり?」
出迎えてくれた三橋はまだパジャマだった。
時刻はまだ10時で、きっとインターホンのチャイムで起こしてしまったのだろう。
三橋はアクビを噛み締めながら、部屋に入れてくれた。
来たのは二度目だけど…前に来たときと同じで、部屋に女の影は無かった。
「なぁ三橋、昨日…さ、
マンションで会ったよな…?」
「あ、本当に偶然だった、よね!
あの女のヒト…阿部君の、彼女サン?」
「…まぁ、そんな感じ。
それより、」
ゴクリと唾を呑み込んだ。
「昨日、お前、彼女に会うためにあそこにいたの?」
三橋はコーチョクした。
ヤベ、単刀直入すぎたかな?
数秒間の沈黙の後、それを破ったのは三橋だった。
「そう…だよ。
阿部君、見てた、でしょ?
オレが部屋に入るの。」
三橋は挑戦的な目でそう言ってきた。
「…もう、ヤったのかよ?」
「そうだったら、なんだ。
阿部君には、カンケー無い、だろ!」
「!!」
カッとなって、三橋につかみかかった。
前開きボタンの何個かが弾け飛ぶ。
そのまま抱き込んで押し倒した。
無我夢中で三橋のパジャマを剥ぐ。
「やぁっ!…見ないで!!」
「…っ!?」
三橋は左手で右肩を隠した。
キツく握りこんで、離さない。
…右肩…
なんで隠す?
右肩、右肩――
ガキみてーに、キスマークを残したのは、
「三橋…っ!見せろよっ」
「やだぁ…!!」
無理矢理力づくで隠す手をはがして、右肩を見ると―――
そこには、
…夢の中でつけたはずの、キスマークがあった。
[*返球][送球#]
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