誰のせい?
阿部君と付き合い始めるようになった。
それは、オレにとって青天のヘキレキで。
叶うことのないと思っていたから、本当に本当に嬉しかったんだ。
けど。
「…阿部、く、今の人、ダレ?」
待ち合わせ場所。
久しぶりのデートだった。
時間通りに行くと、そこには阿部君とキレイな女の人がいた。
「あ?道聞かれたんだよ。」
オカシイよな、オレ、そういうタイプと違うっつーか、声かけづらい雰囲気だと自分でも思ってたんだけど。
最近多いんだよ。
メンドクセェ。
笑ってそう言う阿部君に、オレの胸はチクチク痛む。
ほら、そうやって笑うからだよ。
この頃、またカッコ良くなった。
ハッと見惚れるほどの表情をするようになった。
片想いしてた頃も、カッコ良いカッコ良い思ってたけど、最近さらに凛々しくなって、柔らかく笑うようになって、道行く女の子はイチコロだ。
「なんだよ、もしかして嫉妬?」
オレの髪をクシャリとかき混ぜながら阿部君は聞く。
「…わかってる、くせに。」
イジワル。
そう呟くとまた笑った。
ああもう、なんでそんなカッコ良く笑うんだ。
そしてまたオレは許してしまう。
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