[携帯モード] [URL送信]
この温もりさえ嘘なんだ(SPレゴー/R18/暴力)
【※レイエ前提セフレでゴールドべた惚れのレゴーと、元恋人のシルゴ/レッド先輩最低】












「え゛ほっ!!」
 腹を全力で蹴られた、もちろん土足で。よろけるなんてもんじゃない、思い切り後ろに倒れこんで、背中をテーブルの縁に強打した。痛い、腹も痛いが背中が痛い。つーか危ね、もうちょいテーブル遠かったら後頭部打って前後不覚だ。
「もっかい言ってみ? ゴールド」
 怒ってる顔じゃない、ましてや笑顔でもない。先輩はこういうとき、いつも不気味なくらい真顔だ。表情がないのとも違う。“ふつう”なんだ、すごく。オレはそれが不思議で、怖くて、忘れられなくて、ぞくぞくするくらい好きだった。
「……きょ、うは、体調、あんまよく……ないんで、できれば本番ナシで……」
「……」
 あ、眉間に皺寄った。なんていうか先輩って、喜怒哀楽の表し方がすっげー子供っぽい。オレも大概ガキくせーって言われっけど、なんかそういうんじゃないんだよな。言い方悪いけどどっか未発達な感じするっつーか、そういう。
 ちょっと思い通りにならないとすぐ手出るのだってそうだろ? あ、けどイエロー先輩には絶対やらないんだっけ。オレにだけか。
「あのさ、ヤれないならなんで来たの?」
「や、あの、口でするんで、それで」
「お前あんま上手くないじゃん」
「……頑張ります、んで」
「他は上手いのにさ。あー、シルバーがフェラ嫌いだったとか?」
 その名前出されて、どんな顔したんだろうな、オレは。少なくとも先輩の気に障るようなんだったんだろうな。
「づっ!! う゛、ぁ、ぇほっ……」
 あー、いって。痛い、あー……集中力散らばる。
「……そんなに名前出されて動揺するならアイツんとこ戻れば?」
「ず、……っす、んません、先輩んとこ、いさせてくださ」
「中古品」
 ……ああそッスよね、先輩なんでも自分のじゃなきゃ嫌なんスよね。お下がりとか中古とか虫唾が走るって、オレ見て言ってましたよね。で、その点イエローはいいよ、ってすっごい笑顔で延々と惚気てくれたんスよね、あんときの先輩の笑顔忘れらんない。心の待ち受け画面っつーか? あー、バッカみてーだなオレ。
「とりあえず脱げよ」
「……へ」
「お前フェラ下手だから嫌なんだって。……まさか中洗ってきてないとか言うなよ?」
 先輩先輩、最近先輩のその顔見たらオレもう殴られると思って身体強張るんスけど。イエロー先輩の前じゃしないんスよね? けどなんかそれってさ、
「まっさか。ちゃんとしてきたッスよ」
 オレだけ特別って感じしません? 先輩。






「ぁ、あ、あっ、ひっ」
 先輩は絶対慣らしてくれない。ゴムもローションも自分じゃ用意しないくせに無けりゃしたくないって言うから、持ってくんのも全部オレ。もちろんあった方がオレも圧倒的にラクだからいいんだけど、いいんだけどそれ、って、どーよ、あ、やべ、きもちいい、
「んぁ、ぁ、ふっ、せ、んぱ、い」
「っ、はぁ、はっ、ぁ」
 あー、うわー、えろい顔してんなー、好きだな、先輩好きだ、大好き、あー好き、きもちい、わけわかんない。
「……れっど、せんぱ」
 ヤバ、って思ったけどちこっと遅かったなこれ。呼んじゃった。あー……
 腰の動きそのままで、先輩は集中してた顔から急に真顔に……あの例の真顔になって、いきなり、ホントいきなりだよ、両手でガッとオレの首掴んできた。腰の動きそのままな。
「ぁ……!? あぐ、え゛うっ」
「呼ぶなって言ったよな?」
「が……、ぁ、かっ、おえ゛っ」
「なあ、言ったよな? ベッドでオレの名前呼んでいいのイエローだけだからって」
「い゛……、し、た、……、……」
 酸素、酸素たんない、いたい、頭じんじんする、ちょ、先輩、死ぬから、オレ死ぬから、え、なんでまだ腰動いて、いっ……とま、止まる、酸素たんない血たんない酸素たんな死ぬ
「がっ! えほっ、げほっ、うぇ……っ、ごほっ、せんぱ、んぁあぅ!?」
 あ、あーやべすげー声出た、うわーみっともね。あ、あー……、やっと酸素回ってきた……、これ手の跡ついてんじゃねえの……?
 ああ……んで、うん……きもちいいッスよ先輩、やべーくらい、やっぱ酸素たんねーかも。
 熱い、身体熱い、オレのじゃなくて先輩の身体があっつい。腕も脚も胸もアレも、もうくっついてるとこ全部。
「ごめ、なさ、い」
「も、呼ぶな、よ」
「はぃ、ぁ、あっ、せんぱ、せんぱい、」
 ……レッド先輩、レッド先輩、好きッスよ、ほんと好き、ホント……






「……ゴールド」
「なんスか」
「首、絞めてごめんな」
「……いッスよ、気にしてないし」
「お前のこと全然考えないでガンガンやってごめん」
「いんじゃないッスか、きもちかったし……」
「……体調、あんま良くないって言ってたよな、大丈夫か? 熱とか出てない?」
「大丈夫ッスよ、んなギャルじゃあるまいし」
 先輩は終わるといつもこんなだ、人が変わる。いや、むしろ普段はこっちなんだよな。溜まって発情したときと、そっからコトに及んでる最中だけおかしいんだ。
 だからレッド先輩は、イエロー先輩と会う前に必ず、こうやってオレで発散する。大事ッスもんね、ずっと一緒に歩いてくって決めたギャルだもんな。オレだってレッド先輩にはこうやってイエロー先輩大切にしてほしい。そうやって、誰かを大切にしようとするとこも、好きなんスよ。
 ……あったかい。
 レッド先輩がオレを抱きしめて、こんな風にしてくれんのは、この瞬間だけだ。だからどんなに酷いことされても、無理やりされても、このあったかい瞬間があるからオレ全部許せるんスよ、先輩のこと。
 酷くされんのだって、オレだけの特権だと思えば笑えるくらい幸せな気分になれる。
 狂ってんのはわかってんだけど。
「……時間、大丈夫ッスか?」
「あと二時間くらいあるから……疲れただろ、ちょっと寝ていいぜ?」
「ん……じゃ、三十分だけ……」
 先輩は優しく笑って、オレの髪を撫でて背中をぽんぽん叩いてくれた。あったかくて、先輩の身体が温かくて、先輩の匂いがする布団にそのまま沈んだ。
「いつもありがとな、ゴー。……おやすみ」
 ……ねー先輩、オレのことすげー盲目だと思ってっかもしんねーけど、ちゃんとわかってんスよ。
 愛してるどころか好きすら言わないその口の方が本当で、撫でてくれる手だとか、もっと言うならこの温もりさえ、嘘なんだってね。
 ……しょうがねえよ、それでも、好きなんだから。






120326
 













第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!