【論文】「タマゴを抱く少年」について (※ポケスペをわからない友人に読ませる目的もあったので、そもそもポケスペの解説などが挟まっています。このサイトにおけるポケスペ二次創作を読んでいただく上で最も重要な理論です。) つとめて論理的にわかりやすく書いたつもりですがもちろん腐向け 「孵す者」ゴールドとタマゴの組み合わせに涙が出て布団がひっくり返るほど興奮した結果がこれだよ ポケスペとは……ポケモンのゲーム赤緑が出た当初から現在まで連載が続いている二本のポケモン漫画のうち、シリアスな方。ストーリー性の薄い初代ゲーム内容をオリジナリティ溢れる濃密なシナリオに描き、その系譜を引き継いだ独自性を生かしながら、シリーズごとに主人公を変えて続いている人気作品。シリーズを追う事にゲームと異なる独自設定や要素が強くなるため、ファンとそうでない者の衝突が起きることもままあるらしい。廃人ロードを駆け抜けるだけの筆者にはよくわからない。アニメとは同じところを探す方が難しい。学年誌などで連載している。 ちなみにギャグの方はコロコロで連載しているギエピー、もといポケットモンスター。こちらも面白い。 ▼タマゴとゴールド?何が萌えるの? ポケットモンスターspecial第三章・金銀編の主人公、ゴールド少年はチャラ男でDQNです。可憐さや女性らしさは欠片もありません。敬語も〜なんスけど、のような若者敬語しか使えません。口も悪いです。口癖は「よくあるこった気にすんな」。自分のミスも大体これで流します。自転車ではなく改造キックボード、エモノはビリヤードのキュー、短パンと見た目通り活発で、俗っぽい11歳の少年です。 しかし、彼がポケモン図鑑所有者として持つ特殊能力のような称号は“孵す者”。タマゴを強く、確実に、早く孵すという、おそらく現実世界のポケモン廃人がポケスペ図鑑所有者の能力の中で最も欲しがるものです。 この能力、他の図鑑所有者に比べると、戦うことが元々苦手であるイエロー少女の“癒す者”に次いで非戦闘的です。初代主人公とライバルの戦闘や育成はまさにそのままズバリ、他の捕獲や進化や交換はまだ戦闘に関わろう余地もありますが、孵化行為そのものに即時的な戦闘要素はありません。 ゴールド少年は第三章・金銀編の主人公にして、ポジションやデザイン上、ゲーム金銀の正式な主人公でもあります。第二章主人公であるものの、ポケスペにのみ登場するオリジナルキャラクターであるイエロー少女とはここが異なります。(誤解なきよう述べておくと、客観的な事実を記述したまでであり、キャラクターの評価などに踏み込んでいるわけではありません。余談ですが筆者はゴールドの次にイエローが好きです) その正式な主人公であり、バトルも積極的にこなすゴールド少年が“孵す者”。 金銀の最大の目玉がタマゴ要素であること、金銀編の他の二人は窃盗犯と捕獲の専門家でありタマゴに関わる機会がなかったこと、彼の家はポケモン屋敷で幼い頃からポケモンの中で育ってきたこと、持ち前の底抜けの前向きさ……など、確かに作中にてタマゴを担うに相応しいように見えます。タマゴを守って死にかけるシーンも多分複数回ありますが、これはポケモンのメディアミックス作品においてよくあるトレーナーがポケモンを守って死にかける現象、動物のお医者さんにおいて飼い猫を守って阿波野が死にかけた現象のタマゴ版です。 相応しいとは思えても、バトル漫画(と思われる漫画)の主人公の能力としてははっきり言ってかなり浮いています。 ただ、彼が女性ならその限りではないかもしれません。タマゴを守って孵すという行為は、鳥にしても蛇にしてもバトルレックスにしても、基本的にメスがイメージされるものだからです(野生動物が実際に抱卵するのは大抵夫婦ともにですが)。つまり、タマゴに関する能力とは“母性”なのです。 けれどゴールド少年はれっきとした男性です。歴代主人公どころか図鑑所有者で一人だけ生足というか膝をさらしている男性です。見た目も口を開いてもちょっと柄の悪い少年です。よくあるこった気にすんな?お前がやったんだろ! それなのに能力は、母性の塊です。スカしたライバルに暴言を吐きクソ真面目なヒロインを茶化していても、彼はタマゴを慈しんで大事に抱えています。 有り体に言えば、その年相応の少年らしさと、タマゴに対する表に出し過ぎない慈愛の落差・ギャップに対して萌えを感じるのです。 ▼もう少し変態的に 普通、母性というものは上記のようにメス個体が持つものとされます。何故ですか?もちろん、そのメスが自ら産んだ子供・タマゴを慈しむからです。そこに母性が生まれるのです。 何故メスは子供やタマゴを産むのですか?種の繁栄のためです。何故メスは産めるのですか?オスと交尾するからです。 つまり一般的には、母性とは悲しいことに、醜く穢らわしい性交の上に成り立っているものなのです。 この例に当てはまらない数少ない母性は、ファーストガンダムにおけるフラウ・ボゥ、FF6世界崩壊後におけるティナ・ブランフォードでしょう。DQ6のドランゴは単為生殖なのかもしれませんが……ハンターハンターのキメラアント女王は捕食が性交と同義なのでここに含みません。 にしても、どれも女性です。 北斗の拳における山のフドウも近いものを覚えますが、あれは父性です。力を以て差し違えてでも子供たちを守り抜く父の覚悟です。母性とは似て非なるものです。 では、ゴールド少年のタマゴを抱え、身を挺して守り、自らの力の一部を与え(ているようにトゲピーとピチューからは窺えます。なんか元気の良さやポジティブパワーのようなものを)、強く孵す能力はどうでしょうか。 タマゴを守って反撃もせずひたすら耐えているドSホイホイのシーンから察するに、これは母性にカテゴライズされると思われます。 どうです?「よくあるこった気にすんな!」なんて言って目上の人の肩をバンバン叩く11歳の不良少年の能力が“母性”。しかも強い。 子を愛でる母親の母性というものに温かみ、慈しみを見出す人は多いと思います。しかし考えてもみてください、その母性は、醜く穢い救いようのない欲望の塊である性交の上にあるのです。 男と女が褥でしっぽり同衾して快楽の絶頂に達し、思うがまま身体を貪りあった結果の母性です。 不純ではありませんか?慈愛の仮面をかぶった欲望です。処女懐胎ならその限りではないでしょうが。 一方、少年の母性はどうです? 誰と性交したわけでもなく、生身の肌をさらすこともなく完全無潔のまま、自身と同種ですらない“ポケモンのタマゴ”に惜しみない慈愛を注ぎます。 それは純粋で! 最上級の!! 汚穢も欲も生存本能も醜さもない!!! 純然な無条件の真の“母性”たり得るのではありませんか!!!!?????? 対象が生身でも!!同種でも!!身ごもるメスでも!!母性は純粋に存在し得ない!!!欲が本能がちらついて!!!けれど!!! 【タマゴを抱く少年】だけは!!!! “純然たる母性”の体現なのです!!!!!!! そう思いませんか!!!???? 醜い性欲の介在しないごくごく限られた本当の母性の形の一つなのですこれは!!!! タマゴを抱く少年は!!!!!! 矛盾と危うさと純潔を内包した均衡の上に成り立つ至高の美しさがそこにあると!!!!!思うのですよッ!!!!!!!!! 終わり。おつきあいありがとうございます。 120120 [戻る] |