憎い憎い憎い(モブ女子→塔子) 【※名前もないモブキャラ後輩女子→塔子 / 3ネタバレ】 テレビの中で笛が鳴った。イナズマジャパン対リトルギガント、3-2。日本代表はFFI優勝を決めた。フィールドにはもちろん男子しかいない。私はちっとも嬉しくなかった。 FFIが始まる二ヶ月前、塔子先輩は雷門中に転校していった。 「せんぱい、どうして雷門にいっちゃうんですか」 「んー……、楽しそうだからさ! 円堂もいるし!」 「……私たち、弱いからですか。SPフィクサーズは大人ばっかりだし、女子サッカー部じゃ、先輩には物足りないですか」 「……うん、ま、ちょっとね」 「でも女子の先輩が雷門に行っても、試合には出させてもらえないんですよ……」 「わかってるさ、それでもいい。あいつらとするサッカーは楽しいんだ!」 塔子先輩は、俯いた私の頭を軽く撫でて、でもそうだなぁ、と呟いた。 「ここじゃあ、お前が一番強かったな。またいつかサッカーしようぜ!」 塔子先輩の笑った顔が円堂守と被った自分に殺意が湧いた。 円堂守は私から塔子先輩を奪っていったくせに、雷門メンバーにも日本代表にも塔子先輩はいない。塔子先輩を奪っていったくせに。 私はテレビを消してリモコンを壁に叩きつけた。電池蓋が飛んで単三電池が散らばった。私は円堂守が憎かった。 101021 |