ハルヒ
さらば倦怠ライフ
目が覚めたその瞬間から、嫌な予感がしなかったわけではなかったのだが、
かといって、ただの予感だけで学校を休むわけにもいかず、
俺はいつも通り、
ああ、今日が平和な日でありますように。
と、きっと叶わないであろうささやかな願いを胸に、蝉が鳴く蒸し暑い強制ハイキングコースを、今日ものぼるのだった。
いつも以上に上機嫌なハルヒに背中に字を描かれつつ、俺は内心ヒヤヒヤしていた。
なんでこんなに機嫌が良いんだ!?
まあ、どれだけの不安があろうと、日々の団活をさぼるわけにいかず、
俺は仕方なく古泉とオセロをしていた。
と、
「キョーン!!!!」
目に痛いくらいの眩しく怪しい笑顔の涼宮ハルヒが
なにやらデッカイ袋をひっさげやってきた。
ますます嫌な予感がするが、まあ聞いてやろうじゃないか。
どうした?
「SOS団の知名度があがる良いアイデアが浮かんだわ!」
どんな?
「女の子向けの企画をするのよ!男向けは、みくるちゃんと有希で十分出来てるでしょ?足りないのは女の子からの支持だわ!」
っていうと例えばなんだ?
「女装よ!BLよ!時代はBLなのよ!」
…頭が痛い。
「てなわけでキョン!あんたこれに着替えなさい!」
………………………。
つきだされた紙袋に入っていたのはよく見慣れた北高の制服。
女子の。
「んなっ!アホか!こんなもの着れるわけねーだろ!っーかっ何で俺?やるなら古泉とか…とか他にもいるだろ!?誰か!?」
思わずさけんじまった。
しかしハルヒはニヤリと笑い、
「SOS団員でなきゃ意味がないのよ。これはSOS団ねPRなのよ?それから、古泉君は男役!…悪いけどわたし、美形攻め萌えなの。」
なんですとー!
「さあ、さっさと脱ぎなさーい!」
うわってめっっ!ちょ…自、自分でやるからっ!
…朝比奈さんいつもすみませんでした。これからは出来るだけとめますっハルヒを!
着替えたは良いが……我ながらなんて気持悪いんだ……。
ああクソっ!
「そろそろ入るわよー」
えっ!?いや、ちょ…待っ!
『…………………。』
俺以外四人分の三点リーダ。あああ朝比奈さんっそんなじっくり見んでくださいっ!
長門も!ユニークとか言ってないでどうにかしてくれ!
古泉!お前はいい。黙ってこっちみんな!
「ふ…ぅん。あ…案外似合ってんじゃ…ない。」
いや、全然嬉しくないからな?つか何でそんな顔赤いんだよ!
ガシッ!
「っっ!!?なにすっ!?」
「いーから黙ってなさいっ!」
ハルヒは俺の髪をいじりエクステと言うものをつけポニーテールにした。ついでに軽く化粧をした。
もちろん名誉のために言っておくが、俺はちゃんと抵抗したぞ!…ただ四人の力だ。逃げれなかったんだ。あ…朝比奈さんまで…。
「…完成ね!」
興奮で目のキラキラしたハルヒが言った。
…よし、これでやっと解放され…。
「校門にビラ配りに行くわよ!」
…もうこれ何なんだろう。
ちょ…もう涙目なんですけど…。
生徒達が物珍しげにこっちを見てくるなか。
「SOS団!このよの不思議をさがしちゅう!」
ハルヒが大声を出すから遠巻きにだがひとだかりができている。
俺はと言えば、
涙で目が軽く霞むなか健気にもビラを配っていた。
途中ハルヒがスカートをめくろうとしてきたりするが…ビラを配っていた。動じない動じない…。
谷口っ国木田っ笑ってるくらいなら助けろ!
「古泉くん……」
「ぇっ!…わ…わかりました。」
古泉ってめーも同じSOS団男子部員として助けてくれたって良いじゃねーか!
なんてぼやいてたらホントに古泉がこっちにきたから、いっちょ文句を言ってやろうと口を軽くひらきかけたら、
「キョンくん…すみませんっ!」
は?何をいまさ………。
チュッ
ん?
ん?
ん…なああああああ!?
このあと俺は女子達の黄色い声を背に部室に走った。もう…何も憶えてない……。
後日、
男どもから同情の目をもらいつつ、告白されたりして荒んだ俺のところに大量届いたのは、女子からの
写真化希望!
というリクエストだった。
世の中の女子というものに絶望した!
fin.
あとがき
ずっと書きたかったんだ。キョンの羞恥プレイ。
初がこれとは恥ずかしい限りでございますorz
キョン可愛いよキョン。
そのまた後日、
古泉に襲われてたらいいよ。
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