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B

瞬間。
日番谷は猛ダッシュで駆け出した。
それを暫し唖然と見ていた吉良は、ハッと我に帰り、執務室の襖を勢いよく開けた。

「市丸隊長っ!!」
「何や、イヅル。そないに慌てて」

書類に目を向けたまま、市丸は答える。

「…日番谷隊長、泣かれてましたよ」
「…冬が?」
「会いに行かれたらどうです?」

市丸の手の動きが止まった。
が、それはほんの一瞬のことで、すぐに手の動きは再開された。

「…出来ひんねん、それは。」
「何故です?」
「僕な、自分で決めてん。この書類が全部終わってから、冬に会いに行こうって」
「そんな…」
「せやから、これ今日中に終わらすなァ」

吉良は何かを言いたそうにしていたが、市丸の要求を了承した。


市丸はものすごい速さで、ものすごい量の書類を全て片付けた。
吉良は深夜に終わればいいか、などと思っていた。
だが、空はまだ赤みがましたばかり。

「隊長……!」

吉良が市丸に話し掛けようとしたが、すでに執務室に市丸の姿はなかった。



 

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