短編小説 コンビの始まり(悠輔×こうめい)『プリマ☆ステラ』 俺とコウメイの出会い? あぁ、その話はずいぶん前に遡るな───── ─────… 「よえぇな……」 「おまえっ……噂の」 「蹴撃の掃除屋、覚えときな」 今日も道ばたで絡まれ、喧嘩 だが結果は歴然、悠輔の圧勝という結果に終わった。 取り出したタバコに火をつけ、ふかしはじめる。 すでに陶山地区はあらかた制圧し、悠輔に刃向かう者は殆どいない。 これから先はどうしようか、そんな時に後ろから低い声で声をかけられた。 「榊、悠輔だな? ちょっとツラかせや!」 (ちっ、何回も何回も面倒な奴らだ……) 「おい! 聞こえねぇのか!! さっさと────」 「誰に口利いてやがる……あ? ぶっ潰してやるからさっさと案内しな、三下!」 「くっ、無駄口たたけるのも今のうちだぞ!」 「望むところだ……」 ──────… 「よぉー、榊。会いたかったぜ?」 「またテメェか、一度やられた時に言わなかったか? 次ツラ見せたらただじゃおかねーって」 「るせぇ! 今日こそケリつけてやる! おい! 出てこい!」 「ちっ……卑怯なヤローだ」 悠輔の周りを十数名が囲む 一度負けてるから念には念をとばかりに、金属バットやら木刀などを持っている 殴られれば怪我どころでは済まないだろう さらに人数で悠輔は劣性 勝つことはかなり困難な状態だ。 「勝てばいいんだよ勝てば、手段は選ばない。それが俺達のやり方だ!」 「ヤロォ……」 「死ねやぁぁぁ!」 「……邪魔だ!!!」 「ガフッ……」 話し終えるか否かという刹那、横から襲われる。 振り下ろされるバット、それをかわし、相手の腹部に渾身の力で蹴りを叩き込む。 クリーンヒットした相手は膝から崩れ落ち、動かなくなる。 「テメェ!」 「だから、邪魔だって言ってるのが……聞こえねぇのか!」 「アグッ!?」 直進してきた相手をかわし、相手の頭を抱えたまま、跳び膝蹴りを入れる 鈍い音とともに頭が後ろに跳ね返り、足が地面から離れ、地面に倒れ込む。 「次は、どいつだ?」 「くっ、コノヤロォ……」 「そろそろ負けたときの言い訳、考えた方が良いんじゃないか?」 「うるせぇ! 最後に勝つのは俺だ!!」 大胆不敵に微笑む悠輔 しかし、悠輔は気が付いていなかった。 ───後ろから迫り来る存在に 相手の焦ったセリフ、だがそれには裏があった。"演技"という裏が…… 抜き足差し足で忍び寄る存在に悠輔は、全くといっていいほど気が付いていない。 その様子を見ていた頭は不気味な笑みを浮かべる、この勝負はもらったと──── 「何がおかしい……」 「くくくっ、確かにテメェの強さは認めてやるよ」 「………」 「だがな、最後に勝つのはこの俺だ」 「何だと?」 殺気をむき出しにして、相手を威圧する悠輔。そしてなお続ける 「だってお前はよぉ……」 「………」 「終わってるんだからな」 「なっ!?」 「やれっ!!!」 後ろから振り下ろされる金属バット すぐに防御体制に入るが、ダメージは計り知れず……最低でもどちらかの腕を犠牲にしなければならない。 迫り来る一撃に、目をつぶる。 ────… ───… 「?」 いつまでたってもその一撃はこない 恐る恐る、目を開けてみると…… 「なっ!?」 「卑怯な奴は、俺も大嫌いで……なっ!!」 「グッ!?」 相手を殴りとばす少年 身長は悠輔より少し低いくらいか だが、がたいはかなり良かった。 何よりも…… 「お前……陶山中学の……!?」 「………今は、目の前の敵だけを考えな」 「……ハッ! 言われなくてもだ!」 ────その後はあっけなかった ものの数分とかからず、相手は全滅で悠輔の勝ちとなった。 これが─── 悠輔とのコンビ、『龍虎』として地域に名を轟かせる ───初めての戦いだった。 え? 肝心なところが分からない? ……… そこはまぁ……企業秘密ってことで。 [*前へ][次へ#] [戻る] |