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B
 
「一条奏汰です…」

「君が奏汰君だね。いつも朔がお世話になってます」

 むしろこっちがお世話になりっぱなしなのだが。
 男性…章さんの握手はびっくりする位優しくて、俺は気恥ずかしくなってしまった。

「羽岡に顔、見せてやって下さい」

 もっともらしい理由を作ってさりげなく手を離すと、章さんは特に気を害した風でもなく「そうだね」と言って羽岡の元へと向かった。

 いつも以上に白い顔に、頬だけが紅い羽岡。呼吸は大分落ち着いたようで、今は安らかに寝息を立てている。

 章さんは羽岡の頬をやんわり撫でると、ついと目を細めた。痛ましそうに、切なそうに。――先程の医師と、同じ目だった。


 ……何だろう。違和感がする。

 我が子が倒れたのだから、心配する気持ちは分かる。だが、たかが風邪ごときでこんな――思い詰めたような顔をするのだろうか?

 真意は別にあるような気がして、けれど聞いていいような雰囲気じゃなくて、俺は沈黙した。



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あきゅろす。
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