@ 「先生、ありがとうございました」 「お姉さんによろしくね」 放課後。 殆どの生徒は下校して残っていない。 俺はそんな中、夕陽差す廊下を音楽室へ向かって一人歩いていた。 窓に目をやると、橙色の太陽がビルの向こうに沈んでいくのが見える。 昼間の強い光とは違った、優しい色だ。 「…………?」 音楽室まであと5m、といったところで、俺はぴたりと足を止めた。 「…聞こえる……」 ピアノの、音が。 音楽室に誰かいるのか、と思いつつ、扉まで近づいて行って、邪魔にならないようそっと扉を開ける。 そこにいた意外な人物に、俺は目を丸くした。 [次へ#] [戻る] |