A 「その、今は金が……」 狼狽えながらも正直に告げる。 だが、それでこの岩崎が許すはずもなく、 「ンだと?舐めたこと抜かしてんじゃねーぞ」 顎を掴まれ、無理矢理視線を合わせられる。 嘘は言っていないのだが、岩崎の鋭い眼光に耐えられなく俺は視線をそらす。 そんな態度も気に喰わないのか、岩崎は舌打ちすると、拳を振り上げた。 あぁ、また今日も殴られるのか。 そう思い、目を閉じて次にくる衝撃に耐えようとしたのだが、 「すいませーん。一条奏汰君いますかー?」 突然割って入って来た呑気な声に、ぴたりと岩崎の動きが止まった。 来るはずの衝撃が来ない上に、自分を呼ぶ声がするのでのろのろと目を開けてみる。 と、教室のドアから、ひょっこりと銀髪の少女が顔を出していた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |