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 気が付けば、教室を飛び出していた。

 走り過ぎて、呼吸が苦しい。
 でも、それよりも。
 苦しいのは、心だった。

 階段を駆け上がり、重い鉄扉を蹴り飛ばし、いつの間にか、辿り着いたのは屋上だった。
 真上の太陽が眩しい。
 天気はこんなにいいというのに、俺の心は最悪だった。

「クソ……ッ」

 だん、とコンクリートの床を叩く。
 痛さで涙が滲んだ。

 なんで、俺ばかり。

「痛……」

 ぽつりと呟けば、それは哀しく独りの屋上に響く。

 痛い、痛い。
 コンクリートを打った手が。転んだ膝が。心が。


 ――イジメという現実に、どう立ち向かえばいいのだろう。
 今までずっと耐えてきたけど、一向にイジメは止まない。

 今日、俺は限界に達してしまったのだ。


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