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10*4
「あれ、陛下たちじゃんけんしてない?」
「え、なんで?」
「分かんないけど…掛け声が聞こえた気がして…」
「気のせいじゃない?」
 
 
カチャカチャと食器を洗いながら話すお二人
 
これだけの人数で食べるとやはり食器も多いわけで
 
 
「名前ちゃん、どうかした?」
「え…」
 
 
不意に話かけられ、動かしていた手が止まる
 
 
「なんか、さっきから元気ないけど…」
「そんなことないですよ…っ!」
 
 
私は笑ってみせるが、KAORIさんとYUUKIさんは二人で目を合わせ、首を傾げている
 
 
「あ!!やっぱり今朝のこと??もっと、怒ろうか?」
「ち、違うんです!!もうそのことは…」
 
 
そのことは、もういいんだけど
 
私が言い渋っていると、はっきりしなさいとKAORIさんに肩を叩かれた
 
 
「…いや、これが終わると、もう皆さんに会えないのかなー、と…」
 
 
そう、私は考えていた
この皿洗いが終わり、皆が解散してしまえば、私は普通のサンホラファンに戻って、皆さんとこうして会うことはなくなってしまうかもしれない
 
運がよければ、次のライブでメイクとしてまた呼んでもらえるかもしれないけど、それはずっと先の話
 
この数日間、皆と過ごした時間が楽しかっただけに、少し寂しくなってきてしまったのだ
 
そんな私を見て、二人は盛大に笑い始めた
 
 
「わ、笑わないでください!!」
 
 
なぜか恥ずかしくなり、顔が赤くなるのが自分でも分かる
 
 
「や、ごめんごめん…名前ちゃんそんなこと考えてたんだ」
「可愛いーなぁ」
「からかわないでください…!!」
 
 
YUUKIさんは水で濡れた手を拭き、私の頭に手を置いた
 
 
「名前ちゃん忘れてない?」
「え?」
「メイク、教えてくれるって約束したよね?」
「あ…」
 
 
そうだ、そんな話もあったっけ…
 
 
「だーかーら、そんなこと考えなくても、また遊ぼうよ」
「私も、ね!!」
 
 
横からKAORIも私の頭に手を伸ばす
二人分の手は少し重く、洗い物の後で少し冷たかったけど、凄く温かかった
 
 
「そうと決まれば!!アドレス教えてよ!!」
「はい!!」
「あと、敬語もさん付けも禁止だからね」
「う…」
 
 
YUUKIさんに言われ、一気に喋らなくなった私を、また二人は笑った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これからも、っと?
 
 
 
 
 
 
 
 
(ちょっ…私の携帯!!)
(いや、これは、その…)
((じまさんっ!?))
(…すいません)

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あきゅろす。
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