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Trick & Treat!/灰男/バク・チャン/ハロウィン?


衣装を変えて、ご馳走も準備して、闇を照らす灯りを点して。

準備が整ったのなら、さあ…宴を始めましょう?




Trick & Treat !


何処までも続いている、そんな錯覚を起こさせる位の長い長い廊下。
所々に足下を照らす為の飾り気のない燭台がついてはいるものの、そこはぼんやりとした暗闇に覆われていた。

(…今月ももう終わりか)
まだやるべき仕事は残ってると言うのに、とその暗く長い廊下を歩きながら、今日の日付を脳裏に描いてバク・チャンは嘆息する。
ノアの一族の出現とイノセンスの研究、そして団員達一人一人への的確な指揮。
まして支部長ともなれば、日々の執務も厳しさを増すわけで。
支部長として表には出さないまでも、バクの疲労も最高潮に達しようとしていた。

身体は果てしなく睡眠を要求していたが、やはりそういう訳にも行かないだろう…と司令室に向かおうとした、その時。


つい先程まで歩いていた廊下の奥から、勢いの良い何かが猛然とこちらに向かってくるのが見えた。其れを偶然にも視界の端に捉え、捉差に其れを避けようとしたが間に合わず。
――――ドゴッ!!!と余り人体的に立ててはいけない様な音を立て、バクの背中から腰にかけて激しい衝撃がバクに襲いかかる。余りのエネルギー量に耐えきれず、バクはべちゃっと蛙の様に地面に倒れ込んだ。


「やっば、到着位置少しずれちった…あ、ハロハロ支部長☆」


頭上から降ってくる、少し高めの少女の声。身体中で冷たい床の感触を感じつつ半ば呆然としていたバクだったが、その声の主を認識すると勢い良く起きあがっ
た。


「まーた貴様かぁぁぁ!!!名前!!!」

「やっだ、私に会えたからってそんな喜ばないで下さいよ―ぅ」


胸の前で腕を交差させ、軽くおどけてみせる少女・名前にバクは本日何度目かの溜息をつくと、「あれ、何で溜息つくんですか」と彼女は口をとがらせた。


名前という人間は、相変わらず妙な女だとバクは思う。
ぶーぶーと文句を言いはしても決して弱音は吐かないだとか。
人が悩んだり疲れていれば何処からともなくやって騒ぎ倒し、その様な事を丸ごと脳裏から消し去ってゆく癖に、一人にして欲しい時は絶対に会うことはなかったりだとか。


「大体、何でキミがこんなところにいるんだ」

それもそんな恰好で、と胸のうちで呟く。
何せよいつもの漆黒の団服ではなく、黒とオレンジの生地を重ねてあるワンピースに白のレースをあしらってある、何とも……何とも表現しがたい恰好であった
のだ。
たとえるならそう、……まるで、小さな魔女の様な。


「あ、そうそう。忘れるところだった!」

初心忘れるべからずッスね、と名前はあっけらかんとした顔で笑った。そして形の良い唇を惜しげもなくかぱっと開け、こう一言。


「Trick and Treat!」


「……せめて、それを言うなら"Trick or Treat"だろう」


バクは満面の笑みと共に差し出された名前の白い手をぱちんと叩き、去ろうと踵を翻した。
何しろやるべき仕事はまだまだ山積みなのだ。
…が。

「はい、バク支部長にこれをさしあげます」

がし、とその細腕にそぐわぬ程の力で腕を掴まれそれは叶わなかった。
全く、キミって奴は…と呟き、渋々ながらも差し出されたその紙を受け取る。
そこに意外と整った字体で記されているのは。


「Happy☆halloween!招待状…?」

記された文字をそのまま読み上げたバクは、「帰る」と名前に紙を突っ返し、今度こそ足早にその場を去ろうとする。


「ちょ、何で帰るんスか!!素晴らしい招待状じゃないですか、行きましょうよパーティー!」

「行くかぁぁぁ!!!何だあのバカ丸だしな文章は!」

「バカ丸だしって何ですか!!どうせバク支部長の事だから碌に休憩も取ってないだろうと思って一生懸め……あ」


やっちまった。そうありありと顔に出している名前を見て、バクは少し目を見開き、何故か――…本当に何故か、頬がゆるんだのが自分でも分かった。



名前という人間は相変わらず妙な女だ、と思う。
ぶーぶーと文句を言いはしても決して弱音は吐かないだとか。
人が悩んだり疲れていれば何処からともなくやって騒ぎ倒し、その様な事を丸ごと脳裏から消し去ってゆく癖に、一人にして欲しい時は絶対に会うことはなかったりだとか。
そして今、またこうやって。疲れきっていた自分を無意識にエネルギーをくれている。笑えている。


「本当に、バカだな」
くくっ、と笑いを抑えながら言うバクに、名前は頬を膨らませた。


「酷ぉ!!何処がどうバカなんですか、ていうかバカって言う方がバカなんです―」


「で、何処なんだ?」


「へ」
口をぽかんと開け、丸い目を見開く名前。
その表情が余りにもおかしくて、また笑いそうになりながらもバクは口端をあげた。


「場所。パーティー、やるんだろう?」


……っはい!、そう満面の笑みでこちらに近寄ってきた名前の頭を軽くこづき、バクは思う。






………本当に、妙な女だ。




(そういえば、初心忘るべからずも意味が違うんじゃないか?)(へ、なんのこと)(…やっぱりバカだ!)



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遅ればせながら柊果様との相互記念に。こんなのですみませ…っ!!(土下座)
バクちゃんでほのぼの、というリクでしたが、これで大丈夫でしょうか…?もう本当に申し訳ないです…。自分で書いててもあらららだもん。しかもハロウィン関係ないしね!(涙)

あ、えっと、こんなのですが柊果様のみフリーです。
こんな駄文ばかりのサイトですが、これからもよろしくお願いします!
はっぴーはろうぃん!滸でした。




あきゅろす。
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