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小説
居場所を探して
ガシャーン!

「だいたいあなたが...!」

「そんなこと言ってないだろう!!」





あーやだやだ。

こんな真夜中に夫婦喧嘩なんて。

お隣さまにもバレバレよ。
恥ずかしくないのかしら。


あたしのパパとママはケンカばかりしてる。

あたしが幼いときからずっとよ。


だいたいはパパの浮気が原因。
一人の女性で満足できないなんて、惨めな男。

でもママもママで未だに女でいるみたい。

その辺はよく知らないけどね、どうでもいいわ。


あたしがいなかったらとっくにリコンしてるはず。

子供がいると面倒だものね。
親権とか養育費とか?


勝手に産んだくせに、邪魔物扱いされちゃうんだもん。


なんだかもう悲しくもないわ。

かといって笑えもしない。







ガッッシャーーン!!!





「あぁあー、もう嫌!!」


あたしは真冬の深夜2時だというのに部屋着のまま家を飛び出したんだ。


ううん、追い出されたの。


あたしなんか、もういない方がいいのよ。

そしたらみんな幸せなのよ。

違う?そうでしょ?

パパもママもさっさとリコンしてサイコンしたいのよね?

あたしをどうするかでモメてるんじゃない。

もっと小さければ山にでも捨てた?



溢れている涙がせめてこぼれないように、息を止めて走った。



向かう宛なんて無い。


でも此処に存在する場所も無い。




止まることができないあたしは、ひたすら走った。




でも、気づくとあたしはあの橋へ向かっていた。



「待ってる」



その言葉は、あたしにとって、怖いくらい嬉しかったから。






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あきゅろす。
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