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石楠花物語小学校時代
学習お泊まり会

同・校庭
   キャンプファイアで、フォークダンスをしている。

健司「うわぁっ!」

   火の粉が額に当たる。麻衣、クスクス。

健司「笑うなっ!!」


   しばらくご、各クラス毎の出し物が行われている。2部の出し物は『ディエポチカ』を踊り、麻衣と千里が中央で向き合って互いのパートのソロを踊る。


   更にしばらくご、スイカを食べる全員。

掛川「なぁなぁ千里、」
千里「んー?」
掛川「お前ってTシャツ?とも、パジャマ?」
千里「僕?僕は…」

   恥ずかしそう

千里「パジャマ…熊さんの…」
麻衣「へぇー、可愛い!!」
健司「麻衣、お前は?」
麻衣「私?私なんて…着物だに、着物の寝巻き。」
磨子「へぇー!何か古風で珍しい。」
麻衣「健司と磨子ちゃんも泊まるだら?」
健司、磨子「うんっ、勿論っ!!」
タミ恵「ま、千里君は精々、おねしょしないように気を付けなさい。」

   知晃、恵美子、田苗、一斉に同時にタミ恵を睨み付ける。

タミ恵「あらま、私ったら何か又余計なことを?」

   つんっと笑って去る。

恵美子「嫌なやつ、」

   真っ赤な顔をして泣きそうな千里。

田苗「あんなやつのいうこといちいち気にしないでいいよ。」
知晃「そうそう、何が偉いんだか知らないが、みんなにいつもあーなんだから。」
恵美子「根性悪なのよ。何かと人の幸せをやっかんでんだわ。」
麻衣「でも、おもらしは幸せでもないに?」
磨子「まね…」
健司「俺も、あんな子とはあまり付き合いたくはないな…」

   千里、スイカの三つ目を食べている。

健司「てかお前、ちびの癖によく食うよな。」
千里「そう?よく言われるの。」

   健司を見る。健司も四つ目に手を伸ばそうとしている。

千里「健司くん、そういう君もね、」
健司「まな、」

   二人、微笑む。

千里、健司「おいし。」


同・大広間
   全員分の寝袋がぎゅーぎゅーに敷かれている。

栗平先生「千里君、今日もトイレ起こした方がいいか?」
千里「え?えぇ…」

   恥ずかしそう

千里「うん…」
掛川「大丈夫、僕も協力するからさ。じゃあ、臨海学習の日と同じく、僕は12時に起こすから、必ず起きろよ。」
栗平先生「十君、ありがとう。では先生はその二時間後にね。」
千里「みんな…」

   恥ずかしそうに笑う。

千里「ありがとう…」


   (全員、寝入る)
   12時。掛川、千里を揺すり起こしている。

掛川「千里君、千里君!一緒におしっこ行こうよ。ねぇってば!!」
千里「うーん…」
掛川「千里君、又おもらししちゃうよ!!」

   千里、寝入っている。

掛川「おいっ!!」
千里「んーっ…トイレぇ…おしっこぉ…むにゃむにゃむにゃ…」
掛川「っ…?」
千里「ママぁ…トイレ行きたいよぉ…」
掛川「千里君ったらっ!!」

   まずいとおもい、千里を一気に揺すり起こす。

千里「んー?」

   目を覚ます。

掛川「千里君っ、トイレは?」
千里「あっ!!忘れてた。ありがとう!!」

   寝袋を出る。

千里「あー、おしっこ、おしっこ…スイカを食べ過ぎたよ…」
掛川「そうだよ、あんなに食べるバカいるかっ!!お腹も壊すぞ。」

   二人、トイレに立つ。


同・トイレ
   男女共同

掛川「この階って男女共同しかないんだよなぁ…」
千里「えーっ…」

   二人、用を足し出す。個室から麻衣が出てくる。

麻衣「あ、」

   顔を赤くしてクスクス。

麻衣「嫌だ、男の子と一緒になっちゃった。お休みぃ!」

   手を洗って出ていく。千里、顔を真っ赤にして下を向く。

掛川「大丈夫だよ、こんなこんよくあるからさ。それに僕たちはまだ子供なんだもん。そんなに恥ずかしがることはないよ。」


   しばらくして二人も手を洗って出ていく。


同・大広間
   掛川も千里も寝入る

   (2時近く)
   千里、夢を見ている


千里の夢の中
   車の中。千里、珠子、頼子。

千里「ねぇママ…トイレ…」
珠子「もう少し我慢なさい、ほら、高速入るわよ。」
千里「なら、次のサービスエリアで止まってね。」
珠子「どうしてさっき行かないの?」
千里「だって…」

   車、山道を走っている。

   間もなくして、不思議と高速道路に入る。千里、下腹を強く押さえ込む。

   実際の千里も寝袋の中で下腹を強く押さえ込んでいる。

千里「ママっ…」
珠子「何?もう少し我慢なさい!!」
千里「もう我慢出来ないもんっ!!」

   目を固く閉じる。


同・大広間
   千里、眠りながら目を固く閉じている。下腹を強く押さえ込んでいる。

栗平先生「千里君、千里君、起きなさい、トイレ行こう。」
千里「ママぁ…」

   寝ぼけて寝言。

千里「もうもれちゃうよぉ…」

   栗平先生、ギクリとなる。

栗平先生「千里君っ、千里君っ!!」

   千里、眠りながらしかめ面をして泣き出す。

千里「ママぁ…」

   栗平先生、千里の寝袋の中を覗く

栗平先生(あー千里君…間に合わなかったか…)

  
   急いで小声で。

栗平先生「千里君、千里君!!風邪引いちゃうよ、起きて着替えよう。」
千里「んー、何ですかぁ?誰ぇ?」

   うっすら目を開ける。

千里「栗平先生…ここは?」

   キョロキョロとしてギクリとなる。

千里「先生…」

   蒼白になって体を動かし、栗平先生の顔を見る

千里「僕…」

   又泣きそうになる。

千里「おしっこしちゃいました…」

   しくしくと座って泣き出す。

栗平先生「千里君、大丈夫だよ。大丈夫だから泣かないで…さぁ、トイレへ行って着替えよう。冷たいままじゃ風邪引いちゃうよ。着替えは持ってるか?」

   千里、泣きながら首を降る。

千里「パンツない…」
栗平先生「なら、医務室へいこう。先生から、言っておくから。」

   泣く千里の手を引いて医務室へと連れていく。


同・医務室
   着替える千里。

千里「先生…」

   者繰り上げる

千里「何で僕っておねしょしちゃうんでしょうか?他のみんなはしないのに…どうしたら治るんでしょう?」
栗平先生「千里君、心配しなくても大丈夫。君のせいじゃないからね。その内に治るよ。」
千里「本当に?」
栗平先生「そう。お家の人は?君がおねしょをして叱るか?」
千里「はい…叱らないときもありますが…よく怒られます。下腹とお尻にお灸を据えられるんです。百草のやつ…」

   泣き出す。

千里「いつも僕、それが怖くて…」
栗平先生「そうか、分かった。」

   微笑む。

栗平先生「大丈夫だよ、もう心配するな。君のその心にも少し原因があるかもしれないから、もう親御さんにもお友達にも、君を叱ったりからかったりお仕置きしたりしないようにって言っておくね。」
千里「はい…ありがとうございます…」
栗平先生「よしっ。じゃあもう寝よう。着替えたら上へ上りなさい。」
千里「はいっ。」

   者繰り上げながらも微笑みつつ、栗平先生に手を引かれながら医務室を出ていく。

   二人が出ていったあと、人影が数名通りすぎる。

同・マルチ広間
   朝食をするメンバー。千里はぐすりあげて気落ちしている。

健司「おい千里、あまり落ち込むなよ。」
麻衣「ほーだに、君だけじゃない。君の年で失敗しちゃう子なんて何人もいるで。私の兄貴だって、中一までお布団濡らしてたもん。」
健司「俺の兄貴だって、」
磨子「嘘こけ!!」
麻衣「悟ちゃんはもっとしっかりしてるわ。」
磨子「あんたじゃないの?」

  健司、真っ赤になって俯く。千里、くくっとわらう。

千里「みんなありがとう。」

   焼きそばカレーロールをかじる。

千里「おいし。」
麻衣「何のパン?」
千里「焼きそばカレーパン。僕これが大好きなんだ。」
健司「俺は、お母さんのカツサンドとオレンジジュース。」
磨子「朝からよくそんなしつこいもん食べれるわね。」
健司「いいのっ!!お前らは?」 
磨子「あ、私はクリームパン!茅野駅前フォルトゥーナの。」 
麻衣「私は、味噌漬けのおにぎりと肉じゃが。」
健司「くれっ!!」
麻衣「だーめーよー!!私の分しかっ…」

   健司、スッと箸でつかんで口にいれる。

麻衣「あーあ…」

   千里も微笑んで肉じゃがを食べる。

麻衣「んも、仕方ない殿方たち。ほいじゃあ食いな。磨子ちゃんも。」
磨子「やったぁーっ!!」
千里「やりぃ!!」
健司「ほいじゃあ、遠慮なく…」

   磨子、健司の手を叩く。

磨子「あんたは少し遠慮なさい。」
健司「ちぇっ。」

   わいわいと食べる。
 
   暫くして解散。それぞれの家へと帰っていく。


自宅
   それぞれの自宅にはいる。

麻衣、健司、千里、磨子「ただいまぁっ!!」


岩波家・健司の部屋
   ピアノにつく健司。そこへ幸恵。

幸恵「健司、あらおかえり。明日から夏休みでしょ?夏休みの宿題は全て終わらせるのよ。それから遊びに行ってらっしゃい。後、プールには必ず行くことと、ラジオ体操には必ず起きること。いいわね。」
健司「はーい、でもお母さん、明後日は俺、ダメだよ。」
幸恵「どういう事?」
健司「千里んちへお泊まり勉強会。友達だよ。」
幸恵「千里君?そんな子いたかしら?」
健司「豊平小の男の子だよ。麻衣を通じて知り合ったんだ。」
幸恵「そう、いいわ。行ってらっしゃい。でも人様の家で迷惑はかけちゃあダメ。いい子にちゃんとしているのよ。おねしょはしないこと。寝る前には飲まないこと、ちゃんとおしっこしてから寝ること。いいわね?」
健司「ほーい、分かってるよぉ。」

   赤くなってむくれる。

幸恵「なら健司、まずはお母さんにあなたのピアノとバイオリン、お聞かせなさいっ!!」
健司「えー、めんどくせっ。」
幸恵「やるんですっ!ほれ早くっ!スタンバイ致しなさいっ!!早く早く、」

   健司、ふてくされてバイオリンを準備。ピアノとバイオリンにつく。

健司「んで?まずはどっちからやりゃいいんだ?」


小口家・居間
   珠子が繕い物をしている。

千里「ねぇママ、覚えているだろ?明後日…」
珠子「分かっているわよ。ママ、入院に入る前にきちんと準備しておきます。お料理はせんちゃん、出来るわよね?」
千里「うんっ。」
珠子「ならみんなに、卵クリームシチューをつくってあげるのよ。」
千里「はい、」
珠子「作り方わかるわね?」
千里「はいっ。」

   珠子、微笑んで千里の頭を撫でる。

珠子「せんちゃんはそう言うところは聞き分けがよくてとってもいい子ね…」
千里「そう言う…ところ…?」


柳平家・居間

糸織、紡「えー、いいなぁ。」
紡「何か麻衣だけが先に大人になってく…」
糸織「ふんとふんと、僕らにはほんなこんできる友達まだ…」
麻衣「ほんならあんたたちもせんちゃんちに…」

   二人、不貞腐れる。

紡「ほいだって私達…」
糸織「招待されてないもん。」

   そこへ紅葉と八重子

紅葉「こらこら、今度はまた何の喧嘩?」
八重子「どうせまた下らないことでしょ?」
糸織、紡「下らないとは失敬なっ!!」 
麻衣「私だけがせんちゃんちに招待されたって意地やいてんの。」
八重子「ふーん。」
紅葉「またこれからそんなことあるわよ。ね。」
麻衣「ほーだに。ほいだって私達はまだ小5だに?人生まだまだこれからよ。」


小口家・玄関先
   翌日の夜。千里、頼子、珠子、小口

珠子「じゃあパパ、私は行ってきます。せんちゃんを宜しくね。」
小口「珠子、本当に一人でバス、大丈夫なのか?」
珠子「大丈夫よ、頼子の面倒もしっかりと頼んだわよ。」
小口「分かった。頼子、千里、ママが退院するまでいい子にしてような。」
頼子「うんっ!!」
千里「ママ…」

   不安そう

千里「ママ、本当に行っちゃうの?」
珠子「何よ、ママは病気じゃないんだからまた元気になって戻ってくるわよ。」

   泣きそうになる千里を抱き締める。

珠子「ほらほら、また泣きそうになってる…泣いちゃダメ。二人目のお兄ちゃんになるんですから。明日はお友達がくるのでしょ?そんな風に泣いてたらお友達にたら笑われちゃうわ。」
千里「ふっ、ふっ、」

   珠子、笑って千里をそっと離す。

珠子「では…もう行かないと…行って参ります。」

   いえを出ていく。

千里「ママっ!!ママっ!!」

   飛び出て追いかけようとするが小口がそれを引き留めて抱き上げる。

小口「さぁ千里、ママは病気じゃないから大丈夫だよ。千里はもうお兄ちゃんだもんな、パパと頼子と二人でいられるもんな。」

   千里、本格的にしくしくと泣き出す。小口、千里を抱いたまま背中を優しく慰める。

頼子「千兄ちゃん、大丈夫でしゅよ。よりがいましゅからね。」
小口「おやおや、お兄ちゃん恥ずかしいぞ?妹に慰められちゃった。」

   小口、頼子、フフフと笑う。


   (翌日)
   夕方。千里が台所で料理をしている。そこへベル。

千里「あ!はーいっ!!」 
健司と麻衣の声「こんにちはぁっ!!」
千里「待っててねぇ、どーぞ、今開ける。」

   ドアを開ける。

千里「あ、いらっしゃいっ!!」
麻衣「今日は何かありがとね。お邪魔しますつ!!」
健司「今晩一晩宜しくな。」
千里「うんっ。さぁ、どーぞどーぞ、上がって。」
麻衣、健司「お邪魔しますっ。」

   上がって奥へと案内されていく。


同・台所

千里「さぁ座って。良かったらご飯食べてよ。」

   シチュー、サラダなどを出す。

千里「有り合わせで悪いけどさ、今日はママがいないから僕がご飯作ったんだ。」

   そこへ頼子が来て席へつく。

千里「あ、これ僕の妹の頼子。」
頼子「よりです!!宜しくお願い致しましゅ。」
麻衣、健司「へぇーっ、かっわいいっ!!」

   頼子、はにかみわらい。

麻衣「でも何?このご飯って…君の手作りだだ?すごーいつ!!」
千里「いや、手作りだっても…余り物を混ぜて簡単に作っただけよ。」
麻衣「ほれが凄いって!!なぁ!!」
健司「あぁ、」
頼子「うんっ!千兄ちゃんは何でも出来て凄いでしゅ。」
千里「い、いやぁ、それほどでもぉ…」 

   照れてくねくね。全員、笑う。


   四人、食べている。

千里「それじゃあさ、食べたら見に行くか?…例のもの…」
健司「ほーだな…」
麻衣「流星群…ほして明日は?」
麻衣、健司、千里「尖り石祭。」
健司「よーしっと。博物館や祭りで、5000年の茅野市とやらを詳しく調べてまとめるぞぉっ!!と」
3人「おーっ!!!」

   残りを食べ続ける。


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