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石楠花物語小学校時代
八ヶ岳山林学習

車山高原・頂上
   麻衣、千里、リフトを降りる。 

麻衣「はぁ、着いた!!せんちゃん、大丈夫?」
千里「うん、ありがとう。」

   麻衣、千里の手をとって歩く。

麻衣「な、ここからの眺め綺麗だら?私な、ここ大好きなんよ…」

   うっとり

麻衣「毎年年明けにはな、ビーナスライン…ここまで来るに通ってきた道な。に、日の出ラインっつーシャトルバスが走るんよ。ほれに乗ってみんなここへ日の出を見に来るだ。んでな、」

   鐘台の下に立つ。 

麻衣「この鐘がみんなの一番のお目当てなんよ。」
千里「鐘が?」
麻衣「ほ。日の出を見た後にな、この鐘の下で鐘を三回鳴らしながら好きな人の名前や恋人の名前を言うと、恋が叶ったり結ばれたりする、良縁の鐘ってんのよ。」
千里「へー。」
麻衣「私達も、いつか大人になったら…誰か出来るのかしら?憧れなのよね…」
千里「いいね…でも僕、そいのまだ分からないや。」
麻衣「私も。さ、降りる?」
千里「うんっ!!」

   二人、リフトに乗り込む。
 

ヒュッテ・客室
   小口、珠子、千里。そして桃代。

桃代「と言うわけですので、お食事は下のホワイエでお願い致します。勿論ここで食べて頂く事も出来ます。そしてお風呂は…」

   説明をしている。

桃代「それでは、失礼します。」 

   一礼して退室。

   珠子、小口、キョロキョロ

珠子「へぇー、なかなかいいとこね。」
小口「そうだな。」
珠子「ねぇ、蓼科って静かだし山が多くていいわね…ねぇ、あなた。」

   小口を見る。

珠子「私、蓼科に引っ越したいわ。」
小口「そうだな…でも珠子、」

   笑う。

小口「結婚するときに京都で君のご両親と共に暮らした言っていた人、誰だったかな?」
珠子「まぁ!!」
千里「嫌だっ!!」

   近くへやって来る。

千里「僕、又、引越しなんてしたくないもんっ!!今の京都のおうちで京都の学校のままがいいもんっ!!」
珠子「嘘、冗談よせんちゃん、冗談。」
千里「本当に?」
珠子「本当よ、本当。ただのママの希望よ。まぁ、引っ越すとしてもせんちゃんが大きくなってからかもね。」
千里「良かった…」

   笑って珠子に飛び付く。

千里「ママっ!!」
珠子「あらあら、せんちゃん何?」
小口「このぉっ、甘えん坊坊主めが!!」

   微笑んで千里の頭を悪戯っぽく撫でて千里を抱き上げる。

小口「重くなったなぁ、千里はぁ!!もっと大きくなるんだぞ!!」

駐車場
   麻衣、桃代、梅生、櫻子、千里と両親。

小口「それではみなさん、お世話かけました。」
珠子「本当にありがとうございました。」
桃代「いえいえこちらこそ…又いつでも遊びに要らしてくださいね。」
珠子「えぇ、是非。」

   うっとり

珠子「この蓼科と言うところは本当にいいところですわね。」
櫻子「ありがとうございます、」
珠子「いつまでもいたい感じだわ!!」
千里「ママァ!!」
珠子「はいはい、」
麻衣「せんちゃん…ふんとぉーにへー帰っちゃうんね。」
千里「うん、色々ありがとね。」

   寂しげに笑う。

千里「でも又、茅野にも遊びに来るよ。その時、又会えたら遊ぼ。」
麻衣「うん、私も京都に行くわ。ほしたら色々案内してな。又遊ぼうな。」
千里「チャオッチャーオッ!!」
麻衣「チャオッチャーオッ!!ほいじゃあなぁ。」

   二人、手を降って別れる。


宮川長峰小学校・教室
   それから数日後。岩波健司、田中磨子、柳平麻衣、横井哲仁、吉岡末子がいる

健司「なぁ、もうすぐお諏訪巡りあるんだよな?どんなこんやるだら?」
磨子「さぁ、私も分からないからワクワク。」
横井「確かぁ、」

   しおりを見て顔をしかめる

横井「行動は大して面白くねぇーぜ?」
健司「え?ほーなの?」
末子「えー、私はいいと思うわよ。」
健司「例えば?」
麻衣「例えばねぇ…玉川の集荷場。」
健司「何だほりゃ」
麻衣「お野菜の貯蔵庫よ。ほこから色々なお店に…」
健司「おえっ、ほんなとこいったら死ぬ!!」
磨子「富士見野菜工場」
健司「ううっぷ…」
磨子「トマトジュースとか、ソースを作ってるとこ。」
末子「んで、原村!!自然文化園。プラネタリウム!!」
横井「んで、温泉だ!!」
末子、麻衣、磨子「じじくさっ!!」
末子「てか、小学校の社会見学でほんなところ行くもんですか!!」
健司「でもほりゃ…ふんとぉーにつまんなそぉだ…俺やだな…。熱でも出れば良いのに…。」
磨子「行けば楽しいわよ。」


富士見野菜工場
   当日。三年生全員が工場の人の話を聞いている。

   帰りにソース、ジュースを貰ってバスに乗り込む。健司以外の人は美味しそうにジュースを飲んでいる。


玉川の集荷場
   全員がバスから降りる。湯田坂君恵先生。

麻衣「湯田坂先生…うぅっ、」

   胸を擦る。

麻衣「気持ち悪いです…酔いました…。」
湯田坂先生「麻衣ちゃん、大丈夫ですか?」

   酔い止めを渡す。

湯田坂先生「これをお飲みなさい。中は涼しいから涼しいところへ行けば少し治るかもよ。」
麻衣「はい…」
湯田坂先生「はーい、みなさん、工場の人の言うこと聞いて中に入りなさぁーい。」
全員「はーいっ!!」

   ぞろぞろと集荷場の中へと入っていく。

健司「麻衣、大丈夫か?」
磨子「麻衣ちゃん、大丈夫?」
麻衣「えぇ、何とか。…平気だに。」


   巨大冷凍庫の中へと班ごと入る。全員、震えている。

健司「ふぅーっ!!」
麻衣「寒いぃー!!」
磨子「夏でも冬みたい!!」


   外へ出てくる。夏の日差し。

磨子「おえっ、外は暑い…」
麻衣「でも、これが心地よく感じるぅ!!」
健司「俺も…」

   三人、伸びをする。

横井「暖まったり冷えたり、風邪引きそうだぜ。」
末子「んだんだ、私も。」
湯田坂先生「ではみんなぁ、」

   カメラを構えてやってくる。

湯田坂先生「こっち向いてぇ!」

   後ろにはセルリーの箱。

湯田坂先生「3 , 2 , 1 ,」
全員「セルリーっ!!」

   健司、箱を見た瞬間におえっとなる。その瞬間が取られる。


自然文化園
   三年生全員が広場でお弁当にしている。

麻衣「んーんっ、私はぁ?パカッ。」

   お弁当の蓋を開ける

磨子「今日も蜂の子さんと蝗さんね?」
麻衣「大正解!!甘辛唐揚げだら?佃煮だら?ご飯だら?」
磨子「あー、いいなぁ。私にもちょうだい!!」
麻衣「もっちろん!!」

   磨子に虫をあげる。

麻衣「健司、あんたは?」
健司「俺はいい、遠慮しとくよ。」

   お弁当を広げるが内心落ち着かずにもじもじとおつくべをしている。


同・プラネタリウム
   入り口で説明を聞いている。左手にはトイレ。健司、落ち着かずにもじもじとトイレの方を見ている。

湯田坂先生「それでは、見ましょう。みんな先生に続いて入ってきてください。」

   全員、続いて右側のプラネタリウムの中に入る。

 
   健司、見ているときは集中して落ち着いている。


   終わる。


同・プラネタリウムロビー
   全員、出てくる。

麻衣「はぁ、とっても楽しかった!」
磨子「私も、来てよかった。」
湯田坂先生「それではね、もしトイレ行きたい人がいれば…」

   シーン

湯田坂先生「誰もいませんか?では…」

   健司、泣きそうになってもじもじ。

磨子「ん、健司…あんたどーした?」
麻衣「健司?トイレ?」

   健司、黙って頷く。

麻衣「バカね、なら手をあげなさいよ!!」
健司「でも…」
麻衣「ったく、仕方ないわねぇ。先生っ!!湯田坂先生っ!!」
湯田坂先生「麻衣ちゃん、どうしたの?」
麻衣「岩波健司君が!!」
健司「んーっ、」

   半泣きで固まる。

健司「もれちゃうぅ…」
麻衣「んもぉ、早くこっち来なさいっ!!」

   健司の手を引いて急いでトイレに駆け込む。

麻衣「ってこんなので!!」
 
   湯田坂先生、やれやれため息をついて首を振る。磨子、末子、横井、クスクスと笑っている。麻衣が軈てすぐに出てくる。

麻衣「何とか間に合いました…。」
横井「実はお前が行きたかったんじゃねぇーの?もらしてねぇーか?」

   麻衣、横井を思いっきり猫パンチ。

麻衣「失礼ね!!私はもらしていません!!てか、行きたくもありません!!」
横井「ふーん。」

   スカートをめくろうとする。麻衣、手を思いっきり叩く。

麻衣「いやんっ、てっちゃんのエッチ!!」
 
   その内、健司もトイレから戻ってきる。


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