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石楠花物語小学校時代
肝試し大会にて

田川小学校・教室
   麻衣、健司、清聡、孝士

麻衣「へぇ、清聡君は児童会長で学級委員長なのね、格好いい!」
健司「何だよ、俺だって児童会長じゃんっ!!」

   剥れる。麻衣は健司を宥める。

麻衣「はいはい、ほーやってすぐ拗ねない、怒らない!!」
清聡「なら君は?」 
麻衣「私?私は普通に図書委員だに。」
孝士「へぇ、ら僕と一緒だ。整美が良かったんだけどさ、じゃんけん負けて図書んなっちゃった。」

   頭をかく。

麻衣「へぇ、で、二人は双子なんね。」
清聡、孝士「あぁ。」
清聡「僕は小松清聡。」
孝士「そして、弟の孝士。宜しくね。」
健司「ふーん、俺は健司だよ、岩波健司。一字違いだね。」
麻衣「んで、私は柳平麻衣。宜しくなしてぇ。」

   四人、微笑む。

清聡「それじゃあ、白妙カルタ、並べて始めようか。」
麻衣「えぇ、」

   腕をならす。

麻衣「百人一首は私誰にも負けん、見てなぁ、強いんだにぃ。」

   四人、並べながら

健司「ほーなんだよ、こいつには誰がやったって敵わねぇーぜ。後花会わせも。」
麻衣「ほりゃただ単にあんたが弱いだけだらに!!」
健司「うっせぇーよっ!!」

   みんな、わいわいとやっている。

花田先生「それではみんなぁ、準備はいいですか?読みますよ。」
全員「はーいっ!!」
花田先生「あまつかぜぇ…」


山の中
   ある一角、男子たちが挙って用を足している。千里、もじもじ

小平「大丈夫だから、ほらしなよ。なら、みんなでしよ。」
後藤「このまま帰るまでしないつもりか?もれるぞ。」
千里「う…うん…」

   躊躇いながらも木立の中に入って行く。後藤、小平も千里に続き、みんなでならんで用を足しだす。


   三人、終わって出てくる。

千里「あぁ、スッキリした。みんなありがとね…もれちゃうかと思った。」

   近くには丸山。もじもじ。

千里「ん、丸山君?」
丸山「あ…」

   もじもじしていた手を離す。

丸山「君達…」
後藤「何?お前もトイレ?」
丸山「う…うぅ…」

   渋る

小平「なら早く行けよ。」
丸山「えぇっ…本当にここでするのか?」
小平「仕方ないよ、ここしかないんだもん。千里だって凄く嫌がってたけど、仕方なくここでしてきた。」
丸山「やだ、僕は絶対にやだ!!」

   くねくねしている。

後藤「意地張って…お前何気取ってんだよ?もらすとどっちがいい?本当にそのままじゃもらすぞ?」
丸山「大丈夫…帰ってからいくから…。」 

   戻っていく。

千里「丸山君…」
後藤「あーあ、俺どーなったって知らね。」
小平「俺も。意地張ってたっていいこんないぜ。いつかは泣きを見るんだ。さ、千里、マコたちももういるだろうからさ、ご飯食べに行こうぜ。」
千里「うんっ。」

   三人、歩いていく。

小平「又おしっこしたくなっても俺たち笑ったりしないからさ、遠慮なく行けよな。」
千里「うん、ありがとう…」

   お腹がなる。

千里「はぁ、僕もうお腹ペコペコだよ…今日のお弁当は何かなぁ…」

   るんるんと笑う。


田川小学校・教室
   麻衣、端からバシバシととっている。他三人は何もとっていなくてただただ麻衣を呆然と見つめている。

健司「おい麻衣、少しは遠慮ってもんをしろよ。ほんなに一人でとるなよな。」
麻衣「ゲームに手加減なんてないに。よっしゃあ、どんどん取るにぃ!!」

   手加減なんてせずにとっている。

清聡「強すぎるよぉ、麻衣ちゃん…」
孝士「こりゃ、僕らに勝ち目ないや。明らかに敗けだね。」

   最後の一枚。

金子先生「それでは最後の一枚ですね…行きますよ。…あ」

   麻衣がバシリ。

麻衣「やりぃーっ!!とったぁーっ!!」
他三人「完敗じゃあーっ!!」
麻衣「どんなもんでぃっ。私は小さい頃からしごかれて、百句全部暗記した白妙カルタの女王って呼ばれたんじゃいっ!!えっへんっ!!」

   鼻を鳴らす。

健司(何か時時こいつにはムカつくんだよなぁ…。)
清聡「麻衣ちゃん…凄いね…僕0枚。」
孝士「強すぎるよ…僕も、0枚。」
健司「俺も勿論、0枚。」

   三人、麻衣を見て長いため息。麻衣は有頂天。


山の中
   千里たち、ご飯を食べ終わる。

千里「ねぇ、…小平君に…後藤君…」 
小平「分かった、いいよ。行こ。」
千里「うんっ、ありがとう…」

   小走りにトイレ場へと向かう。


同・トイレ場
   丸山、前景の三人。

千里「あれ、丸山君…」
丸山「来るなっ!!」
千里「え?」

   丸山、目を伏せる。後藤、小平、丸山に近付く。

後藤「お前…ついにもらしたか。」
小平「変な意地張ってるからだ!!」
丸山「う、う、…」

   言葉を飲み込む。

小平「バカだなぁ、どーするんだ?」
後藤「俺、栗原先生呼んでくるよ。」
小平「まさか、お前みたいないつも確り者で女の子にもモテモテのハンサムボーイがおしっこもらすとはなぁ。俺も驚いたよ。」

   千里、それを見て恐怖を覚える。

千里(やっぱり学校でもおしっこ我慢するともれちゃうんだ…嫌だ、絶対に嫌だ。僕、学校、みんなの前だけではおもらしなんてしたくないっ!!)

   慌てて押さえる。

千里(ヤバイ、僕ももれちゃうっ…)

   木立の中へ入る。

千里「小平君っ!!」
小平「千里悪いっ、俺、先生来るまでこいつについてるからさ、一人でしてくれよ。」
千里「ええーっ、」
 
   しばらくもじもじしているが、我慢ができなくなって慌てて用を足しだす。

同・下山道
   生徒達が列をなして山を下っていく。女子たち、ガヤガヤ。一番後ろから千里と丸山、金子先生、栗原努先生

丸山「…。」

   千里、丸山の肩を抱いている。

千里「大丈夫だよ、元気出して丸山君。」

   微笑む。

千里「あまり気にしちゃダメだよ。僕もよく豊平でおしっこ我慢できなくなっちゃったりして、みんなにそうやって慰めてもらったもん。」
丸山「千里君…ありがとう?」
千里「いや、僕こそありがとう…この間、お見舞いに来てくれたろ?」

   丸山、弱く微笑む。

千里「ところで丸山君は、何処の地区?」
丸山「僕は、あれ?前言わなかったっけ?渋崎だよ。」
千里「前聞いたっけ?ごめん、忘れちゃった。」

   二人、笑い会う。

千里「渋崎か…ならさ、良かったら今夜の肝試し、君も来てよ。」
丸山「え、僕もいいの?」
千里「僕、どうしても来いって言われてんだよ…」

   手を差し出す。

千里「だって僕ら、もう友達だもん。」
丸山「千里君…うんっ!!」

   手をとる。

丸山「なら、絶対に行くよ。千里君、今年は君がお化け役なんだろ?」
千里「うん…そうだよ。」
丸山「だったらみんなをうんと怖がらしてやりな。」

   にやりとする。

丸山「僕そいの実は大得意なんだ。僕と一緒にやろうよ。」
千里「ありがとう!!」

   二人、ゴミ拾いをしながら歩いている。


民宿
   金子先生、栗原先生、丸山、千里。

丸山「ここで、休憩か。」
真亜子「お疲れ。」
丸山「君は、」
真亜子「あぁ、この民宿私んち。」

   千里、丸山、顔を見合わす。

真亜子「ゆっくりしてきな。あれ?」

   丸山を見る。

真亜子「君、おもらししちゃったね。」
丸山「…。」
真亜子「家何処?」
丸山「渋崎…」
真亜子「迎えに来てもらった方がいいんじゃない?風邪引くよ。」
千里「まーさん!!」

   駆け足

千里「ちょっとトイレ借りていい?」
真亜子「どうぞ。」

   千里を案内。

栗原先生「丸山、」
丸山「はい、」
栗原先生「ゴミ拾いをしたご褒美だ。小口が戻ったらあの子にもやるが、特別だぞ…」

   自動販売機に連れていく。

栗原先生「何でもいいぞ。どれでも好きなジュース選べ。」
丸山「わぁ!!でも…」

   栗原先生、金子先生を見る。

金子先生「いいのよ、遠慮しないで。」

   そこへ千里も戻ってくる。

金子先生「小口くん、君もどうぞ。」
千里「え?」


   しばらくして、真亜子と別れ、二人はにこにことしてジュースを飲みながら歩いていく。


田川小学校・教室

花田先生「それでは、いよいよ最後となりました。みんな、あのゲームをやりますか?」

   田川小の生徒、大盛り上がり。

健司「あのゲームって、何だ?」
麻衣「さぁ…」


   ゲームが始まる。わくわくどきどき告白ゲーム

   麻衣と清聡。

清聡「僕は、麻衣ちゃんの事が好きだ!!」
麻衣「私は清聡君の事が好きだ!!」

   全員、盛り上がっている。

   軈て清聡が負ける。

花田先生「それでは、最後は清聡君の負けでーす。負けた清聡君には?罰ゲーム!!」
清聡「ぇーっ?」

   クラス中が盛り上がって囃し立てる。

全員「キスしちゃえ!!キスしちゃえ!!キスしちゃえ!!」

   麻衣も微笑んで顔を赤くするが清聡に近付く。

清聡「…。」

   キョロキョロと動揺しながら麻衣にキッスする。クラス中は大盛り上がり。


バスの中
   見送りの中、麻衣たちはバスに乗り込む。

清聡「ありがとう、今日はとっても楽しい一日でした。」
孝士「又一緒に遊ぼうね。」
花田先生「それではみんなでさようならとお礼を言いましょう。」
全員「ありがとうございました、さようなら。」

   バスは動き出す。

麻衣「ほいじゃあねぇ、又必ずどっかで会おうなぁ!!」
健司「じゃあな、」
清聡「今度こそ絶対百人一首負けないからね。」
孝士「告白ゲームも又やろうなぁ!!」

   バスは動いていき、全員、お互いが見えなくなるまで手を降り続けている。


高島城
   上川城南地区がみんな集まっている。そこへ丸山。

丸山「千里君っ!!」
千里「丸山君っ!!来てくれたんだ!!」
丸山「うんっ、でも、」

   恥ずかしそうに

丸山「僕らはもう友達なんたるだろ。僕の下の名前は修って言うの。だから、修って呼んで。」
千里「うん、分かった。じゃあ、修君。」

   二人、微笑む。

千里「じゃあ…お化けスタンバイだって…行かなくちゃ…」
丸山「あぁ…。」

   二人、定位置に行く。

千里「じゃあさっき、打合せした通りでいいんだよね?」
丸山「あぁ、それで完璧!!」

   二人、準備を始める。


   軈て、肝試しが始まる。

丸山「さぁ、第一便がもうすぐ来るぞ。」
千里「うんっ。」
 
   千里は不随汚れた着物を着て、顔も汚くしてある。丸山は、影で機械を弄っている。

   人が来ると千里、迫真の演技。丸山も迫真の演出で、子供たちは怖がって一目散に逃げていく。


   しばらく。

千里「ねぇ、修君…」
丸山「ん、何?」
千里「僕、おしっこ…」
丸山「えぇ、もう少し我慢しなよ。」
千里「うん…」

   二十分後

千里「ねぇ、修君…もう我慢できないよ…」
丸山「全く…トイレ行くお化けがいるか?しょーがない。いいよ。お化け、ちょっと休憩。トイレ行ってきな。」
千里「ありがとう。」

   トイレへと走っていく。子供たちは千里に行き合う度に悲鳴をあげたり泣き出す。千里、申し訳なさそうに頭を下げる。


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あきゅろす。
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