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石楠花物語小学校時代
おしっこ騒動

小平「車イスとかないよなぁ…」
千里「うん…前までお爺ちゃんのがあったけど捨てちゃった…」

   千里、ゆっくりと立ち上がる。

千里「痛いっ、」

   がくりとバランスを崩して転ぶ。

千里「あーんっ!!」

   声を出して泣き出す。床は段々に濡れてしまう。

千里「ママぁっ!!」
丸山「千里君…」

   足元を見る

丸山「あぁ…」
   
   同情の表情

丸山「もらしちゃった…」
後藤「えぇ?」
小平「どうしよ…叔母さんーっ!!」

   珠子が飛んでくる。

珠子「みんなどうしたの?あら?」

   キョロキョロ

珠子「せんちゃんは?」

   三人、千里を指差す。珠子、床に座る千里を見る。 

珠子「まぁまぁ何です、せんちゃんこんなところに座ってぇ…」
千里「ママ…」

   泣きながら

千里「おしっこもれちゃった…」
珠子「えぇっ?」
 
   千里のおしりの下を見る。

珠子「まぁ!!」

   
   (しばらくご)
 千里、珠子に服を脱がされて着替えている。

丸山「千里君のすっぽんぽんって…何か、可愛いね。」

   三人、含み笑いをする。

後藤「本当だ…脱ぐと余計に小さいな。」
小平「骨盤とか肋出てて、女の子みたい。」

   千里、真っ赤になる。

千里「うるさいっ!!」
珠子「せんちゃん、じっとしてて。もぉ、全く…どうしてもらしちゃうまで我慢するの?あなたは特に今は足痛くて素早くは動けないんだから…」

   泣く千里を慰めながら
 
珠子「いつも言っているでしょう?おトイレは今度は行きたくなる前に行こうね。我慢しちゃダメよ。」
後藤「そうだよ千里、俺達友達なんだもん、それくらい遠慮しないで言えよ。」
小平「そうだよ。お前みたいなシャイなのは、女の子に言うのは恥ずかしいかもしれないけど、男同士なら、いいだろ、」
丸山「いつでも、困ったことがあっても力貸すよ。」

   微笑む。

丸山「それに、トイレ行きたいって言ったって誰も笑う人なんかいないよ。だってみんながあることなんだもん。何が恥ずかしいことあるか!!」
千里「みんな…」 

   涙を拭って微笑む。

千里「ありがとう…」

   珠子、床の後片付けをしている。

珠子「えらいけんまく派手にやってくれたわねぇ。でもせんちゃん、良かったわねぇ?」

   片付けをしながら

珠子「いいお友達を持って…」
千里「うんっ!!」

   四人、微笑み会う。


後藤「んで、千里?来週の終わりは遠足があるだろ?」
千里「え?」
小平「そして肝試し…」
千里「ひぃーっ!!」

   半泣き

千里「それはもう絶対に嫌だよぉ!!あんな怖い思いはもう二度としたかないよ。」
丸山「いけないよ、」

   真顔で

丸山「だって、今年は僕ら6年生だろ?お化け当番で全員参加なんだからさぁ。」
千里「そんなぁ…」
小平「そいこと。それが遠足が終わった日の夜なんだよ」
後藤「んで、更に次の週が明けて第一発目は音楽会だろ?」
小平「今年はお前がメイン伴奏者だし、張り切るよな。」
後藤「その時までにちゃんと直して万全になれよ。」
千里「遠足と肝試しはどーでもいいけど。」
丸山、後藤、小平「ダーメーっ!!どうでもよくないっ!!」
千里「あーんっ!!うぇーんっ!!」

   泣き出す。三人、笑いながら宥める。

後藤「おいおい、こいつ本気で又泣いちまったよ。」
小平「バカだなぁ、何も泣くことないだろ?」
千里「だって、だってぇ…ふぇーんっ、ふぇっ、ふぇっ!!」
丸山「よしよし、千里君、大丈夫だよ、大丈夫だから、ね、ね。」


原小学校・教室

麻衣「え、交流会?ほんなのあったっけ?」
茶目子「あったっけって…まさかまいぴう、忘れてた?」
野々子「ついこの間帰りの会の時に真道先生言ってたじゃん。」
麻衣「え、ほだっけ?」
茶目子、野々子「んもぉーっ、いやだぁ、まいぴうったらぁ!!」

   こずく。そこへ健司

健司「ん、どーしたのみんな?」
野々子「あ、岩波くんだ。」
茶目子「君はもちろん覚えてんでしょ?」
健司「何が?」
野々子「交流会の事よ。」
健司「あぁ、勿論。松本の奴だろ?」
麻衣「松本の?」
健司「麻衣…お前まさか、知らねぇとか言うんじゃねぇーだろうな?」
麻衣「知らない…」
健司「お前なぁ…」

   呆れてため息

健司「ちゃんと先生の話、聞いてたか?」
麻衣「何よ?あんたに言われたかないわね!!」

   立ち上がる。健司、麻衣を落ち着かせる。

健司「はいはいはいはい、まぁ落ち着けよ。あのなぁ、来週の始めに交流会で松本の田川小へ行くんだよ。」
麻衣「松本なんて、」

   不貞腐れる

麻衣「私達は諏訪なんに、どいでほんな所までいかんきゃいけんのよ?」
健司「知らねぇーよ。ほんなこん俺に聞くなよ?で、学校で遊んだり、近くの公園へいったりして交流会をするんだってさ。俺達は2組だで、田川小の6年2組と交流するらしいぜ。色々ゲームとかもやったり、ご飯食べたり…」
麻衣「へぇー、勉強はしんのね。」
野々子「しないらしぃよ。」
麻衣「ふんとぉーに?」
茶目子「ふんとぉーに。」
麻衣「やったぁーっ!!」

   有頂天にころっと変わり、飛び回ってバレエのステップを踏み出す。

麻衣「やったぁーっ!!やったぁーっ!!授業がないだけで私はハッピーなんじゃーいっ!!ほいなら私、行くぅーっ!!」

   健司、呆れて目を細め、やれやれとお手上げのポーズをして肩を竦める。

健司「やれやれ…あいつは全く…単純といいますか…いい気なやつ…。」

   野々子、茶目子もポカーンとしながら躍り狂う麻衣の様子を眺めてみている。
 
上川城南小学校・校庭
   六年生全員が集まっている。

千里「はぁ…」
小平「良かったな千里、今日までに怪我治って…」
千里「何が良かっただよ…せめて来週まで痛みに魘されて寝てた方がまだ良かった。」
後藤「何言ってるんだよ、遠足だってやりゃ本当に楽しいもんだぜ?」
千里「何が楽しいもんか…」

   嘆きながら鼻を鳴らす

千里「もう6年も経験していることなんだもん、やらなくなって分かるよ。特に最悪だったのはまだ京都にいたとき…小学校三年生の時の遠足…てか、社会学習だよ。」

金子先生「それではいいですか?皆さん、出発しますよ。」
全員「はいっ、行ってきます。」

   ぞろぞろと歩き出す。千里、相変わらず乗り気でない。


バスの中
   原小学校6年2組が乗っている。

麻衣「いよいよかぁ、どんな子達がいるだら?楽しみ!!お友達んなれるかやぁ?」
健司「おい麻衣、あんま調子乗りすぎるなよ、酔うぞ。」
麻衣「はーいっ。」

   窓の外を見る

麻衣(松本か…はーるかぶりだな。あまり覚えてないや。何処だら、田川小って…。)

   バスは走っていく。


田川小学校・教室
   原小学校6年2組と田川小学校6年2組が顔を会わせている。花田万里子先生、真道先生。

花田先生「はい、それでは諏訪から今日は原小学校の6年2組のみんなが来てくれました。みんな仲良く、今日は一日宜しくお願いします。」
生徒全員「宜しくお願いします。」

   麻衣、健司、小松清聡が目を会わせて軽く微笑んで会釈。

花田先生「それではね、早速学級長の小松くん、親交の挨拶を、」
清聡「はい、」

   中に、小松孝士もいる。


山の中
   千里、一番最後から金子先生と共に歩いている。千里、へとへとになり、バテ始めている。

千里「先生、足痛いよ…疲れた…」
金子先生「小口くん頑張れ、あともう少しよ、足をね…」

   歩き方を見せている。
 
金子先生「山登りの時はこうするととても歩きやすいのよ。やってみて。」
千里「はいっ。」

   歩く。


   軈て頂上につく。

千里「はぁ…っ、」
金子先生「小口くんよく頑張ったわね。さ、みんなのところにいって。先生からの説明があります。」
千里「はい、」 


   班に入る。  

小平「あ、千里お疲れ。」 
後藤「よくここまで来れたな。さ、これで先生の話が終わったらいよいよ昼だぞ。」
千里「やったぁ…もう僕お腹ペコペコだよ。」

   キョロキョロ 

千里「ここ、トイレは何処かな?僕なんとなくトイレにも行きたいんだよな…」

金子先生「はい、それでは行動の説明を致します。お昼は今から一時間半です。2時まで自由時間なのでこの中にいれば何処で遊んでいても構いません。」

   小平、手をあげる。

金子先生「はい、小平君何ですか?」
小平「先生、トイレはどこ?」
金子先生「はい、の話を今しようとしておりました。トイレについてですが、」

   千里、真剣に聞いている。

金子先生「ここにはトイレがありません。」

   千里、さぁーっと青ざめる。

金子先生「ですから、もしトイレに行きたい人は…ここからこっちが男子、ここからこっちが女子とします。ちょっとした木立がありますので、そこで用を足してください。」

   女子たちざわざわ。

金子先生「男子は絶対に女子の方には行かないこと。」

   笑いが起きる。

金子先生「女子は、誰かお友達と一緒に行って、お友達に壁を作ってもらって下さいね。それでは、解散。」

   其々に動き出す。千里、もじもじして泣きそう。

千里「小平君…」
小平「千里、一緒におしっこしにいこう。」
千里「僕、外でするなんて嫌だよぉ…」
小平「そんなこと言ったって仕方ないだろ、なぁ?」
後藤「あぁ、ここ便所って言う建物ないっつーだだもん。」
小平「いいじゃん、お前一人じゃない。俺たちみんな外しょんだもん。」

   千里を見る

小平「ほら、もらすぞ。」
千里「だってぇ…」

   小平、後藤に連れていかれる。



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