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石楠花物語小学校時代
二家族の別れ
豊平小学校・1年2組
   麻衣と千里、他、6年2組の生徒がいる。加代先生。

矢崎先生「みんなぁ、6年生のお兄さんお姉さんが、みんなに修学旅行のお土産を持ってきてくれましたよぉ!!」
一年生「ありがとうございます。」

   6年生達、クラスにお菓子を配ったり、一人一人にお土産を渡したりしている。沖田直介、沖田麗奈、日陰陽一のところへ、麻衣と千里がいく。

麻衣「はい、君お名前は?」
沖田「僕、沖田直介…」
麗奈「私、沖田麗奈…」

   沖田を見る。

麗奈「お兄ちゃん…」
千里「え、お兄ちゃん?」
麻衣「ってことは、君たちは双子?」
沖田、麗奈「うんっ!!」
麻衣「へぇー、可愛い。実はお姉ちゃんも三つ子でね、同じ歳に兄弟がいるんよ。」

   お菓子とお土産の品を渡す。

麻衣「はいっ、お土産。食べてね。」
沖田、麗奈「ありがとうございます!」

   陽一の元にいく。

千里「はいっ、僕からは君に。」  
陽一「お姉ちゃん、ありがとう…」
千里(お姉ちゃん言うた…一年生にまでお姉ちゃん言われた…)

   悄気る。麻衣、笑いながら千里を宥める。


   6年生、教室に戻っていく。

麻衣「ほいじゃあな、又、教室にも遊びに来てね。」
一年生「はい。」


同・6年2組
   休み時間。麻衣と千里がオルガンを弾いている。そこへ陽一、直介、麗奈

麗奈「お姉ちゃん!!」
麻衣「あ!」
麗奈「ピアノのお姉ちゃん!遊ぼ!」
千里「あ!」

   3人、麻衣たちのところへかけてくる。

麗奈「何弾いてたの?」
陽一「ねぇ弾いて、ピアノもっと弾いて。」

   麻衣、千里、紅くなって顔を見合わせる。

麻衣「こいのは…せんちゃん、君の方が上手いで君が…」
千里「いやいや、何いってんだよ。君の方がうまいから君が!!」
直介「ねぇってばぁ!!」
千里「はいはい、分かった!分かった!」

   恥ずかしそうに麻衣を見ながら弾き出す。千里、弾きながら麻衣に目配せ。 

麻衣「えぇっ?」

   麻衣も恥じらいながらバレエのステップを踏み出す。3人、ぽかーんとして聞き入る。

 
   (チャイム)
  
陽一「あ、三時間目が始まるんだ!行かなくちゃ。」
麗奈、直介「うんっ!!」

   3人、走っていく。

麗奈「じゃあピアノのお姉ちゃん達、じゃあね!!又遊びに来るからね。」

   手を振って帰る。麻衣、千里も手を振っているが千里、がくり。

千里「又…言いそびれた…。」
麻衣「千里君、ドンマイっ!!その内あんたは男の子だって分かってくれるに。」
千里「僕ってそんなに男の子に見えないかなぁ?」


   それから毎日、休み時間には3人と遊んでいる。

   放課後や朝は、吹奏楽の練習。


小口家・庭先
   千里がしょんぼりとして恥ずかしそうに布団を干している。そこへ麻衣が登校。

麻衣「あ、せんちゃん…おはよ…う…」
千里「おはよ…」 

   麻衣に気が付くと、ギクリ。麻衣もドキリ。

麻衣「ご、ごめんっ!!何も見とらん!何も見とらんで…」
千里「待ってて、僕も今行く…」

   ばつが悪そうに家の中に入っていく。

頼子の声「お兄ちゃんのお布団、どうして濡れてるの?」

   千里、頼子を睨む。

珠子「あぁ、あのね、湯タンポの水が溢れちゃったのよ。」
頼子「ふーん…」

   千里、恥ずかしそうにそそくさと家を出る。


千里「麻衣ちゃん、おはよう。」
麻衣「せんちゃん、おはよう。どうした?おねしょ?」
千里「う…ん、」

   真っ赤になって下を向く。

千里「今までここしばらくなかったのに…」
麻衣「気にせん気にせん、きっと修学旅行で疲れたんよ。疲れがとれれば治るに。」
千里「麻衣ちゃん、ありがとう。君はいつでも優しいんだね。」
麻衣「いやぁ…」

   照れる。

千里「でも…」
麻衣「分かっとる、当たり前だらに。誰にもいわんに。」
千里「ありがとう…君ってさ…」

   照れて。

千里「とっても優しいんだね。」
麻衣「ほんなこんないに。当たり前。」
千里「ふふっ…」

   二人、歩いていく。

千里「さぁーっ、今日は音楽のテストか…頑張るぞぉーっ!!」
麻衣「えぇっ!!」


豊平小学校・体育館
   全校集会が行われている。

校長先生「はい、では最後にひとつ、皆さんに残念なお知らせがあります。」

   ガヤガヤ

校長先生「静かにっ!!今週一杯で、河原輝先生が先生をやめることになりました。」

   更にざわざわ。千里はショックを受けた様な顔になる。

校長先生「河原先生は、これから新しい夢へと向かって旅立ちます。皆さん、残り1週間ですが、笑顔で河原先生をお見送りしましょう。」


同・教室
   千里、落ち込んでいる。泣きそうに目を細める。

掛川十「おい、千里君、一体どうしたんだ?朝から元気ないぞ。」
千里「うん…」
掛川「河原先生の事か?」
千里「うん…」
掛川「そりゃ、みんな寂しいけどさ…河原先生を安心して見送るには僕たちが元気でいなくちゃ…それに後、1週間もあるんだからさ。今日が別れの訳じゃないだろ?」
千里「うん…」
掛川「お別れ会の時に思いっきり泣けばいいよ。」
千里「うん…かけちゃん…ありがとう…」

   そっと掛川に寄り添う。

掛川「何だよ、やめなよ…」

   ふふっと笑う。

掛川「よしよし…」


小口家・千里の部屋
   一週間後。目覚まし時計がなる。

千里「んーっ…」

   止める

千里「うっるさいなぁ…」

   二度寝

   2時間後。8:45。珠子が険しくやって来る。

珠子「千里っ!!千里、起きなさいっ!!今何時だと思ってるの?」
千里「んもぉー、うっさいなぁ…まだ寝かせてくれよ?」
珠子「バカなことを言うんじゃありませんっ!!時計をご覧なさいっ、学校に遅刻です!」
千里「んー、学校に…?」

   寝ぼけて時計を見るが飛び起きる。

千里「う、うわぁーーーっ!!もうこんな時間っ!!」

   急いでパジャマを脱ぐ。

千里「何でママ、起こしてくれなかったのさぁ?」
珠子「起こしましたよ!何度も起こしたじゃないの?」
千里「あーっ!!!」

   頭をかきむしる。
 
千里「もう遅刻だぁ!到底間に合わないっ!!」
珠子「千里、宿題は済ましたのでしょうねぇ?」 

   千里、青ざめて固まる。

千里「っ…」

   頭を抱えて崩れ去る。

千里「もぉ…おしまいだぁ…」
珠子「今日は河原先生のお別れの日でしょ?最後の最後まで先生に心配かけてどうするの?」
千里「はいっ、…」

   洋服を着てランドセルを背負う。

千里「いってきまぁーすっ!!」

   飛び出ていく。

珠子「教室へ入る前には必ずおトイレ済ませるのよ。分かった?」
千里「はーいっ!!」
珠子「全く…」

   千里の布団をめくってため息。

珠子「やれやれ、せっかくあれでおねしょ治ったと思ったのに…」

   やれやれと布団とパジャマを片付ける。


豊平小学校・教室
   千里、ダッシュで駆け込む。シーンとしており、一斉にみんな千里を見る。

千里「すみませんっ、遅刻しましたぁ!!」

   河原先生の顔を見る。

千里「廊下に立ってまぁーすっ!!」

   急いで廊下に出ていこうとする。

河原先生「千里君、今日は廊下に出なくてよろしい。席に付きなさい。」
千里「はい…」

   しょんぼりとして席につく。

河原先生「はいっ、みんな来たわね。知っての通り、先生は今日で学校の先生をやめることとなりました。みんなともお別れです。」
知晃「先生、本当にやめちゃうの?」
田苗「行かないでよ、先生がいなくなったら寂しいよ。」
河原先生「ありがとう…先生もみんなとお別れするのはとっても辛いわ。でも、先生はいつまでもみんなのことを忘れません。いつか、又何処かで大きくなったみんなに会えることを心から楽しみにしています。それでは、」

   時計を見る。

河原先生「まだ、一時間目ですけど、先生からみんなへの最後の授業を始めたいと思います。」

   クラスの殆どが号泣。

河原先生「みんなまだ泣くのはお止めなさい。それでは、」

   算数の授業が始まる。

   (チャイム)

   一時間目休み。そこへ、熊井仁子先生が入ってくる。

熊井先生「ちょっとみんな、」

   全員、注目。千里、熊井先生を見て目を見開く。

熊井先生「私が、明日から君達を受け持つ熊井仁子です。今日は、河原先生と一緒に六時間目まで私が授業をしていきます。」

   生徒を見回す。

熊井先生「皆さんのことは大体、河原先生から聞いております。それではここで、5分の休憩を入れて授業を始めます。終わり。」

   河原先生に頭を下げる。クラス、拍手。

河原先生「と言うことですので、みなさん、これからはね、この熊井先生と…」

   千里、そっと教室を出ていく。

千里「先生、おトイレ行ってきます…」


同・男子トイレ
   用を足しながら唇を噛んでいるが、堪えきれずに涙が溢れる。


同・教室
   軈て、二時間目が始まる。全員、真面目にきちんと聞いている。


   休み時間。千里、熊井先生の元へ行こうとする。

熊井先生「?」

   微笑む。

熊井先生「小口君、」
千里「先生…」
熊井先生「久しぶりね…元気だった?大きくなったわね。」
千里「先生っ!先生っ!」

   抱き付く。

千里「先生、どうしてここに?」

 熊井先生「まぁまぁよしよし、君は昔から泣き虫さんね。」
知晃「何?先生、千里君と知り合いなの?」
熊井先生「えぇ、よく知ってるわ。千里君は、昔の教え子なのよ。」
田苗「え?」
熊井先生「先生ね、京都で初めは先生やってたのよ。でも、結婚して長野に来たからこっちで先生を始めたの。まさかここで君と会えるなんて思わなかったわ。あら?城南小学校へ行ったんではなかったかしら?」
千里「はい、でもママの仕事の都合で去年こっちに来たんです。折角先生とも又こうやって会えたのに…」

   寂しそう

千里「僕、夏休み前にはこの学校から又転校するんだ。城南小学校へ戻るの。」
熊井「まぁ…そう…」
千里「うん、ママの派遣期間が切れるから…。」

   麻衣も軽く微笑んで見つめている。


   (給食時)
   河原先生のお別れ会を兼ねて。千里、しょんぼりとして食べている。

河原先生「千里君、どうした?いつもの君らしくないぞ。お代わりしないの?」
千里「先生っ、」

   目を潤ませて河原先生を見る。

千里「本当に?本当に学校の先生やめちゃうの?」
河原先生「千里君…」

   優しく頭を撫でる。

河原先生「でも、いつか必ず…又何処かで会えるわ。だから、熊井先生の言うこと聞いて、ちゃんといい子にするのよ。強い子におなりなさい。」
千里「先生っ!!」

   泣き付く。

千里「嫌だよ、行かないで…」
熊井先生「こらこら千里君、あまり河原先生を困らせないの。」
河原先生「ほら、そんな風に君が泣いてたら先生まで悲しくなっちゃうでしょ。だからね、笑顔っ!!ほら、笑顔!!」
 
   笑う。千里も弱々しく微笑む。

河原先生「よしっ。今日は君の大好きなカレースープだぞ。しっかりいっぱい食べなくちゃね。」
千里「はい、」

   食べ出す。


   給食の後、みんなで泣きながら歌を歌っている。終わると河原先生、教室からみんなに送り出される。

千里「河原先生っ!!さようならっ!!元気でね…いつか必ず、必ず又何処かで会おうね。」

   河原先生、涙ながらに微笑んで出ていく。千里、肘で涙を隠しながら静かに泣き出す。麻衣も泣きながら千里を慰める。


豊平オルゴール作っちゃいます有限会社・事務部

珠子「もうすぐ期間も終わりですわね。」
紅葉「えぇ、そうですね。でも、大丈夫なのですか?お子さんたちまだ小さいのでしょ?」
珠子「えぇ、下が今年生まれたばかりなんです。今は、私の妹が京都から来て、面倒を見てくれていますわ。」
紅葉「まぁ、大変ですね。小口さんは?終了後はどうなさるの?」
珠子「私は、もう仕事はやめて城南に戻りますわ。柳平さんは?」
紅葉「私は、今度原村の方で仕事があるので、子供たちを連れて原村へ行かなくてはならないの。」
珠子「原村ですか…では、又お互いに転校ですね。」
紅葉「えぇ…折角麻衣も、お宅の千里君とお友達になれたのに…」
珠子「千里も寂しがるわ。」

   仕事をしながら話をしている。


帰り道
   麻衣と千里

麻衣「あんた、さっき又城南へ行っちゃうっつっとったよなぁ?」
千里「うん…ママの派遣が終わったら又転校だ…。」

   俯く。

千里「折角お友達になれたのに…君ともお別れだ…寂しいよ。」
麻衣「私もよ…でもいいじゃない…二人一緒の転校だもの…」
千里「え、君も?君は…何処へ?」
麻衣「原村へ…。今度母さん、原村で朝早くて夜遅い仕事があるんよ。ほいだもんで…」
千里「そうか…」

   二人も寂しそうに歩いている。


尖り石縄文公園
   麻衣と千里。

麻衣「遂に明日か…思えばこの場所で…色々あったな。」
千里「うん…」
麻衣「なぁ、千里君…私達、同じ諏訪なんだもん。絶対にきっと、又会えるよな。」
千里「うんっ、必ず…」

   指を出す。

千里「絶対に又遊ぼうね…約束だよ。」
麻衣「えぇ、勿論…」

   二人、笑う。


豊平小学校・図書室
   麻衣と千里、図書委員会の仕事をしている。

麻衣「何か寂しくなるな…これが最後の図書当番か…」
千里「あぁ…」

   千里、閉館の札を会館にする。子供たちがいっぱい入ってくる。

千里「あ、おはよう。」
直介「おはよう。」
麗奈「おはよう。」
陽一「おはよう。」
直介「ねぇー、ピアノのお姉ちゃん、転校しちゃうって本当?」
麻衣「よく知ってるな、誰に聞いた?」
陽一「ちき姉ちゃん。」
麻衣「ちきちゃんかっ、あのお喋りちきちゃんめがっ!!」
麗奈「もうピアノ聞けんの?ねぇ、麗奈たち寂しいよ。行っちゃわなんで、ねぇ、お姉ちゃんっ!!」

   麻衣と千里、仕事をしながら目が潤む。

千里「僕もみんなと別れたくないよ…でもね、どうしても行かなくちゃいけないんだ。」
麻衣「うん、でも必ず又、何処かで会えるに。ほしたら又、遊ぼうな。」
直介「うんっ!!」
陽一「やったぁ、約束だよ!!」
麗奈「麗奈たちの事、忘れないでね。」

   千里、カウンターから出てきて思いっきり3人を抱き締める。

千里「バカいえっ!!誰が忘れるもんかっ!!」
麻衣「お昼休みは読み聞かせと、ペープサートやるからね。良かったら見に来て。」

   (チャイムがなる)

麗奈「うんっ、絶対に見に来るね。」
直介「僕も、」
陽一「僕、」

   3人、かけていく。千里、手で涙を拭う。


同・教室
   麻衣と千里、黒板の前にたっている。

熊井先生「と言うことで、柳平麻衣さんと小口千里君は、本日をもってみんなとお別れすることになりました。」

   ざわざわ。

熊井先生「二人ともここへは親御さんのお仕事の都合で来ていたので…」

   二人の説明をしている。

熊井先生「千里君は、諏訪市の城南小学校へ、麻衣さんは、原村の原小学校の方へ転校していきます。それでは、二人のお別れ会を始めたいと思います。」


   お菓子を食べたり、ゲームをしたり、歌ったりしている。

同・体育館
   図書委員会、ペープサートで三びきの子豚をやっている。直介、麗奈、陽一も真剣になって見ている。


同・校門
   麻衣と紅葉、そして紡、糸織とその担任、千里と珠子、熊井先生

熊井先生「それでは、二人とも、新しい学校でも頑張ってね。」
珠子「熊井先生、本当にありがとうございました。まさか先生にこちらで再び教えて頂くことが出来るなんて…」
熊井先生「私も驚きました。でも、元気で大きくなった千里君に会えてとても嬉しいです。」
紅葉「小口さんと千里君は熊井先生とお知り合いなのですか?」
熊井先生「えぇ、千里君は京都の学校にいたときの教え子なんです。」
紅葉「まぁ!!」
熊井先生「私も元々は京都出身なので、でも千里君が2年生になる年にこっちへ嫁いだもので…今は、長野県内で教師をしているんです。」
紅葉「そうだったのですか、」
熊井先生「えぇ、千里君…覚えているかしら?あなた、お別れ会の時に行かないでって私に大泣きしたのよ。」

   千里、恥ずかしそうに下を向く。

熊井先生「泣き虫で涙脆いところはあの時と少しも変わってないようね。」
千里「やめてよ…先生…」
熊井先生「あら、誉めているのよ。とても、涙を流せる子って言うのは良いことよ。」

   千里の頭を撫でる。

熊井先生「ではこれで、又お別れになっちゃうけど…強くなるの、向こうへいっても頑張ってね。応援しているわ。」
千里「はい…」

   泣き出す。

千里「先生…ありがとうございました…河原先生にも、ちゃんとお別れを言いたかったのに…」
熊井先生「そうね、ずっと一緒にいたものね。いいわ…先生から河原先生には千里君と麻衣さんの気持ち、伝えておくわね。じゃあね…」
紅葉「ありがとうございました、お世話になりました…。」

   柳平家、小口家、其々に別れを告げて帰っていく。麻衣と千里、泣いている。

紡「んもぉっ、麻衣は相も変わらずに泣き虫だな…」
糸織「元気出せよ、又新しい出会いがあるんだでさ。」
紡「ほーほー、今度は健司君とも一緒になれるわけだし…。」
麻衣「ほっか…今度は健司もおるんよね…」

   紡、糸織もしんみりとした表情で麻衣の肩を抱いて慰める。

珠子「せんちゃん、全く…あなたは男の子でしょ?いつまで泣いてるの?さ、もう泣いちゃダメ。涙を拭きなさい。」
千里「だって、だって、…」
珠子「前の、お友達もいっぱいいる学校に戻れるのよ。藤森先生にも又会えるのよ。とっても嬉しい事じゃない。せんちゃん、」

   手を繋いで歩きながら

珠子「いい?人生生きていくにはね?出会いがあれば必ず別れもあるのよ。それを乗り越えて大人になっていくの、いい?」
千里「うん…」

   涙を拭う。

千里「僕、もう泣かないよ…諏訪に行って、みんなにあったら又泣いちゃうかも知れないけど…それまでは、決して泣きません。我慢します。」

   二家族は歩き、それぞれの家の方向の道で涙ながらに別れる。


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