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石楠花物語小学校時代
テスト

同・教室
   千里、熊井先生に着替えさせられている。

熊井先生「はい、出来ました。お洋服汚しちゃわなくて良かったわね。」 
千里「ありがとうございました…ごめんなさい…」
熊井先生「謝らなくてもいいのよ。今度は授業中でもおトイレ行っていいからね。」

   千里、者繰り上げている。


千里【とまぁ、こんな感じであっという間の一年が過ぎていき…】


   1997年2月


宮川商店街
   麻衣、健司、磨子、横井、末子

横井「俺、テスト最悪だ…また母ちゃんに怒られるよ。」

   悪戯っぽく

横井「俺ここ一年ずっと、母ちゃんにテストで誉められたことねぇーんだ。」
末子「それ自慢するこんじゃないらに!!」
磨子「ほーよほーよ。」
健司「俺も…」

   しょんぼり

健司「いつもテストでお母さんに怒られてばっかりなんだ…また今日もきっと帰ったらお説教だ…」
麻衣「ほりゃ、私もだに。」
健司「お前も?麻衣、何点だったんだ?」
麻衣「私?」

   ため息をついて答案を見せる。他四人、目を丸くする。99点。

健司「お前…これで怒られるって…」
横井「一体どんだけなんだよ?」
末子「すげっ…」
磨子「何かいつも麻衣ちゃんの家は格式あるってか…厳しくて凄いよね。」
麻衣「えぇ、何か昔からの仕来たりとか人間として生きていく上のこんでは昔からとても厳しいんよ。私の生まれるずっと前…まだ母さんが子供の頃からお婆様、お爺様がほーみたい。」
他四人「ほー…?」


小口家・和室

珠子の声「これっ千里っ!!」
千里の声「ひぃーっ!!!」
珠子の声「ちょっとここへお座りなさいっ。お話があります。」


   千里、ビクビクとしてしゅんとなりながら座布団に座る。珠子、相向かいに座って物凄い怖いかおで千里を睨み付ける。

珠子「千里っ…あなたって子は…小学校に入って以来、」

   テストを突きつける

珠子「この点数はなんですかっ!!お勉強ちゃんとするってママとパパとも約束したわよね。」
千里「はい…」
珠子「それなのに…ちゃんと名前も書いてあって…いつも0点ってどう言うことっ!?」
千里「それはぁ…」
珠子「一応答案は全部埋めてあるようですけど?それが全て間違っていて、ばつになるって言うことはどう言うことか分かりますね?あ、な、た、が、ちゃんとお勉強をやらないからよ!!」

   ガミガミとしたお説教が永遠と続いている。

   おつくべの千里は、だんだんと足が痺れてきている。足の指をもじもじ。

珠子「せんちゃんっ?ちゃんとママのお話を聞いているんですか?」
千里「はい…」
 
   苦しそうな顔。

千里「ママ?」
珠子「何です?言いたいことがあるのならはっきりと言ってみなさいっ!!」
千里「足が痛いよ…痺れきれた…」
珠子「もう少し我慢なさいっ!!あなたには、忍耐力と言うものが少し足りないわね。1000年前から今までもそうだけど?少しママあなたを甘やかして育てすぎたみたいなのかしら?」

   小言を続ける

千里「ママ?」
珠子「今度は何です?」
千里「僕、おしっこしたい…」
珠子「だからもう少し我慢なさいって言っているでしょう?ママの言っている事が分からないの?」

   千里、泣きそうな顔でおどおどキョロキョロとしている。

   珠子、お説教を続けている。


珠子「と言うわけです、いい?せんちゃん分かったわね。来年からはもっと頑張りなさい。それに聞いたわよ?水泳の時間にも去年の夏、おもらししちゃったの?来年からは、恥ずかしくてもおしっこしたかったら先生に言うの。その前に休み時間に、したくなくてもちゃんと済ませておくこと。いいわね?以上…終わりです。」

   千里、座ったまま

珠子「ん、せんちゃん?もうお話は終わりよ。さぁ、立って、おやつにしましょう。」
千里「ママぁ…」

   班べそ

千里「おしっこ…」
珠子「もういいわよ、早く行きなさい。」
千里「…もれちゃった…」
珠子「ええっ?」

   千里を立たす。

珠子「んもぉ、あなたって子はぁ!!何て世話のやける子なの?」

   片付け出す。

珠子「お風呂沸かすから早く入りなさい。濡れたパンツとズボンは洗濯機の中に入れるのよ。お風呂から出たらお腹の下にお灸しましょうね。」
千里「ひぃっ…」

   青ざめて引き吊る。


同・脱衣場
   千里、すっぽんぽんにはなるがもじもじ。そこへ珠子。

珠子「あらせんちゃん、そんな格好で…風邪引いちゃうわよ。」

   微笑む。

珠子「一人で入るのが怖いのね。」
千里「…。」
珠子「いいわ、ママと一緒に入りましょう。」
千里「ママ…僕の事、怒ってる?」
珠子「せんちゃんの事?いいえ、もう怒ってないわ。」
千里「本当?…良かった…」

   笑う。

千里「ママごめんなさい…僕、来年からはもっとしっかりするね。」

   二人、お風呂に入っていく。


京都の小学校・体育館
   卒業式が行われている。出ていってしまう先生で、熊井先生が紹介される。千里のクラスメート、全員が号泣。


同・教室
   熊井先生とクラスメート

熊井先生「みんな、一年間という短い間でしたが本当にありがとう…入学したときに比べて君達はとても立派になったわね。先生も嬉しいわ。」

   微笑む。

熊井先生「みんなとお別れするのは寂しいけど…いつか又大きくなったみんなに、立派になったみんなに会えることをとても楽しみにしています。では、最後に…」


   一人ずつ将来の夢を語っている。

美代「美代は大人になったら王妃様になります。千里ちゃんが殿下です。私は、千里ちゃんの王妃様になって…」

千里「僕は、ピアノが大好きです。バレエが大好きです。だから大きくなったらピアノとバレエが上手になって沢山踊りたい!!」

   全員、泣きながら先生とさようならのはいタッチをして帰っていく。


小口家・千里の部屋
   千里、まだ泣いている。

珠子「せんちゃん、いつまで泣いてるの、」
千里「だって…だって熊井先生が…」
珠子「いい先生だったものね…でも、きっと又会えるわよ。先生も産休でお休みとるのですもの…ね。」
千里「うん…」
珠子「ほら千里、」

   やしょうまとお赤飯まんじゅうを取り出す。

珠子「貰って来たやしょうまとお赤飯まんじゅう、食べましょう。」
千里「うんっ。」

   千里も泣きながら珠子について部屋を出ていく。


宮川公園
   麻衣、鉄棒に足だけでぶる下がっている。

健司「麻衣…何やってるの?」
麻衣「私の来年の目標…」
健司「え?」
麻衣「よいしょっと、」

   鉄棒から降りる

麻衣「鉄棒が出来るようになるんよ。ほいだってほれ、」

   顔をしかめる

麻衣「来年は鉄棒のテストがあるし…」
健司「まぁな…でもさ、」

   ポカーンとする。

健司「ほれって、必要以上に出来てると…思うんだけど?…なぁ、磨子…って、磨子?」

   磨子、鉄棒に豚の丸焼きをしている。

健司「お前は…何やってるの?」
磨子「見ればわかるらに?」

   そのまま手だけ話してブリッジ状態になり、足だけ掛けている

磨子「イナバウワーをした、イベリコ豚の丸焼きごっこ…。」
健司「分かんねぇーよ!!ってか何じゃ?…ほりゃ…」

   呆れてやれやれと疲れたように肩を竦める。麻衣も磨子、謎の鉄棒ばかりをまだ続けている。健司、ポカーンとして見つめる。

健司「ってか又やるのか?…いつまでやってるつもりだよ…。」


小口家・和室
   千里、猛勉強を泣く泣くしている。小口が教えている。

小口「違うっ!!何度言ったら分かるんだ!?そこはそうじゃないだろうに!!」
千里「だって分からないものは分からないんだもんぅ、しょうがないじゃんかぁ!!」

   しくしくと泣き出す。

小口「泣いたっていけんぞ。ほら、ここまで終わるまでやるぞ、いいか?分かったな?」
千里「うぇーんっ…」

   半泣きでしごかれている。


同・トイレ
   数時間後。千里がへなへなとして疲れたように入ってきて用を足し始める。

千里「はぁ…」

   やれやれ

千里「何で僕って…男の子に生まれちゃったのかな…。もし女の子だったらきっと、ここまでガミガミと怒られたり厳しくされなんだろうに…。きっと、こんな粗末じゃなくてもっと優しく扱ってくれた筈だよな…。あ!」

   用を足し終わるとそのまま便座に腰を下ろす。

千里「僕の将来の夢だ…叶いっ子ないけどさ…フフフ、」

   ニヤリ

千里「一度でもいいから女の子になってみたいわんっ!!」

   流してからルンルンとトイレを出る。


   (トイレの外)
   千草がいる。

千里「あ、千草オッパ。」
千草「千里、何やってたんだ?トイレ長すぎだろ?」
千里「あらぁんっ、ごめんなさいぃ。」

   鼻唄混じりに手を洗い出す。

千草「何だあいつは?…変なの…気持ち悪いっ…。」 

   首をかしげながらトイレへと入る。


千草「ん?」

   蓋の閉まった便座を見る。

千草「あいつ…急に…どうした?何があったんだ?」

   トイレットロールの端が綺麗に三角に折られている。千草、寒気を感じる。


同・お風呂場
   千里、千草。

千里「ねぇ、千草オッパぁ。」
千草「何?」
千里「僕ってさ…どうしたらぁ…」

   もじもじと口ごもる

千里「どうしたら、」

   意を決して

千里「女の子になれるの?」

   千草、思いっきり吹き出す。

千草「な、な、な、何言い出すんだよ、お前いきなり!!」
千里「僕本気で悩んでるんだ!!一日でもいいから僕、女の子になってみたいんだよ!!」
千草「は…はぁ…」


柳平家・お風呂場
   麻衣、一人。

麻衣「あーあ、どいで私って女の子に生まれたんかなぁ?男なら良かっただになぁ…」

   水で遊びながら

麻衣「一度でもいいで男になってみたいもんだぜ…」

   一人会話

麻衣「ほいだってさ、スポーツも抜群だと思うし、それに何しろ…」

   小窓を開けて震え上がる

麻衣「この寒い冬なんて特にほー。男の子ならお手洗い幾度にほーは言っても然程寒い想いはしなくて済むら?ほれに、すぐおしっこ出来るし、お外で何処でも立ちしょんなるものが出来てって…」

   紅くなる

麻衣「いやんっ、どいでほーいう発想になるんよぉ!!このぉ、まいぴうのエッチ!!」

   浴槽でふざけて滑る。

麻衣「うわぁっ!!」

   再び頭を出す。

麻衣「ビックリしたぁ!!んもぉ、こい時に何かと男の子の方がいいんよ!!」 


麻衣、千里「いつしかこの願いが一日でもいいから、どうか叶いますように…。」 


宮川長峰小学校・校門
   新学期

麻衣【ほんなこんなで装甲しているうちに、私は小学校2年生になってしまいました。勿論…今でも女の子のまんまで…あーあ…せめて鉄棒のテストだけは男の子になりたいな…ほれと冬場だけでも…】


京都の小学校・校門

千里【僕も結局、男の子のまんま2年生になってしまいました。相も変わらず…】

   ため息

千里「今年も怒られてばっかりの一年なんだろうなぁ…しかも…」

   憂鬱そうに顔をしかめる

千里【今年からは、大病にはかからないように…それ以外は何があっても学校に顔だけは出せ…つまり、出席して皆勤賞をとれというプレッシャーまで、ママにかけられているんだ…それだけでもどうにかなりそうなのに…テストで90以上をとれって…】

   頭をかきむしる   

千里「そんなの無茶だぁーっ!!!」
美代「千里ちゃんっ、」

   微笑む。

美代「おはよう。」
千里「美代ちゃん、」

   笑顔になる

千里「おはよう。」
美代「どうかしたの?一緒に教室へ行きましょう。」
千里「うんっ、…その前に僕おしっこ!!」
美代「美代も。」

   二人、笑って仲良く校門を入っていく。


宮川長峰小学校・教室
   
麻衣「はよーんっ!!」
健司「はよーんっ!!」
磨子「はよーんっ!!」

   三人、微笑む。

健司「今日から2年生か…」
磨子「いよいよ私達もお兄さん、お姉さんね。」
麻衣「ほーね。だで今年も!!頑張らまいぴうっ!!」

   三人、手を重ね合わせる。


   麻衣、千里、健司、磨子は其々いる場所は違えども何処と無く不安げな表情の裏にも希望に輝いたキラキラとした顔をしている。


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