石楠花物語小学校時代
音楽会競争
小口家・台所
千里「ただいま!!」
珠子「あら、せんちゃんお帰り。どうだった?音楽会のやつ…」
千里「うんっ!!」
嬉しそうに綻ぶ。
千里「僕、ピアノに決まったよ。」
珠子「まぁ!!」
千里を抱き締める。
珠子「せんちゃん良かったわね!おめでとう!!曲は何やるの?」
千里「これだよ。」
楽譜を見せる。
千里「ドイツ舞曲の中から四曲やるんだけど…ピアノの楽譜…」
少し肩を落とす
千里「これじゃあ少し簡単に書きすぎなんだ…僕のやった楽譜で弾いてもいいかな?編曲とか無くて全てオリジナルだから楽譜的には一緒なんだよ。だってこれじゃあ僕には、物足りないよぉ。つまらない…」
出ていく。
珠子「せんちゃんおやつは?」
千里「鞄置いたら又来るよ。…何?」
珠子「卵ドーナッツ作ったのよ。食べる?」
千里「わぁ、やったぁ!!」
急に行動が早くなり、手荒い嗽を済まして台所に飛び込む。
千里「うわぁ、美味しさそう!!頂きまぁーす!!」
食べる。
千里「んー、おいし…ねぇママ?」
珠子「ん、何?」
千里「僕さ、昔から一年に数回はあるんだけど…いつも学校でおしっこがとても近くて困るときがあるの。…ねぇ、」
不安そう
千里「僕なんかの病気かなぁ?お医者さん行くべき?泌尿器科…」
珠子「そうね…でも、そんなの誰にでも時々ははある事だから大丈夫よ、せんちゃん。特に冬で寒かったり緊張や心配事があると余計にそうかもね。」
千里「そう?」
珠子「でもせんちゃん、」
クスクス
珠子「泌尿器科何て言う言葉よく知ってるわね。」
千里、顔を赤くして黙って食べている。
珠子「きっとあれもあるのかも知れないわね…1000年前のあの出来事…きっと頭の何処かに…」
千里、吹き出して咳き込む。
千里「ママ、ママ?ママが…どうしてそれを?」
珠子、クスクス。
柳平家・付近
麻衣、磨子、末子がゴム飛びをしている。
磨子「あ、ねぇ麻衣ちゃん?」
麻衣「ん」
磨子「折角だから行ってみるか?」
麻衣「何処へ?」
磨子「健司の家。悟ちゃんに会いたいんでしょ?」
麻衣、ポッと紅くなる。
麻衣「いやん、磨子ちゃんったら…でも又いいわ、いつでも会えるもの…」
うっとり
麻衣「悟ちゃんはな、私の憧れのお兄さんなの。小さい頃からいつも優しくて、私を助けてくれた…。誰にでも優しくて格好いい…ほんな悟ちゃんが私は好きなの。」
磨子「ふーん…私は、城南の丸山くん…」
麻衣、末子、ポカーンとして磨子を見る。
麻衣、末子「誰ほれ?」
磨子「城南小学校の丸山修くん…」
うっとり
麻衣「知ってる?」
末子「さぁ知らない…と言うか、城南小学校の生徒なんて誰も知らん。諏訪だら?」
磨子、お花畑。
末子「…ダメだこりゃ…。」
磨子「私は大きくなったら丸山くんと結婚するのよぉーっ!!!」
踊り舞う。
磨子「トゥララララァ〜ンッ!!」
小口家・台所
千里、ドーナッツを食べながら
千里「ねぇ、それとママ?」
珠子「何?」
千里「僕この間の運動会の時からずっと思っていたんだけど…僕、僕…」
赤くなって意を決したように
千里「僕っ、特設クラブの吹奏楽部をやりたいっ!!」
珠子「吹奏楽部?」
洗い物をしながら
珠子「いいんじゃないの?やってみなさい。」
千里「ママっ!!」
背中に抱きつく。
千里「ありがとうっ!!あ、」
お腹に触る。
千里「ママ、赤ちゃん動いてるよ。」
珠子「元気に育っているのよ、せんちゃん…あなたも又々お兄ちゃんになるわね。頑張りなさい、おにいちゃん。」
そこに頼子。
頼子「お兄ちゃん。」
千里「頼ちゃん!!」
頼子を抱き上げる。
千里「頼ちゃんも大きくなったなぁ、お兄ちゃんもう重くて抱っこできないよぉ!!」
じゃれ会う二人。珠子、クククッと笑う。
上川城南小学校・音楽室
朝の練習。
千里【こうして僕は、一週間後に念願の音楽部に入部することとなりました。】
千里、ピアノを練習している。
千里【そしてここでもなんと、見事僕は音楽会に向けてピアノが出来ることになりました。】
8時10分。
眞澄「あ、チーちゃんもうこんな時間よ。今日は放送当番でしょ?行かなくちゃ!!」
千里「あ、そうか!!ならお先に失礼しまぁーす!!」
音楽室を飛び出していく。
5分後。放送がかかる。
千里の声「皆さまおはようございます。あと五分で朝礼が始まります。今日も一日元気に過ごしましょう。」
同・放送室
千里、全て一人でやっている。
千里「よしっと、」
電源を切って電気を消す。
千里「さぁーてと、僕もトイレ寄って教室に戻らなくっちゃ。遅れたら又、金子先生に怒られちゃうよ…」
退室。
声「こらっ、小口君っ!!廊下は走らないっ!!」
千里の声「ごめんなさぁーいっ!!」
又走る音。
声「小口君っ!何度言ったらわかるのっ?」
千里の声「はいっ、はぁーいっ!!ごめんなさぁーいっ!!」
(チャイム)
とたんに学校内がシーンと一気に静まる。
同・体育館
そして音楽会。各クラス毎に演奏が始まる。
アナウンス「続きまして、音楽部の発表です…」
整列している。千里、息を飲む。
千里(これでノンミスで弾ききれば、五時間目の算数のテスト、点数悪くても少しはカムフラージュになるかな?でも、めちゃくちゃ又トイレ行きたいや…)
全員、ステージに上がる。
演奏が始まる。小口、ビデオを構えている。珠子は写真。興奮状態。
珠子「あなた、せんちゃんは?せんちゃんは何処かしら?」
小口「あそこにいるだろう?ほら、ピアノを弾いている子だよ。」
珠子「まぁ、あの子!!」
嬉しそう。
珠子「良かったわ!音楽部でもピアノをやらせてもらえたのね。」
千里、気持ちが良さそうに弾いている。
ノンミスで弾ききり、演奏が終わる。
拍手。
アナウンス「ありがとうございました。それではこれより、10分間の休憩に入ります。」
音楽部、ステージから降りてくる。
金子先生の声「それでは、休憩終わったらすぐに皆さんですので少し準備をしてください。」
千里「先生っ、先生っ!!」
金子先生「何、小口君?君も少し練習を…」
千里「その前にトイレ行かせてくださいっ!!」
金子先生「分かりました、なるべく早く戻ること。他にトイレ行きたい子いる?今の内に済ませておきなさいっ!!途中退場は許しませんよっ。」
千里「ありがとうございますっ!!」
急いで小走りで体育館を出ていく。
金子先生「小口君っ!走らないっ。ゆっくりとお行きなさいっ!!」
千里「は、はーいっ。ごめんなさぁーいっ!!」
他数名もぞろぞろと体育館を出ていく。
同・男子トイレ
千里、小平、後藤が並んでいる。そこへ丸山修
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!